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プロローグ
とある王国がありました。
その国はとても小さな国でしたが、誰もが幸せに暮らし、愛と慈悲に満ちた国でした。
しかし、その国には一つ大きな問題があったのです。
国を治めるのはまだ若い王子様。その王子には誰にも言えない秘密がありました。
――王子様は魔女に恋をしていたのです。
信じられない話。美しく賢い王子が愛したのは、醜く悪しき魔女だったのです。
当然のように国民は怒り、王子に対しての期待も信頼も次第に薄れていきました。
国は優しさを失い、荒んでいきます。
しかし、誰も知らなかったのです。この物語の本当の姿を。
これは、優しい悲劇の物語。