4 長い夜 (B)
続きです!
あと、1-bを加筆修正しました。
何回も修正して、大変恐縮ですが、表現方法やイメージしずらい箇所を修正したつもりなので、
もしよろしかったら、読み直して頂けると、嬉しいです!
<<<<<トウカ:パート>>>>>
ボディブレードを握る両手に、さらに握力をかけた。
“ヒュンヒュンヒュンヒュン!!”
ボディブレードの振動は頂点に達している。
俺自身の覚悟もできた、心の準備も大丈夫だ。
“ガシャ! ガシャ! ガシャガシャガシャ!!”
「おっりゃぁぁ!!」
“バリン!”
風呂場のドアについてる、スリガラスが割れた。
金属バットが飛び出している。
「……ッチ。ーーぁんで、あちこちにカギが掛かってるんだよ……」
割れたスリガラスから、顔を覗かしながら、その女性は、男顔負けのような言葉遣いで言った。
雰囲気は、高校生くらいの年齢。
ポニーテールをしており、髪には三つに分かれている白のラインがある。
耳には銀色のリング型ピアス。
特に特徴的なのは、目だ。
とにかく目つきが、ヤンキー顔負けの鋭さだ。それに、瞳の色は薄い赤色。
「あ……」
俺は、何を言えばいいのか分からず、その一文字しか発せられなかった。
「おい!」
女性は、恐喝するヤンキーのように、俺のことを睨みながら言った。
「は……はぁぁいぃいぃ!!」
俺は、脅える小鹿のように、震えながら、返事をした。
恐怖のせいか、馬が鼻を鳴らしているような、返事をしてしまった。
目の前の女性は鋭い眼光で、相変わらず、俺を睨んでいる。
俺は知っている。これは地元の駅でよくたむろしてるヤンキーの部類だ。
目の前の女性は友好的ではないと確信した。
「おまえ、それなんだ?」
「はいっ?」
何を言ってるのか分からない……。
それに、初対面なんだから、もっと……こう……言い方ないの!
泣きそうだ……。
「その、振り回してるもんだよぉ! ああぁんっ?」
いきなりの、大声で、俺はビクッとなった。
ヤンキー娘の視線の先をたどると、どうやら、俺が持っているものを見てるらしい。
俺は、振動させているボディブレードを見た。
いかに、話が通じない人間でも、最初に敵対行動をするのは得策ではない。
ボディブレードを止めようとするが、止まらない。
(落ち着け……。止まれ! 止まれ!!)
止まらない。止まるどころか、なお振動してる。
(なぜ、止まらないんだ! そんなに荒ぶっちゃって、いったいどうした!?)
いや、止まらないんじゃなくて、止められないんだ。
自分の腕を見ると震えている。恐怖で震えているんだ。
その震えに呼応するようにボディブレードが激しく振動している。
「これは……、違うんです!」
とっさの一言だ。
「何が違うんだよ! そんなもんで何するんだよ……ああぁんっ? 言ってみろよ!」
“ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!”
さらに加速をつけ、ボディブレードの振動がついに限界突破した。
ヤバい……。なんか怒ってる。
ことわざにある、『火に油、ヤンキーにボディブレード』ってこのことだな……。
「ッチ。……まぁいい……。ここ開けろ」
「ひゃぁいぃ!」
俺は、とにかく開けなきゃ、事態はどんどん悪化すると、直感で分かった。
しかし、開けられない……。
足も震えてる。そして、相変わらずボディブレードは止まりそうにない。
「おい……。何してんだ? は・や・く・ここ開けろゆーたんだけど?」
「開けます開けます開けます!」
(止まれ! 止まってくれ! 俺の……俺のボディブレード!!)
俺は心の中で必死に念じた。
「開けろって言ってんーーーーー」
それは、突然の出来事だった。
割れたスリガラスから覗いていたヤンキー娘が、瞬間的にいなくなった。
“バリン!!”
鏡が割れる音がした。
「!!!」
何が起こったのか分からなかった。
俺の思考は停止したが、嫌でも、すぐに理由が分かった。
“ズリッ……ギギギッ……ズリッ……”
何かを引きずるような、引っ搔くような音がする。すると、割れたスリガラスから、そいつの顔が見えた。
「ア……ア……ア……マ……」
一見すると、普通の成人男性の顔だ。
さらさらロングヘアーで、センター分けをしている。整った顔だ。いわゆるイケメンというやつだ。
三次元に興味がない俺でも分かるレベルで、イケメンだなと思う。
ただ一点、明らかに、おかしな部分がある。
目だ。片目だけ、大きなコブのように飛び出てる。
まるで、片目だけのデメキンのようだ。
その飛び出てる眼球が、なにやら、もぞもぞと動いている。
よく目を凝らすと、眼球の中に目と口と鼻が着いてる。ーーーー顔があるのだ。
眼球の中にある目は、生まれたての赤ちゃんのように、少し腫れていて、閉じていた。
「ア……マ……ア……ア……」
先ほどから、聴こえる途切れ途切れの、ねちっこい、男性のような低い声は、眼球についてる顔から発せられていた。
俺が、その怪物に対して恐怖を感じる前に、それは突然起こった。
“ドドドドドドドッ!!”
にぶい、大きな音と共に、風呂場のドアが無くなったのだ。
正確に言えば、風呂場のドアがある壁全体が、何かに引っ取られたかのように、無くなっていた。
「あ……あ…………」
頭が真っ白になる。
無数のホコリが舞う中、そいつの全身がはっきり見えた。
俺は、息を吞んだ。
誤字脱字があれば教えてください。
また、分かりずらい箇所があれば、指摘していただけると、嬉しいです!
明日も一話分投稿しようと思ってます。
引き続き、読んでいただけると嬉しいです!