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【小説】オリジナルの小説っぽいやつ

異世界からの召喚の仕組みまたはその人格形成の過程について

異世界からの召喚の儀式というものがある。

それは現在の私達の世界ではありふれたものになっているが、詳しくないものもいるから説明することにするとしよう。

異世界からの召喚、これは目的が合って行われることがほとんどである。

当然のことながら、これはそれなりにコストのかかる作業となるためだ。

召喚する目的に対してコストが釣り合わないとみなされれば行われることはまずない。

あるとするならば現場が政治屋などに負けた場合などだろう。

偶然行われることもあるが、これは今は説明を割愛させていただく。


当然のことながら召喚するのは目的を満たすものでなければならない。

目的というのは状況によって変わり、力であったり、知識であったりする。

ただ力を得る目的において、異世界から召喚することはめったに無い。

なぜならば異世界からくるものは呼び出す側の世界にとっては理から外れるものであり、世界の理を外れるということは扱えないものがほとんどだからだ。

例えばこの世界で言う魔術に詳しいものを召喚するとしよう。

それを異世界に求めるかというと否だ。

過去にあった秘術、未来に発見されるであろう技術。

そいうものに求めることがほとんどだろう。

つまり研究や過去の資料の発掘を行ったほうがよっぽど有意義である。

力を得るために異なる世界から召喚を行うことはまずないが、あるとすれば力と知識が紐付いている場合、それ得るためだろう。

故にこのようなケースは例外と考えて良い。

異世界から来たものがこの世界の理に背いて、強い力をふるえる可能性はまずない。

何が言いたいかというと異世界からの召喚は世界とは異なる理の知識、技術を求めるために行われることがほとんどであり、召喚したそのものの力を求める事はまずない。


それでは次に召喚という選択肢になる場合が知識や技術といったもののためと言ったが、これを行う上で必要なものを述べよう。

世界で活動するための体、つまり肉、そして異世界の知識ここまでは通常思い浮かぶだろう。

しかしながらこれを運用するためにはもう一つ必要なものがある。

異世界の人格である。

これらが必要な理由については順に述べていく。


肉は絶対に必要なものである。

当然のことながら知識だけを召喚したところでそれを記憶する媒体がなければ霧散するだけだからだ。

ゆえに肉は厳選され、そしてできる限りものが詰められるようにする必要がある。

つまり質の良い肉とその今までの情報削除だ。

召喚においての準備でここがなかなか難しい。

なぜなら質の良い肉は大抵それなりの地位にいるからだ。

そんな地位にいるものが肉になる選択肢を選ぶかといえば否だ。

そのため肉は今にも没落しそうな貴族などの家族が差し出されることがほとんどだ。

肉の質と地位の低さを両立する上でまたとない条件である。

そして情報の消去の方法は、それなりに非人道的だ・・・こう言えばまぁ大体想像がつくだろう?


次に知識だが、これのために呼ばれるのだから必須要件だ。

必要な知識を持った異世界をどうやって探すのかと言われることが多いが、これは地道な探索によって行われる。

どのような方法で探索するのかといえば、異世界そのものに質問を送信し、たまたま受け取ったものの回答を受信する、これだけだ。

これを無闇矢鱈と行い。そして適切な回答を行った異世界の知識が必要となる。

では適切な回答とはなんだろうか?

質問に対し回答がない場合は当然ながら選考外だ。

当たり前といえば当たり前だろう。

既知の知識を回答してきた世界も当然ながら選考外。

そして質問に対し、こうやってこうすればといいのではなどと提案を回答する世界も選考外である。

そんなありきたりなものであれば研究に投資すればいつかはたどり着く。

では適切な回答とはなにか。

例えば、私達の世界が小麦を引くのに石臼を人力で挽いており、水車を知らないと仮定する。

それを小麦を挽くために効率的に行えないかと質問をする。

そこで水車を使えばよいのにと未知の単語で回答してきた世界が対象となる。

単語で答えられるほどに昇華された知識、それを持った世界が対象だ。

この回答を行った世界の者周辺からまんべんなく知識を取得する。

そして肉に知識を定着させる。

これが召喚の大まかな作業となる。


そして次に人格の形成であるがこれが最後の難関だ。

さて、肉にも人格があるのでそれを利用すればいいのではという意見があるだろう。

それは正しい思考だ。

しかしながら、異世界の知識を利用するためにこれまでの人格は邪魔である。

なぜならば今までの常識が邪魔をして、知識をうまく運用できないからだ。

つまり人格も異世界から召喚する必要がある。

さて、そこで問題が発生する。

異世界からわざわざ来て私達に協力的な人格があるかということだ。

そんなモノがあるとすればよっぽど稀有なものであると言わざるを得ない。

わざわざ理の違う世界に来て都合よく利用される人格などたいていゴミでしかないし、そんなゴミが知識を正しく運用できるかといえばまずありえない。

そのためそれなりに強い人格が必要となる。

そして勘違いしているものも多いのだが、実際に人格が移動するわけではない、行うのは複写である。

わざわざ異世界に干渉して、何かを消すなど無駄でしかない。

そういう理由で実行される方法が名乗りの儀式となる。


かんたんに説明すると、質問に答えたモノを中心として複数の人格を肉に複写する。

しかし当然ながら人格が複数あるというのは非効率でしかない。

つまり統合が必要である。

そのため最後にこう聞くのだ。

「あなたの名前は何というのでしょうか?」

この質問に答える過程で行われるものをなんと表現すればよいのか。

質問をされたモノ達は思考する。

さて、誰に問われたものだろうかと。


この質問にこれに応えたモノが主人格となり

他の人格を統合する。


そのため問われたモノ達は議論する。

この体は誰のものなのかと。


そして勝ち上がってきたものが名乗りを上げる。

そうして召喚の儀式は完了するのだ。


そのため・・・・


亞八女(カナタ)だ。」


「今なんと?」


彼方(アヤメ)だ。」


今2重に声が聞こえた。

つまり・・・


そして肉は倒れた。


重複した思考に耐えきれなかったのだろう。


「何ということだ。」


ここまで入念に準備し勧めた召喚は失敗してしまった。

私は泣きそうになった。

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