「霧の城の影」
「夜の疾走の中で、眠る者が見ぬ隅に光は潜む。」
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レイスたちは廃墟の神殿から戻り、黄昏の旅で消耗した体を引きずっていた。
だが、彼らにはより重要な使命があった──ファーミン大陸の中心にある霧の城へ向かうこと。そこには、彼らの運命を変えるかもしれない秘密が眠っているのだ。
影の門
彼らが城の遺跡に近づくと、霧を帯びた巨大な門が立ちはだかった。
その門から滴る霧の粒は、まるで「忘れられた時代の涙」のように地面へと流れ落ちていく。
ニルファは警戒しながら槍を構えた。
> 「この城... 消えぬ影に包まれているわ。
準備して、何が潜んでいるか分からない。」
レイスが先頭に立ち、一歩踏み出して壁に触れると、手袋越しに灰色の火花が弾け、空中で静かに消えた。
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果てしない回廊
城の内部には、ほの暗い灯火の下で影が静かに揺れていた。
広がる回廊、風化した柱には古の王たちの物語が刻まれていた。
イヴェラは記憶と照らし合わせながら言った。
> 「この文字…ダスマール遺跡にあったものに似てるけど、もっと古い。
ファーミン大陸もかつては一つの王国だったのかもしれない。」
シーロンが低い声でつぶやく。
> 「ガラスの羽根の秘密は、簡単には語られない。
レイス…油断するな。」
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第四の礎の囁き
進む彼らの周囲から、かすかな声が壁を伝って流れてきた。
> 「ガラスの遺産には、風の記憶が眠る…
影の記憶はまだ脈打っている。」
その声を聞いた瞬間、城内に寒気が走る。
レイスは背後に気配を感じ、急いで振り返ると、長身の影が崩れた柱の裏に消えていった。
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姿なき対決
シーロンがその影を追うが、そこにあったのは空虚だけだった。
突如、床が揺れ、通路が裂け始める──城がまるで長い眠りから目覚めたかのように。
ファディは盾を構えながら叫んだ。
> 「奴は俺たちを惑わせようとしている…だが、俺たちの方が一枚上手だ!」
影は柱の上から襲いかかってきた。音もなく、動きも静かで、まるで霧の刃。
ニルファの緑の一撃が光を放つと、影の痕跡は跡形もなく消えた。
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一部の解明
激しい揺れが収まり、倒れた柱の背後から隠し扉が現れた。
中には小さな部屋があり、中心に**第四の礎「ガラス」**の紋章が刻まれた大理石の箱があった。
レイスが慎重に蓋を開けると、中には割れた鏡の欠片と、青く輝くガラスの破片が入っていた。
彼は静かに囁く。
> 「この鏡...風の囁きを宿している。
これが、失われた礎への道を示してくれるかもしれない。」
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第十七章・終わり