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八咫鴉様と俺  作者: 白猫
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第十一話


「妖怪戦争ってことか?」


「戦争と争いは規模が違う。頭領同士の土地争いなど、戦争にはならない」


鴉丸は煙管をくわえると、星が輝く夜空に紫煙をはき出した。


「隠れててもかまわないぞ」


「男子たるもの、戦いを前に逃げ腰になってどうする?ってな」


カイトは鴉丸の横に移動した。


「ほう・・・・・・腑抜けにしては珍しい。変なものでも食ったか」


カイトはクツクツと笑う鴉丸から少し離れ、頭を掻きながら空を見上げた。


「別に、ここは俺の家だ。守って当然だろ」


「神力もろくに扱えん小僧に何が出来る」


鴉丸の言葉に、カイトは口元に弧を描いた。

通学鞄から巻き物を取り出し、さらにノートを取り出した。


「学校を出るまえ、校長から妖怪と戦うための式を呼び出す巻き物を借りてきた。図書館では、百パーとは言えないが、妖怪の封印式を見つけた」


自慢げに語るカイトの巻き物とノートを見ると、確かに昔から妖怪退治人が使っていた文字がミミズのように並んでいた。


「お頭様、お呼びだと聞いてやってきましたよ」


突然、カイトと鴉丸の間に作務衣さむえを着込んだ狐が現れた。

作務衣の姿から人と錯覚したカイトは悲鳴を上げずにすんだが、狐に続き現れた巨大な狛犬二匹に悲鳴を上げてしまった。

鴉丸は心底うるさそうにカイトの頬をつねり、狐の話を聞き始めた。


「相手が狐と狛犬を連れていると聞く。種族が同一であれば差ほど大きな争いにはならないからな」


「しかし、鬼や下賎な鼠も混ざっていると聞きましたが・・・・・・」


「それは狛犬兄妹が払う。相変わらず下等嫌いだな」


鴉丸が煙管をくわえたまま鼻で笑うと、宗旦狐はコホン咳をし、お頭様も相変わらずですね と答えた。


「ところで、そこで狛犬に遊ばれている人間の子供は?」


宗旦狐の見る先には、人ひとり軽々と乗れる巨体を持った狛犬に引きの下敷きにされたカイトがいた。


「風、雷、相変わらずやんちゃだな」


鴉丸が近寄ると、風と雷は尻尾を振りながらカイトから離れた。

カイトは助かったといわんばかりに急いで立ち上がり、ついた砂を落としていた。


「やっぱり妖怪は嫌いだ」


「風と雷はお前さんが好きだと言っていますぞ」


宗旦狐はお座りをしている風と雷を撫でると、カイトに言った。


「どっちがどっちだか分からない。それにお前も、名前」


「妖怪の名を知りたがるなど、胆の据わった人間の子ですな」


「こやつはアホだからな」


鴉丸は紫煙をカイトに吹きかけた。


「角がある狛犬が風、オスだ。ない方が雷、メス。狐は正陀しょうだ


「妖怪の名には命があります。何の力も持たない人間の子が知れば、体調を悪くすることになりますよ」


「こやつに名の呪は効かん」


鴉丸は煙管をしまい、欠伸を一つした。

鴉丸の言葉に一瞬考えた正陀は、次の瞬間カイトを睨みつめた。


「神力の持ち主ですか。お頭様を封じた、忌まわしき一族の末裔」


今にも噛み付かれそうな雰陰気に、カイトは慌てて鴉丸の横に移動した。


「やめておけ。今のこいつには式がついている。神力には勝てまい」


「しかし・・・・・・」


「今はそれどころではない、どうやら夜雀は止められなかったようだ」


いつの間にか、寺の鳥居の下に紅い着物を着た狐が立っていた。


「久しいな、黒犬」


「獣くさい」


「・・・・・・相変わらず、生意気な小娘だ」


狐はゆっくりとした足取りで敷地内に入ってきた。


「お前、やっぱり本物にとっては小娘なんだな」


笑いながら言ってみれば、殺気を込められた目で睨まれ、青ざめながら笑いを止めた。

鴉丸は狐を観察ながら、円を描くように周りを歩いた。


「用心深いのも相変わらずのようだな」


狐は扇子で口元を隠し、目だけを動かしていた。ふと、二匹の狛犬に挟まれるようにしてたたずむカイトを見つけた。


「このような時に、人の子を連れているとは、何事」


「こやつはここの主だ」


「それはそれは、では挨拶をしなければな」


狐は扇子を勢い良くたたむと、カイトを指差し、妖怪の言葉を呟いた。

鴉丸は急いで結界を施したが、それは九本の尾に破られ、風が強度の強い結界で尾を防いだ。


「血迷ったか。山の守り主が人間を殺めれば、ただの妖怪に成り下がるぞ」


「人ではない。悪霊に取り付かれた哀れな人の子だ。楽にしてやるのだから問題などあるまい」


九尾が土の中から現れ、風の結界を破ろうと爪を立ててきた。

風は毛を逆立て、唸り始めた。同時に結界に雷が流れ、九尾はギャッと声をあげ後方に飛び退いた。


「悲しいものだ。かの有名な白狐も、邪魅のことばに惑わされ、やつの糸に操られるなど」


「小娘には分かるまいよ。私ら妖怪はここの守り神であったのに関わらず、追い出そうとしている。ここは私の山だ」


狐の合図で九尾の他に鉄鼠、猿鬼、獅子が鴉丸たちを囲んだ。


「元人間は人間へお戻り」


いよいよ土地争いが始まりました!!

激しい場面などなどは苦手ですが、頑張りますので

これからもよろしくお願いします(^w^)/

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