幕間:魔法について
翔太が魔法についてリゼに尋ねる
魔法っていうのはどのようなものか・・・?
そうすると、リゼはどこからともなくメガネを取り出し、キラキラした様子で語り始めた。
「さて、翔太くん!!私たちが住むこの世界、エルシオン大陸の魔法の講義を始めるわよ!」
ものすごくウキウキしている・・・。まるで学校の先生みたいだ。
「お、おう!よろしくお願いします・・・!」
リゼは楽しそうに解説を始める。
「まず、基本となるのは、魔法の源となる『魔力』(エーテル)よ。この魔力は私たちの身体や空間、様々な物質に存在していて、使い方によって様々な魔法に変わるの。」
「この間の《業火の舞》とか《焔護の障壁》、とか《加速》だよな。4つの属性があるのは聞いてたけど、俺の魔法みたいに属性がなさそうなものもあると思うんだけど・・・。他にどんな種類の魔法があるんだ?」
「良い質問ね!」
ビシッと人差し指を俺に向けて、メガネをクイっと直している。
新人教師って感じだなぁ・・・とリゼを眺める。
「魔法の種類は大きく分けて、4つのカテゴリーに分かれるの」
リゼは杖を取り出すと空中に文字を描き出した・・・!リゼが書く文字は元の世界の形とは異なるものだが、なぜだか読むことができる。
1.属性魔法
火、水、風、土などの自然の要素を操る魔法
「《業火の舞》や《焔護の障壁》も、これに分類されるわ。」
2.補助魔法
人の体力を回復させる、物を浮かせる、身体を強化したりする等、日常生活や戦闘でのサポートを目的とした魔法。
「《加速》は補助魔法ってことか」
3.変化・幻術魔法
物や人を変化させる、幻を見せる、姿を隠すなどの魔法。高度な魔法技術、魔力が要求される部分でもある。
4.独創魔法
その人にしか使えない魔法、他に類を見ない魔法で、現代魔術では解明できていないもの。
「翔太の魔法はこの独創魔法っていうのに分類されると思う」
「なるほど、白いオーラはリゼの魔法とは雰囲気が違うなって感じてたけど、普通の魔法とはまた別物ってことなのかもしれないのか」
「きっちりと調べてみないとわからないけれどね!この独創魔法も、使う魔力は私たちと同じように自身や空間・物質のエーテルを使って発動しているのは確かね」
なるほど、よくわからない未知の魔法っていう物がこの独創魔法にカテゴライズされているんだろう。
「これが魔法の4つのカテゴリーで、人類が使う魔法も魔物が使う魔法も、魔力を用いて発動することは共通してるわ」
魔法の発動方法にもいろんな種類があるんだけど・・・と、さらに空中に文字を描いていく
「魔法の発動は、『魔法陣』『詠唱』『霊薬』『天災』の4つがあるの」
「魔法陣や詠唱とか霊薬はなんとなくわかるけど、天災ってなんだ?」
「これも独創魔法と考え方は近いんだけど、嵐とか地震とか、自然に起きるものの中で魔力を帯びたものが存在するの。それは何らかの魔法的現象が重なって引き起こされると考えられていて、大規模な被害が発生するものよ。」
「人や魔物が発動させているとか?」
「人に扱えるレベルを超えているからそれはないと思うんだけど・・・。魔族や魔王がいた時代には、この魔法が頻繁に引き起こされていたというから、戦争の時代には扱う方法があったのかもしれないわね」
災害級の魔法、ゲームやアニメではボスとかチートな勇者が使うイメージだが、この世界の今の時代にはそういうチートキャラはいないのかもしれない。
リゼは魔法の解説を続ける。
「詠唱は魔力に言霊を合わせることで、魔法の力を引き出すことができるの。」
「詠唱って、《業火の舞》とか魔法名を呼ぶことか?」
「それは詠唱の省略のひとつね。本当は長い言霊が必要なんだけど、魔法の知識や経験を積んで練習していくことで、詠唱を短縮したり、省略して魔法を使うこともできるのよ」
詠唱破棄ってやつか、とアニメ知識を思い出しながら相槌を打つ
「ふむふむ、なるほど。」
「魔法陣は、地面や物体に魔力を込めて魔術式を描くことで発動できるの。これは、物体や空間、魔法陣に触れた人の魔力によって発動させることができるの。例えば、私が着てるこのローブ」
そう言いながらリゼは胸元を少しずらし、薄い青と白のレースがかかった、魔法使いらしく可愛らしいローブの内側に刻まれている魔法陣を見せてくれる
・・・・・・・思い切り見てはいけないものが見えているんだが??????
だがリゼは解説に集中しており、特に気に留めていないようだ。
この世界の人は、オープンなのかもしれないな!!!うん、そういうことにしよう。俺は悪くない・・・・
雑念と煩悩と闘いながらリゼの声に耳を傾ける。目じゃなく耳に意識を集中させろ・・・・・・・・・
「こんな感じで、耐・衝撃や斬撃、耐魔法の陣が織り込まれていて、私の魔力に自動的に反応して防御してくれ・・・」
リゼは語りながら俺の顔を見たのだろう。
あれ?翔太が目を閉じ顔を真っ赤にしている・・・なぜ・・・・って・・・!!!
「きゃああああああっ」
慌てて胸元を隠すリゼ。そして涙目で少し睨みながら
「・・・・・・・えっち」
と、恥ずかしそうにいうのであった。
「・・・・・・・・スミマセンデシタ」
・・・・・・・・・
この後しばらく沈黙が続き
「・・・・・・また、今度色々教えてあげる…っ」
気まずそうに顔を伏せる翔太とリゼの間に沈黙が流れていた、
そして、実はそれを遠くからコソコソっと見ていたガレオン・・・
「青春だなぁ・・・」
と、温かい目でコソコソ眺めているのであった。