第一章:「砕けた世界の残響」
「剣が生まれる前に、言葉があった――
血が流れる前に、王国があった。」
アルドライ王国は単なる王国ではなかった。
それはこの世界の中心――大陸はそこから広がり、魔法と力、そして滅びがそこから生まれた。
だが、ある日、アルドライは崩壊した。
それは軍でも剣でもない、歴史の書にすら記されない"何か"によって――。
それから幾世代が過ぎ、今はただの"残響"が地の奥底に、そしてまだ自分の真の名を知らぬ者たちの心に刻まれているのみ。
世界には四つの大陸がある。いずれも歴史と恐怖の契約に支配されている。
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アルキアド:理知と秩序の大陸。空を突く建築群、魔法の法則を厳格に管理する学者と貴族が集う。すべてが理性で動くが、その裏で動く「何か」は未知数。
フィルモラ:炎と戦の大陸。剣士の誇りと戦火に燃える地。戦争が日常で、力がすべてを決める。
ダスマール:霧と沈黙の大陸。忘れ去られた廃墟と不気味な森に囲まれ、秘密を運ぶ者たちが静かに通る。迷えば、二度と戻れない。
ノヴァリス:地図にない大陸。深き影の結界に覆われた禁断の地。誰もが存在を否定するが、そこには"何か"が眠っている――人間を超えた存在が。
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アルキアド東端の山間に、月光に照らされた静かな村「リンダイル」がある。
その村で、一人の少年が生まれた。
王国の記録には名もなく、予言書にも記されていない。
だが、運命に予告は不要だ。
その本当の名はまだ誰も知らない。
しかし、いずれ世界は彼の名をこう呼ぶだろう――
灰のリース(リース・アッシュ)
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第一章 終わり
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次の物語で、またお会いしましょう…。