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一夜。-01
夜の改札口、過ぎ去る人、人、人。
特別嫌な事があった訳じゃない。
でもふと、君に会いたいと思う。
君との出会いは今日みたいな、こんな淀んだ雨の日だった。
駅の入り口前、疲れた顔した僕と静かに涙を流す君。
沢山の人が行き交う中、惹かれる様に出会い、目が合った。
暫く見つめ合い、「こんばんは」と僕から声をかけた。
すると「こんばんは」と予想していた声より、低めの柔らかなトーンで返ってきた。
それからお互い何かが重なったのか、雨の中歩き出し一夜を共にした。
今思えば、どこか喫茶店に行って話をすれば良かったんだ。
それなのにあまり広くない密室で、今まで溜めていた汚いものを吐き出すみたいな感情を、ぶつけ合ってしまった。
君の名前も知らない。
歳も知らない。
職種も知らない。
……知らない事だらけだ。




