安堵、そして伝承
村の喧噪の中、翔太の周りには子供たちが群がっていた。
「お兄さん、さっきの炎すごかったね!!どうやってあの魔法つかったの?」
翔太は微笑みながら答えた。
「正直、自分でもよくわかってないんだ。ただ、みんなを守りたかったんだよ。」
「そんな謙虚なこと言わないでよ!」と笑顔でリゼがからかった。
その時、ゆったりとした足取りで村の長、ガレオンが近づいてきた。
ガレオンはにっこりと微笑んだ。
「先ほどは本当にありがとう、英雄様。こうして村の者みな無事でおるのは君のおかげだ」
「いえ、ほんとに自分でもよくわかっていないんですが・・・。でも助けられてよかったです」
ガレオンはゆっくりとうなずく。
「君は・・・本当に異世界からきたのか・・・?」
「どうやらそうみたい・・・です。信じてくださるのですか?」
ガレオンは再び深くうなずくと、
ガレオン「実は、伝承があってな」
翔太「それは、この大陸に古くから伝わる伝説とか・・・のことですか?」
ガレオンは頷いた。
「ああ。大陸にある古い伝承や伝説。もはやおとぎ話のように語られていたものだったのだがね。」
ガレオンは笑う
「その大陸の古い伝承の内容は、各地によってさまざまな形でつたわっているという。我々の村に昔から伝わっている内容、それによると、異世界からの使者が現れることで、大陸の危機も訪れるんだ。でもその使者には、危機を救う力が宿ると言われている。」
翔太は不安げにリゼを見た。
「だとしたら、俺がもしその使者ってことなら、俺は大陸を脅かす存在ってことか・・・?」
リゼはやんわりと翔太の手を取った。
「いいえ、伝承では大陸を救う力を持ってる。私にも分からないことだらけだけど、私があなたを支えるから・・・!」
ガレオンは笑顔でうなずきながら2人を見つめていた。
「リゼにいい人が見つかってよかったじゃないか」
はっはっはと笑うガレオン
「あ・・・や・・・!そんなんじゃないわよ!・・・まだ・・・」
リゼが顔を赤くしながらもぞもぞと話している。かわいい
「翔太くん、おそらくあなたはその使者だと思う。この大陸を救うために、私たちと一緒に力を合わせてくれないか?」
翔太はリゼの温かな手の感触を感じながら、力強く答えた。
「この世界を守りたい。だから、何もかも学びたい。まだまだできることはわからないことだらけだけど、俺でよければ喜んで力になりたいです。」
ガレオンは満足そうにうなずき、村の奥に向かって歩き始めた。
「それなら、この大陸の秘密を一つ教えてあげるよ。」
リゼと翔太は、ガレオンの背中を追いかけながら、未知の運命との対峙を覚悟して前に進んだ。