第九話
遅くなってすみません・・・
その上短いです。
鴉丸が大羽黒と名乗り、カイト達と学校に通い初めてすでに二週間がたった。
学校にも馴染み、持ち前の運動神経から、部活には入らないが、暇つぶしのために剣道部に立ち寄る事はしばしばあった。
「今日は寄ってかないのか?」
同じクラスで剣道部の西野健太は、竹刀を片手に帰りの支度をしている鴉丸に声をかけた。
何時の日か鴉丸を退治しようとした友弘が持っていた竹刀は健太から借りたものである。
「今日は用事があるし、今日からしばらくは帰宅部に入部だね」
「そうか。黒さんは腕も良いからいつでも歓迎だって、部長も言ってたぜ」
「暇があったら寄るね」
鴉丸は掃除を始めたクラスメイトに手を振り、真っ直ぐ校長室に向かった。
「うつむ、雪崩と不本意だが、舞姫に寝床へ来るように伝えてくれ」
校長室にノックもなしに入り、間吉の見張りをしていたうつむに言い放ち、ソファーに座った。
うつむは頷き、雀の姿で山が残る隣町へと羽ばたいた。
「なにか妖怪騒ぎのニオイだね」
「黙っていろ。これは貴様の出る幕ではない。これはワシ等妖怪の問題だ」
妖力でお茶を沸かし、お茶を注ぐとゆっくりと一口で飲み干した。
「生徒である貴方がここでお茶を啜る時間でもありませんよ」
書類から目を離し、ソファーでくつろぐ鴉丸に目を移した。
「今は妖怪の頭、貴様が言う瞳鬼三鈴黒鴉だ」
制服から着流しに服装を変えると、鴉丸は懐から煙管を取り出し、葉を詰め火をつけた。
「邪魅と呼ばれる妖怪を知っているか?」
「いいえ。それも妖怪の一種で?」
「ああ。あれは人間が生み出した悪しき妖怪でな。魂を抜き取り、操り食らう妖怪だ」
気が変わったのか、煙草盆に灰になりきっていない葉を落とし、その体勢のまま鴉丸は続けた。
「あれは不満や恨み、そういったすべての穢れた思いや気持ち、つまり瘴気を元に大きくなっている。最近巷で年齢問わずの突然死がニュースとやらで目立っている。うつむの部下によれば、あれが街に入り込んだ可能性が大きい」
「せめて学校は安全地帯にしろ。貴方はそう言いたいのですか」
「そうだな。貴様のような青二才に任せるのは不満だが、特別にワシが用意した部下を学校に紛れさせてもらった。いつかの時に役に立つはずだ」
鴉丸は冷えた煙管をしまい、煙草盆を消すと、窓から姿を消した。
今日は少しシリアスにしてみたかったのですが・・・・・・