第八話
更新のペースが亀・・・蝸牛以下ですみません(泣)
短いですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
何とか一時間を逃しただけですんだカイト達は、次の授業の準備をしていた。
「それにしても、色々と大変なことになっちゃったねぇ」
「全くだ。あれほど面倒事に巻き込むなと言ったのに」
カイトはイスに座ると、掌を握っては開いてを繰り返した。
「そういえばさ、カイトはなんで妖怪とか幽霊の類が苦手なんだっけ?」
友弘はカイトの向かい側に座ると、今まであまり気にしなかった問題を聞いてみた。
「別に、苦手じゃない。まあ、嫌いではあるけどな」
カイトは頬杖をつくと、窓の外に目を向けた。
「そういうのが見える様になったのは、両親が死んでからなんだ。妖怪はあまり見なかったが、幽霊は毎日俺の前に現れた。だから、当時の俺は両親に会えるかもしれないって思ってたんだよ。ま、見たのは、体のあちこちがちぎれ、血まみれの、原形をとどめてない両親の幽霊だったけどな」
カイトはそこまで話すと、眉間を押さえた。
「それからは酷かった。毎日毎晩俺の部屋に現れては部屋中を這いずり回り、悲鳴のような呻き声を上げながら朝まで、部屋を血と肉で染めてから消えていった。日が上れば部屋は元通りになる。その後、じいちゃんの家に引き取られてからは、結界に護られて、見えなくなった」
「聞かないほうが、良かったね。ゴメン」
友弘は珍しく俯き加減で呟いた。
「大丈夫だ」
「大丈夫ではない」
女性の声にしては少し低い声がカイトの横から聞こえてきた。
「幽霊とは、未練があってこの世に現れる。しかし、お前の両親のように無残な姿で現れる事は、悪霊に成り果てた証拠だ」
ゆっくりと横を向けば、そこには案の定、制服姿の鴉丸が立っていた。
「妖怪って、幽霊は見えないって言ってませんでしたっけ?」
「見えぬ。だが、唯一見える妖怪がいてな、悪霊はそいつの邪気に当てられ、誕生する」
バン! とカイトの机に手をつくと、カイトの顔から数センチという所まで顔を寄せた。
「見えなくなったは、消えた事にはならない。分かるか? 今もお前の近くにて隙をうかがっている可能性も、なくはない」
あたりを見渡し、珍しく真面目な顔で話す鴉丸にカイトは何度も頷いた。
「幽霊は妖怪にも害をなす。さっさとお前の両親に成仏してもらえ」
「俺は祓いなんか出来ない」
「五郎に教わったと聞いたが、やはり人間には無理のようだな」
呆れたようにため息をつくと、カイトの額を突付き始めた。
「お前は知らぬようだから教えてやるが、お前の祖先はわしを封じた陰陽師だ。その末裔が幽霊ごとき、ただの呪いにビビってどうする?」
「俺はそういう世界の人間じゃないんだよ!」
大声で怒鳴ったせいか、今までこちらに気付かなかった生徒がカイトたちに目を向け、鴉丸の存在に気付いた。
「おい福井、誰だ? その女」
ちょうど教室に戻ってきた浜辺は、カイトの横に立っている鴉丸を指差して聞いた。
「私は大羽黒といいます。今日からこの学校に通うことになりました。よろしくお願いします。あ、私のことは、黒って呼んでください」
語尾に星がついているような、まさに女子高校生の話し方にカイトも友弘も肝を抜かされた気分だった。
「ああ。よろしく」
浜辺は照れたように返事を返すと、さっさと自分の席に戻っていった。
「お前、標準語が話せたのか?」
「かわいいねぇ」
「当たり前だ。何年生きてると思う? ちなみに、先ほどわしがこの部屋にやって来た時の記憶は消しておいた」
くれぐれも正体を明かすなと睨み、鴉丸はいつの間にか用意された、教卓の目の前にある自分の席に座った。
それと同時に先生が入ってきた。
「お? 君が転入生の大羽さんかな? どこから来たんだっけ?」
理科Bを担当する丸野先生はプリントやチョークの箱を教卓に置くと、鴉丸に自己紹介の時間を与えた。
「大羽黒です。生まれも育ちも六町ですが、親の仕事で隣町で暮らしていました。趣味は弓道、花道、茶道、剣道です。剣道の腕は強いつもりです」
「質問したい生徒は今のうちだぞ~」
丸野先生の授業を潰すチャンスだと、生徒達はいっせいに手を上げた。
夏休みがこんなに忙しいとは思わなかった~~(T△T)
部活とか合宿とか部活・・・・・・あと宿題も・・・