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八咫鴉様と俺  作者: 白猫
3/15

第壱話


物語を文字にするって難しい(泣)


カイトは窓際の、前から三番目の席で昼寝をしていた。

自分で作った弁当には手をつけず、代わりに学校の売店にあるアンパンを買って食べ、空腹をしのいだ。


「カイトさぁ、何のために弁当作ってるの? もったいないよぉ」


カイトの親友、古川友弘(ふるかわ ともひろ)はカイトの髪の毛を引っ張りながら、手をつけられていない弁当箱を覗いた。


「なんか癖で作ってる。食べる気はしないけどな」


「そうかぁ。じゃあ僕が食べるね~」


「おう・・・・・・あ、そういえば最近夢を見た」


「夢? 女の子の夢とか」


友弘は米粒を口の周りにつけたまま、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。


「なんでニヤニヤするんだ? 残念ながら、外れだ。うちの寺に祠があるだろ? あの祠の扉が開いて、中から刀を持った侍が出てきたんだ」


「侍が出てくるのかぁ・・・・・・ありきたりすぎて、つまんない。本当に出てきたの?」


「夢だって言っただろ。だからじいちゃんに話したら、祠に手を出すなって言われた」


「カイトは何にでも首を突っ込むからねぇ。おじさんも苦労してるだろうな」


米粒を一つも残さず弁当を平らげた友弘は、御地租様と手を合わせると、生き物の本を片手に世間話を始めた。



「どうやったら遠くからチワワと猫が区別できるか、一緒に考えてよ」


「そんなの形で分るだろ? それよりも古典を教えてくれよ。チンプンカンプンなんだ」


汚い字でぐちゃぐちゃに書かれた国語のノートを友弘に見せた。友弘は顔を引きつらせ、ノートから顔を背けた。


「それは授業中に寝てるのが悪いんだよ・・・・・・そんなに祠の事が気になるんだったら、いっそのこと開いちゃえば?」


「無理。祟られたらどうしてくれるんだよ」


「怖い? どのくらいその夢見てるの?」


カイトの頬を左右に引っ張りながら、友弘は子供をあやすように問いかけた。


「先週からずっとさ。怖くはない」


「怖くないの? じゃあさ、今日そのお侍さんを退治しよう!!」


カイトの反応を楽しんでいる友弘は、黒い笑みを浮かべた。


「うぎゃ!」


いきなり友弘が立ちあがったもので、カイトは思わず椅子ごとひっくり返った。


「イテーじゃねぇか!! 大体退治ってなんだよ。そいつは夢の話しなんだぞ」


「でも原因は祠なんだから、そこを何とかすればいいでしょ? 準備は僕がするからさ」


友弘は心底楽しみだといっている様に目を輝かせ、自分の席へと戻っていった。


睡魔地獄の5・6時間目が終わると、友弘はすぐさまジャージに着替え、鉢巻を巻き、どこからか竹刀を用意してきた。


「僕、一度でも良いからお侍さんと戦ってみたかったんだよね」


「だから夢なんだって」







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