表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自分だけ揚げ物が楽しめる世界  作者: ミツメ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/74

合流

 まるで秘密基地だった。綜馬とミケアは天谷と落ち合い、拠点のある地下鉄のダンジョンへ案内された。来る途中、何度かモンスターと対峙する場面はあったが中型モンスターを単騎撃破できる彼らにとってそれは敵ではなかった。

 暗闇が濃くなり、モンスターの悪辣さも増し始めたくらいで天谷はこっちだよと、中央通路ではなく狭い通路を選んで進んでいく。行き止まりにぶつかり、大丈夫だろうかと不安になる二人をよそに天谷はコンクリートの壁に手を当てると魔力を込めて壁を押し込んだ。


「二人とも、元気だったー??」


 暖かい光が広がるその先では蘭香が当たり前みたいに二人を迎え入れる。あっけらかんとした表情に綜馬は肩の力が抜ける。


「それで必要な量なんだけど、」


 4人は綜馬用意したばかりの机を囲んで話し始める。天谷は紙を取り出して要点を確認しながら説明する。


「ミケアの世界が今僕たちのいる世界からどれくらいの距離にあるか、幾つかの可能性を仮定して計算した。まず一つ目、これが一番消費量が少ない。ミケアの世界とまず繋がっていて、地球もしくはミケアの住む世界に僕たちがいる場合、青色魔石が100で済む。」


「あ、それくらいなら、」


「これは最高の可能性。ここからが最もあり得る可能性になってくる。」


 天谷は幾つかのパターンを解説しながら、必要量や移動にあたって消費する時間なども説明する。しかし、この場において天谷の説明が理解できる者は天谷以外におらず、3人がきょとんとした表情を浮かべるだけで時間は経っていった。


「なんでかわからないけど、ミケアの世界は近くにあると思う。」


 天谷がちょうど12個目の可能性について話し始めた辺りで、ミケアがそんな事を言い出した。天谷の話以上に蘭香と綜馬は驚きと困惑の表情を見せる。

 天谷は一旦ここで話を切り上げて、別れていた間の成果について話し始めた。


「僕は蘭香ちゃんとそれなりの量は集められたけど、どうも色の等級は高くなくてね。数集めてどうにかって感じなんだよね。」


「ミノタウロスくらいだよね、強くて濃い魔石出すのは、」


 ミノタウロスの響きに違和感を覚えつつ、綜馬は【空間魔法】からシェルター1501で得た全ての魔石を広げて出して見せた。


「すごっ!!めっちゃあんじゃん!」


「ミケアから話は聞いてたけど、思ってた以上だ。やっぱりコツコツ貯めるより取引した方が効率はいいね。」


 二人は自分たちが貯めた魔石の10倍以上ある魔石の山をみて興奮した様子だったが、当の綜馬は少し気まずそうに苦笑いを浮かべる。


「これはどれくらいの頻度で交換できる話なの?」


「それがですね、」と綜馬は先日自分たちに起こった話と、その後一応残しておいた手紙について二人に説明した。


「そんなところもう良いよ!この辺シェルター少ないけど強いところ多いんでしょ!ならそっちに声かけたって、」

 蘭香は珍しく声を荒げる。反対に天谷は静かに相槌を打つだけで綜馬の言葉を待っているように見えた。


「けど、やっぱり助けたいなって思っちゃったんです。利用されたくないって抵抗し続けるのも結局不自由なままだって、」


「それなら僕たちがやる事は一つだね。そのシェルターを援護する。サクッとこの辺りを管轄してもらえれば魔石の量も増やせるわけでしょ?」


「そうですね。」


「ミケアもそれで良い?」


「うん。ソーマの選んだ道を助ける。」


「なんだよー、私だけ反対してるみたいじゃん!違うのにー!」


「蘭香ちゃん。わかってるよ。ありがとう。」


 顔をぷくっと膨らまし拗ねた表情を見せる蘭香だったが綜馬の言葉に笑顔を滲ませる。

「それと、天谷さんは気を使ってくれてるんだと思いますけど、食べたいものとか欲しいものとかどんどん言ってくれた良いですからね。僕が苦手なのは僕を見ずに自分の欲望だけをぶつけられる事ですから。」


「あ、そう言うつもりじゃなかったんだけど、バレてたか。ごめんごめん。」


「って事なんで、今日はカレー用意しますよ。」


 カレーの響きに蘭香と天谷は喜びを漏らす。ミケアも遅れてカレーの味を思い出し笑顔をこぼした。


――――――――――――――――――――――――――――――


〈シェルター1588〉


 今から8ヶ月前、最初のターゲットに選ばれた中規模シェルターのシェルター1588は抵抗虚しく二晩もしないうちに支配された。西城が事前に潜り込ませていた者たちと、【契約魔法】で縛った者たちが行った一連の戦いは一方的と呼ぶ以外ない結末を用意していた。

 そんなシェルター1588が今度は新たな脅威に曝されようとしていた。最上が管理し始めたときに決められたシェルター1588の幹部たち。その中の一人、上石はこれから自分たちに降りかかる制裁について思考を総動員させていた。古森指揮官の明らかな憂さ晴らしとして責任を負う形で特攻させられて、その責任を取らされることになるという二重苦。このシェルターひいては自分の立場がどうなるのかなんて容易に想像できた。


 こんな擦り付けみたいな形で使いつぶされたシェルターたちはいくつも目にしてきていて、今度は自分たちにその役回りが来たんだなと動悸が激しくなるのを感じる。


 その裏で、このシェルター1588に目を付けた勢力があった。


「攻城戦の計画は順調か?」

 嘉山の問いに飯垣はゆっくりと頷く。細かいところで納得のいく出来ではないが、時間や様々要因がそれを煮詰めることを許さない。そういった背景込みの苦々しい相槌だった。


「隊員たちは対人戦闘の練習に切り替えて暫く経ってますが、あまり乗り気ではないものも少なくないようで、」


「人選は斎田に任せる。重視すべきは速さ。行動や思考だけじゃない、躊躇のなさ、選択が効率的か。総合的に見て速さに特化して動く。」


「承知いたしました。計画書に合わせて練兵続けます。計画に参加しない者たちは、」


「半分は対人戦に慣れさせておいてくれ。モンスターとの応用実技も人型に指定して行うように。」


 あの晩からシェルター1501は急速な変化を起こしていた。シェルターの総意は力を持ち、我々の幸せを確固たるものに補強していくこと。そのために力の根幹である自衛隊員たちの家族や大切な人たちを我々の中に引き込んでいくことを正式に決定し、その一歩にシェルター1588へ攻城戦を仕掛けることを決めた。


 戦力の誇示と報復行動として十分な効果を発揮させる為に、嘉山は緻密な計画を用意する。

読んでいただきありがとうございます。


いいね、☆☆☆☆☆の評価頂けると励みになります。


『巨神兵は堕ちた』もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ