第11話:玉座の間
アグニア城
正門には巨大な鉄の門があり、その上部にはアグニア王家の紋章、炎を背にした金の獅子が刻まれている。
城内の美しさも目を見張るものである。高い天井、大理石の床、豪華な壁掛けや絨毯が敷かれ、城内ホールではシャンデリアなど豪華な照明が部屋を照らしている。
こんな緊急事態でなければ、この絢爛豪華な様子に圧倒されていただろう
しかし、今は・・・
「く・・・どうやって入ったのかしら・・・!」
メレディアが悔しそうに呟く
豪華な廊下には兵士たちが倒れており、壁には血液だろう、赤い液体があたりに散乱していた。
「こっちよ!!!」
メレディアが翔太たちを先導する。
長い廊下をぬけ、大きな扉の前に到着し、そのまま突入する
「アグニア王!!!!!」
メレディアが必死な様子で叫ぶ。それに続き翔太たちも部屋へと侵入する
「・・・やぁ、待っていたよ」
「思ったよりも早かったね?」
王の玉座の前に、黒いローブを纏った男たちが二人、こちらを見ていた
「あなたたちはいったい・・・!」
メレディアが魔法を構えながら男たちの様子を伺う
「おっと、今は戦うつもりはないんだよね〜」
「冷静に話し合おうじゃないか。王は無事だよ」
黒いローブの片方、水晶を持った男は玉座に座り込んでいる王を見せるように手を広げた
「あなたたち・・・いったい何をしたの!!」
メレディアが激昂し、鋭い炎の槍を放つ
しかし、男たちに届く前に炎の槍は霧散してしまった
「あっぶないなぁ・・・!戦うつもりはないっていっただろ??」
黒ローブの片方、少し小柄な方の男がやれやれ・・・といった様子で話している
「俺たちは、話をしてただけだよ」
「良くもそんなことを・・・!その玉座の周りの血溜まりは何!!」
「・・・これは、まぁ不可抗力ってやつだよ」
「おのれ・・・!」
メレディアが再び魔法を放とうとする。リゼやセリアも戦闘体制にうつる
が
「落ち着け」
水晶の男が一言
それだけで、翔太たちの体は硬直してしまった
「?!?!?!」
「これは・・・??!!」
「わかるかい?君たちと我々では、魂のレベルが違うんだ。魂が認識しているんだよ。我々と戦うとどうなるかということをね」
水晶の男は翔太たちを威圧したのだ
それだけで、魔法すら発動できなくなるほど、恐怖で体が固まってしまった
「・・・異世界の使者よ」
「!?こいつ翔太のことを知って・・・?」
「よく知っているさ。リゼ、君よりもね」
「私のことも知っているの・・?」
「君は、とても賢く、とても優秀で・・・女神からも愛されているようだからね。君の父上には感謝しているんだ」
「父・・・?」
「ああ。ヴァルフォーレから君を逃した、君の父上も有能だった。こんな土産まで残してくれているからな」
水晶の男はそういうと、足元に魔法陣を発動させた。
「それは・・・!《瞬間移動》?!」
「そん・・・な・・・!それは父が最期に・・・!」
水晶の男は笑う
「人を一人、別の空間へと移動させる魔法。膨大な魔力、それを行使するための強靭な魂、肉体。正確に空間を把握する能力。それら全てが必要な超高度魔法だ。君の父上は、魔力や肉体の強度が足りず、魂を投げ打つことで発動させたようだがね」
「・・・・・!!!!」
リゼの目に悔しさと怒り、困惑が浮かぶ
「どうして・・・!」
「こんな高度な魔法を死によって無くしてしまうのは勿体無かったのでね。吸収させてもらった」
水晶の男は、身体から黒いオーラを纏わせる
「それは・・・!!」
翔太が驚愕の声を上げる。リゼやセリアも同様だった
「それは・・・俺の使ってる魔法・・・!」
「くくく・・・そうさ。正確には君と俺の魔法は対魔法なんだ」
「対魔法・・・まさか」
「そう、そして世界各地にネビュロスを放ったのもこの俺だ」
そういうと、オーラを纏った手から黒煙が溢れ出した
「お前が・・・・お前が・・・・・!」
リゼは必死に体を動かそうとするが、恐怖は解けない
「お前らの目的はなんなんだ・・・!」
翔太が怒りを抑えず、黒いローブの男たちに怒鳴る
「我々が望むのは、“落日”そして、最愛の人の復活だよ」
「落日・・・?」
「・・・君とはもっと一緒にいたいが、我々も忙しいのでね」
黒いローブの男たちの足元にある瞬間移動の魔法陣がひかる
「また会おう」
そういうと、全身が光り輝き、次の瞬間にはその場から消えていた
恐怖の縛りがとけ、動けるようになった翔太たちは、アグニア王の元へと駆け寄る
「アグニア王!!!」
メレディアが王へ呼びかける
「・・・・・・・・く・・・・うぅ・・・」
意識はあるようだ
「アグニア王!ご無事ですか・・・!」
「・・・メレディアか・・・。奴らはどこに行った・・・?」
「黒いローブのものたちなら、この場から去りました」
「まずい・・・宝石の元へ向かったか・・・!」
「宝石って・・・」
翔太が声に出す
「君は・・・?」
「彼は異世界の英雄様ですわ」
「なんと・・・伝承通りになっておるわけか・・・・・・それで奴らも・・・」
「彼らはどこに向かったんですか!」
リゼはすごい勢いで、王に問い詰める
「・・・彼らは、この王城の近深く。封じられた神殿に向かっているはずだ」
「そんなものが・・・」
メレディアすら知らなかったようだ。
「そこに、宝石があるんですね?」
「ああ、奴らの目的に必要なものらしい」
「奴らは宝石で何を・・・?」
「落日と言っておったが、それ以上はわからん」
「どうやったらそこに行けるんです?」
セリアはリゼを優しく撫でながら、震える手を握りながら王に聞く
「・・・ついておいで。地下に行くには王族の血が必要なのだ」
「それって・・・」
一行は、アグニア王の後に続き、封じられた神殿へと向かうのであった




