7見ちゃった
見ちゃった
その人が小さくなっていく。
「……行っちゃった。」
手が勝手に差し伸べていた。その人と手が重なる。
「……。」
着いてき行きたい。たとえ、海が倒れたところでも。
―――――――
尾行する。
「……我ながらにキモいな…。」
その人は神社に入って行った。
「待って、いつも行ってる神社……?」
建物から顔を半分覗かせながら言う。まさか、神社といえども、ここだとは思いもしなかった。さらに尾行する。すると会話が聞こえてきた。
「……なら、その様なことにしておきましょう。」
「!」
声を出すところだった。迷った時にいた奇妙な奴だ。二人は向かい合って話していた。
「ん。そうやな。それはさておき、久しいなぁ。」
「はい。お久しぶりでございます。」
鬼は会話を続ける。
「前はちぃこくって可愛かったなぁ。こんな堅苦しい敬語なんか使ってなかったのに。」
使いが苦い顔をした。
「やめてください。このこと主人に言ったら駄目だから。」
「おぉ、分かっておるよ。」
その人は心なしか楽しそうだ。夏はどうしているのか。もうそこにいなかった。神社に離れたところで息を切らしていた。
「……っはぁ、はぁ。…なん……なんで……!あいつがいるんだよ……。」
耐えられなかった。もう少し尾行をしたかった。けどやっぱり大切な人を傷つけた奴と一緒にいたくない。汗が額から垂れる。
キ
Ⅰ
ン
「……いった!」
思わず耳を抑える。その場にしゃがみ込む。
――――――――――――
「さっきの子供はどうされたんでしょう。」
「そうやな。俺に着いてきたんかなぁ。」
鬼と使いが夏の事を話す。神社の入り口の方を向く。
「てっきりここに来たから、殺すんかと思った。」
「いや、あいつは憑き者がいるので。」
二人はまた対面して話す。
「ふぅん。逃したから、その主人とやらに何か言われんの。」
「あんたには関係ないだろ。」
使いが袖を隠す。目線もそらした。 鬼を上目線で見つめる。
「それにしても、あの程度の憑き物なら、貴方様は簡単に取り除くことができるでしょう。」
「んー、まぁできるけどなぁ。そんな他人に構える程暇やないし。」
鬼が上の空を見て、ぽりぽり頭を掻く。
「あ、もしかして我が優しいと思ったらからかぁ?」
揶揄った目で見る。
「……。」
使いは黙ったままだ。
「そうなんやぁ。かわええのぉ。ほらこっちおいで。」