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海夏  作者: あ行
7/11

7見ちゃった

見ちゃった

 その人が小さくなっていく。

「……行っちゃった。」

  手が勝手に差し伸べていた。その人と手が重なる。

「……。」

 着いてき行きたい。たとえ、海が倒れたところでも。

―――――――

 尾行する。

「……我ながらにキモいな…。」

 その人は神社に入って行った。

「待って、いつも行ってる神社……?」

 建物から顔を半分覗かせながら言う。まさか、神社といえども、ここだとは思いもしなかった。さらに尾行する。すると会話が聞こえてきた。

「……なら、その様なことにしておきましょう。」

「!」

 声を出すところだった。迷った時にいた奇妙な奴だ。二人は向かい合って話していた。

「ん。そうやな。それはさておき、久しいなぁ。」

「はい。お久しぶりでございます。」

 鬼は会話を続ける。

「前はちぃこくって可愛かったなぁ。こんな堅苦しい敬語なんか使ってなかったのに。」

 使いが苦い顔をした。

「やめてください。このこと主人に言ったら駄目だから。」

「おぉ、分かっておるよ。」

 その人は心なしか楽しそうだ。夏はどうしているのか。もうそこにいなかった。神社に離れたところで息を切らしていた。

「……っはぁ、はぁ。…なん……なんで……!あいつがいるんだよ……。」

 耐えられなかった。もう少し尾行をしたかった。けどやっぱり大切な人を傷つけた奴と一緒にいたくない。汗が額から垂れる。

          キ

          Ⅰ

          ン

「……いった!」

 思わず耳を抑える。その場にしゃがみ込む。

――――――――――――

「さっきの子供はどうされたんでしょう。」

「そうやな。俺に着いてきたんかなぁ。」

 鬼と使いが夏の事を話す。神社の入り口の方を向く。

「てっきりここに来たから、殺すんかと思った。」

「いや、あいつは憑き者がいるので。」

 二人はまた対面して話す。

「ふぅん。逃したから、その主人とやらに何か言われんの。」

「あんたには関係ないだろ。」

 使いが袖を隠す。目線もそらした。   鬼を上目線で見つめる。

「それにしても、あの程度の憑き物なら、貴方様は簡単に取り除くことができるでしょう。」

「んー、まぁできるけどなぁ。そんな他人に構える程暇やないし。」

 鬼が上の空を見て、ぽりぽり頭を掻く。

「あ、もしかして()が優しいと思ったらからかぁ?」

 揶揄った目で見る。

「……。」

 使いは黙ったままだ。

「そうなんやぁ。かわええのぉ。ほらこっちおいで。」

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