早まる鼓動
別作品『冒険のすゝめ』もよろしければご拝読ください。
書き始めたばかりなので最新話まですぐ読めると思います。
綜馬の来訪は、綜馬の想像とは反対に歓迎ムードで受け入れられた。冬弥から聞いた合同ダンジョンアタックの失敗で近隣シェルターはペナルティー受けてるはずで、生活に困窮している可能性は大いにあった。それに、代表者の面々は綜馬の事をシェルター800の人間として認識しているはずで、合同ダンジョンアタックの失敗の責を問われても仕方ないとすら考えていた。
しかしシェルター804は、きれいな宿舎を手配してくれ、綜馬が日ごろ食べているチート飯には劣るがそれなりの量と品質のものを提供してくれ、魔道具の用意も快く受けてくれた。それも魔石や物資の支払いは大丈夫とのことだった。あまりの好待遇に昨晩から過剰に警戒しているが、何か動きがあるようにも見えない。いざとなれば魔道具も貰ってすぐ逃げれるように準備してある。
シェルター812の二の前にならないように、戦闘よりも逃げる事だけに留意しておく。
変に警戒しすぎても失礼になることを理解しつつ、用意されてあった綺麗なワイシャツに袖を通した。魔道具の用意には三日ほどかかるようでその間、シェルター内を自由に見て回って時間を潰してくれと言われている。
シェルター804は『製錬術』のスキルを持つ武田さんと、『鍛冶』スキルを持つ橋本さんがいる事で小規模シェルターでありながらもここら一帯では強い発言権と大きな影響力を持っている。
シェルター800主導で行っていた郵便もシェルター804が協力してくれているから協力シェルターが増えたと言っても過言ではない。他シェルターの現状については予想の域を出ないが、シェルター804の現状はどのシェルターよりも安定していると言えるだろう。ミッション失敗による影響が少ないのは、小規模シェルターながらも近隣シェルターから受けた仕事の代金として多くの物資と魔石を手に入れており、ペナルティーが発生したとしてもそれを賄えるほどの基盤ができているというわけだ。
何もしなくていいと柴村さんから言われているが、ただ飯をくらうほど神経は太くない。お返しとして物資を提供してもいいが、自分の能力を開示する怖さに足がすくんでしまうため、肉体労働をかって出た。小規模シェルターという事もあり若い人間がこのシェルターには多くない。年齢ごとに会を作り相互関係を強固にする取り組みをしている様だが、青年会の上限が40代になっている。いくら何でも40代を青年として括るのは無理がある。
肉体労働の手はどこでも欲されているようで、畑や施設の管理、素材や魔石収集、など機敏に動き疲れを貯めない若者は大歓迎といった様子だった。ここでなんとなく 綜馬の来訪は、綜馬の想像とは反対に歓迎ムードで受け入れられた。冬弥から聞いた合同ダンジョンアタックの失敗で近隣シェルターはペナルティー受けてるはずで、生活に困窮している可能性は大いにあった。それに、代表者の面々は綜馬の事をシェルター800の人間として認識しているはずで、合同ダンジョンアタックの失敗の責を問われても仕方ないとすら考えていた。
しかしシェルター804は、きれいな宿舎を手配してくれ、綜馬が日ごろ食べているチート飯には劣るがそれなりの量と品質のものを提供してくれ、魔道具の用意も快く受けてくれた。それも魔石や物資の支払いは大丈夫とのことだった。あまりの好待遇に昨晩から過剰に警戒しているが、何か動きがあるようにも見えない。いざとなれば魔道具も貰ってすぐ逃げれるように準備してある。
シェルター812の二の前にならないように、戦闘よりも逃げる事だけに留意しておく。
変に警戒しすぎても失礼になることを理解しつつ、用意されてあった綺麗なワイシャツに袖を通した。魔道具の用意には三日ほどかかるようでその間、シェルター内を自由に見て回って時間を潰してくれと言われている。
シェルター804は『製錬術』のスキルを持つ武田さんと、『鍛冶』スキルを持つ橋本さんがいる事で小規模シェルターでありながらもここら一帯では強い発言権と大きな影響力を持っている。
シェルター800主導で行っていた郵便もシェルター804が協力してくれているから協力シェルターが増えたと言っても過言ではない。他シェルターの現状については予想の域を出ないが、シェルター804の現状はどのシェルターよりも安定していると言えるだろう。ミッション失敗による影響が少ないのは、小規模シェルターながらも近隣シェルターから受けた仕事の代金として多くの物資と魔石を手に入れており、ペナルティーが発生したとしてもそれを賄えるほどの基盤ができているというわけだ。
何もしなくていいと柴村さんから言われているが、ただ飯をくらうほど神経は太くない。お返しとして物資を提供してもいいが、自分の能力を開示する怖さに足がすくんでしまうため、肉体労働をかって出た。小規模シェルターという事もあり若い人間がこのシェルターには多くない。年齢ごとに会を作り相互関係を強固にする取り組みをしている様だが、青年会の上限が40代になっている。いくら何でも40代を青年として括るのは無理がある。
肉体労働の手はどこでも欲されているようで、畑や施設の管理、素材や魔石収集、など機敏に動き疲れを貯めない若者は大歓迎といった様子だった。自分のやるべきことを理解した綜馬はまず手始めに畑へ向かった。
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『彼』は宿主であり、親である個体の記憶を食む。この無限にも思える空間は宿主の精神と深く繋がっており、空間を見て回った『彼』にとって今一番好奇心が湧く行先が宿主の精神だった。
宿主の気持ちひとつで形を自由に変化させる精神の空間には退屈が存在せず、宿主を通して外の世界を見ることだってできた。
『彼』は依然『親』残像を食んで消化した。そのため『彼』は『親』の一部を手に入れていた。精神の世界に入り込み『親』の一部をもつ『彼』はある種の操作権を有しているともいえた。そのため、『親』が再び心を限界に追い込むような強いストレスがかかった時、『彼』はそのストレスを自分の胃袋に仕舞い込む事にした。
不確定ではあるが堂島と呼ばれる存在の死。
自分の責任で大勢を見殺しにしてしまった苦しみ。
何度も反芻するように思い出す岸という存在の死。
他にもたくさんの苦しみと葛藤を宿主の『親』は抱えている。『親』が死んでしまうとこの空間は消滅する。折角自由に動けて考える事の出来る肉体を手に入れたのに、死んでしまうのは嫌だった。自分都合であり防衛本能のような効果が発生し、『親』にかかっている精神的負担を一身に貯めこんだ。
そのおかげもあり『親』は気負い過ぎることなく日々を過ごせているようだ。『彼』も空間の中で様々な事を学び続けている。『親』の使っていた魔法という特別な力や、『親』の匂いをもった別の肉体について、一部同化している『彼』は気が晴れるまで様々な事を試した。幸い今いる空間は壊れる心配はない。
魔力についてある程度の理解を得た時、空間の中に魔力の反応がいくつもある事に気が付いた。『彼』は魔力の反応がする方へ向かって行く。初めに見つけたのは『親』と全く同じ空気をまとう存在が動き回る空間だった。土を弄り野菜を作っている。飲み込んだ記憶の中で見た光景だ。
その次に見つけたのは精神空間の中。大きな祭壇の前に真っ黒な鎧兜と烏が鎮座している。『親』を通して見た世界に映っていた彼らだった。
この勢いで『彼』は成長と吸収を繰り返す。膨れていくのは知識や自我だけではない。『彼』は空間内の魔力に干渉できるようになったことで空間に存在するものに興味を持つ始めた。それも魔石や魔力を含むアイテム類に。必要だと判断すれば体内に取り組むことも辞さない『彼』は【歪曲の腕輪】【風除けの鞍】【魔宝玉:爆破】を食らった。
読んでいただきありがとうございます。
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