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海夏  作者: あ行
9/11

9線香花火

「なぁなぁ、お母さんから花火貰った。しよ〜!」

 海が元気よく話す。もうすっかり夜なのに元気だなぁ。

「うん、しよ。」

 手持ち花火が沢山ある。隣には水の入ったバケツとライターがあった。

「ほら、近付けて。」

 海がライターをつけている。花火に火がつく。

「あはは。」

 両手に花火を持って、円を描く様に踊っている。海が花火の光に照らされて笑う。綺麗だ。髪もふわふわと波を打つ。

「あ、終わった。」

 ジュッ

 バケツに使い終わった手持ち花火をつける。煙の匂いがする。

 海が耳に手を覆っていた。

「? 海、どうしたの?」

 上目遣いで海を見る。

「ん。あぁ、いや。何でもない。」

 目を逸らす。

「んー?何か隠してるなぁ?ばればれだぞ。」

「えぇー?」

 もっと目を逸らす。顔もそっぽむく。下から見たら、鼻が良く通っていることがわかる。

「耳鳴りしただけ。」

「え。 」

 思考が止まる。俺のせい?俺が何もこの耳鳴りを放っているから?海にも移った?

「あ゙ー。夏がそうなるから、言いたくなかったんだよ。どうせ、俺のせいとか考えてるんだろ。今は無し!次、線香花火。先に落ちた方が負けな。」

 海に飲み込まれていく。そうじゃない、と言いかけたのに線香花火を手渡してきた。

パチパチ

 線香花火が光る。花火より長く。

 海の方を見る。線香花火に照らされて、綺麗だった。肩から逃げている髪が、所々ある。

「「あ」」

 声が重なる。

 線香花火が二つとも、くっついた。二人の手が近付く。

「くっついたぁ、はは。」

「ちょっと。笑ったら、落ちるだろ。あはは。」

「「あ」」

 また重なる。

 線香花火が地面に落ちた。すぐに火の色から黒へと変わっていき、周りの暗さと同化する。

「勝負にならなかったね。」

「まぁ、綺麗やったしいいじゃん。」

 二人は笑い合った。

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