第1話:黒い噂
翔太とリゼはアグニア王国に向かうため、馬車が止まる村へとやってきた。
いらっしゃーい!!
今日は新鮮な魚入ってるよー!
ポーションはいりませんか〜!怪我や病気、立ち所に治しますよ!!
おーい、こっちに見せてくれ!
これ安くならない?
おかーさん!!これ食べたいー!!!
小さな村かと思ったが人々が行き交っており、露店や酒場など賑わいを見せているようだった
「おお・・・!なんかやっぱり見慣れない景色だなぁ・・・!」
翔太が目をキラキラさせているのを見て、リゼは笑いながら
「せっかくだし、馬車が来るまで色々見て回らない?」
と提案する。翔太にとってワクワクするような景色、経験・・・!断る理由はなく、力強く頷く
二人は魔法道具や、霊薬店、青果店などいろんなお店を見て回る。
すげぇ・・・杖とか剣とか、こんな感じに普通に売ってるんだ・・・!
「王国に着いたらもっとびっくりするわよ〜?」
「アグニア王国には行ったことがあるのか?」
「お父様のお仕事に着いて行ったりしてたからね、色々案内できると思う」
「それは楽しみだ・・・!・・・・・・あっ」
リゼは???と首を傾げる
「今更だけど・・・この世界のお金ってどうなってるの・・・?俺何も持ってないや」
「あ、そうか・・・。村ではお金使わなかったもんね」
翔太とリゼが滞在していたガレオン村長の村、ソレイア村では物々交換や魔法の対価で、食事などを賄っていたので、通貨のことを失念していた。
「大丈夫よ」
そう言ってリゼは腰のポーチから小さな麻袋を取り出す
「旅立つ前に、ガレオンからもらってる分があるわ」
そう言って袋の中を見せてもらうと、金や銀のコインがたくさん入っているようだった
「これでどれぐらいの価値があるんだ?」
「う〜んそうねぇ・・・翔太がわかりやすいようにいうと、王国の宿屋の相場なら1ヶ月は滞在できそうね」
「ええっ!?それってかなりの金額なんじゃ・・・!」
「でも、今後のことを考えるとお金も稼ぐアテを作っておかないといけないわね」
確かに、しばらくは困らないようにガレオンが配慮してくれているのだろう。
だが、そのままでは食事や休息もままならなくなる
「お金を稼ぐ方法は?」
「王国につけばクエストとか色々あると思うのよね。採取とか討伐とか・・・」
なるほど、そのあたりは俺のオタク知識でもなんとかなる範囲かもしれないな
「王国に着いたら、黒煙の怪物とか宝石とか調べることがいっぱいだな」
リゼもふふふと笑いながら
「冒険らしくっていいじゃない!私は好きよ、こういうのも」
リゼは楽しそうに笑っている。その笑顔を見ていると癒されるし、つられて笑顔になってしまう
二人がそんなやりとりをしていると、商人たちの話し声が耳に入った。
「やっぱり、アグニア王国の様子がおかしいって?」
「ああ・・・昨日までずっと商売してたんだけどさ、ピリピリしてるし、王国兵が露天チェックに来たり、頻繁に外に王国兵が出て行ったり、なんか戦争でも始まるんじゃねーかなって思ってさぁ」
「黒装束の奴らも現れたって?」
「俺は見てないんだけどな、なんか旧市街の方に向かっていくのを見たとか、人探ししてるとかそんな噂を聞いたぜ」
「黒いモヤの化け物も王国外に現れたりしてるし、最近は物騒になってきたなぁ」
「あぁ、ネビュロスって王国では呼ばれてたけどな・・・何事もなければいいけど、なーんか商売やりにくい雰囲気だったぜ」
翔太とリゼは商人の話を聞き、お互いが頭の中で情報を整理していた
黒煙の怪物はネビュロスって名前がつけられたのか・・・。王国の雰囲気がピリピリしてるのは、黒装束の奴らとか、宝石の伝承と関わりがあるのか・・・?
黒装束・・・、ネビュロス・・・
二人が考え込んでいると、馬車が到着するベルが聞こえてきた
ベルの音に、思考から現実へと意識を戻し
「・・・行こうか」
「ええ・・・」
不安と新たな謎を抱えたまま、アグニア王国行きの馬車に乗り込むのであった。




