祠、そして目的
村の奥の祠には、大きな石碑が立っていた。石碑の周りには古い彫刻と文字が施されており、時の流れとともに風化していた部分もあった。ガレオンは、その石碑の前に立ち止まり、手をかざした。
「この石碑は、大陸の秘密を守るためにと、代々この地に伝えられてきたものだ。」
「この文字、私たちが学んでいるものとは違う…」
ガレオンはうなずきながら、石碑に触れると、突如として青白い光が放たれた。その光が強まると、石碑の上部に浮かんでいた文字が浮き出てきた。
「この文字は、異世界からの使者だけが読むことができると言われている。」
翔太は驚きながら、浮かび上がった文字を凝視した。
「これ、読める!」
浮かび上がってきた文字は、翔太が慣れ親しんでいる言語、日本語で書かれているようだった。
「本当に?!」
「ああ・・・。」
そういえば、突然だったし色々あったから気に留めてなかったけど、リゼたちの言葉も問題なくわかるし、会話ができてるってことは、言語に関しては何かサポートを受けられてるってことなのか・・・?
翔太は浮かんできた疑問をとりあえず置いておくことにし、目の前に浮かんできた言葉を読んだ
「大陸の安寧は、四つの宝石を繋ぐ力によって保たれている。しかし、闇の力がそれを乱すとき、異世界の使者が現れて大陸を救う…って書かれている。」
「闇の力・・・それって黒煙の怪物のことかしら」
「ふむ・・・わからんが、この文字を読むことができたということは、英雄様は間違いなく異世界からの使者ということはわかったな」
英雄様、の響きになれず少し照れ臭くなりながらも翔太は質問をする
「この4つの宝石っていうのは一体何のことなのですか?」
「このエルシオンには大きく分けて4つの属性地域があってな」
ガレオンがこの大陸について説明してくれた。
この大陸はエルシオンという大陸で、火・風・水・土の4つの属性が強く出る地域を持つらしい。
今俺たちがいるのは火の属性が強く出る「フレイアル」という地域。遠くに見える山は火山らしく、時折噴火も見られる・・・らしい。
他には風の地域の「エアロン」、水の地域である「ラクイア」、土の地域である「テラグラン」があり、その各地域には王国があり、そこがそれぞれ統治を行なっている。
属性地域では、魔法にも影響を与えるようで、フレイアルでは火の魔法が、エアロンでは風の魔法が強くなったりと、魔法使いにとっても地域の影響が強いと教えてもらった。
「各地域の各王国には、四つの宝石を守る神殿が存在する、らしい。」
「らしい、って実際はわからないということですか?」
「国家機密なのよ。宝石の力って噂でしか聞いたことないけれど、国を消滅させうる力を持つとか、魔法使いの魔力を底無しに引き上げるとか、究極魔法を扱える、とかいろんな噂があって、いろんな人や組織に狙われているとか・・・」
「すごいチートアイテムってことはわかった・・・」
リゼはチート?という聞きなれない言葉に首を傾げている。
説明が難しいな・・・?と悩んでいると、ガレオンが言葉を続けた。
「この石碑に刻まれた文字によれば、それらの宝石は存在するということなのだろうな。そして英雄様が読んだ内容が正しいのであれば・・・」
リゼが手を顎に添えながら、石碑の意味を考えている
「4つの宝石の繋がりが、闇の力で乱れているってことよね・・・」
「それを正すために俺が呼ばれた・・・?」
まだまだ謎が謎を呼ぶ状況ではある・・・が、その宝石とやらを元に戻すことができれば、元の世界に帰れるのかもしれない・・・!
しかし
果たして俺は、元の世界に戻りたいのであろうか?
そもそも俺はどうやってこの世界に・・・
翔太は、この世界で目をさます前の記憶を思い出そうとする
しかし、モヤのような、頭に霧がかかったように記憶を思い出すことができない
なぜ・・・?しかし俺は・・・
翔太の思考はリゼの声でかき消された
「やっぱり、きっとそうよ!」
リゼは謎が解けた!というような表情で明るいトーンで言った
「な・・・何がだ??」
「翔太の魔法よ!それが一体なんなのか、私わかったわ!」
リゼが気がついた翔太の謎の魔法の正体、それは・・・