3 動き始める世界
続きです!
2を少し加筆修正しました。
<<<<<ゲンジロウ:パート>>>>>
ゲンジロウーーーー私は、ごく一般的なサラリーマンだ。世間一般にいう、平社員という立場にいる。
毎日、毎日、課長に怒られ、部長のご機嫌を伺う仕事だが、それも最愛の家族のためにやっていけてる。
一番年齢が上で、長男の『トウカ』は今年で大学三年生だ。大学に入学する前は女っ気が全くなく、彼女ができるのか心配していたが、最近、ある女子の名前が口から時々出るようになった。
名前は確か……『ぷり子』さんだったような、どちらにせよ、父親として嬉しい。
長女の『リッカ』ちゃんは、高校二年生になる。末っ子ということもあり、家族みんなリッカちゃんに甘々だ。
こないだも、友達とおしゃれしたいから、洋服買うお金欲しいっていうから、一万円渡したら、足りないと言われてしまった。それならと、二万円渡しても、足りないと言う。
結局、五万円渡してしまったよ。
大丈夫、また、へそくりを貯めればいいだけ……。しばらく、外食はできないな……。
きっと、リッカちゃんは、今よりも可愛くおしゃれになると思うと、かすり傷だ。
ある日、いつも通り会社から家に戻ると、最愛の息子、トウカがまだ家に帰っていないと、母さんが心配そうに言ってきた。リッカちゃんは、テストの手ごたえが悪くて、気分転換してるんじゃない? そのうち帰ってくるよって言ってたけど、どうも胸騒ぎがする。
私は、居ても立っても居られずに、仕事カバンを母さんに預けると、急いで玄関を飛び出した。
「お父さん! どこいくの!?」
母さんが、大きな声で呼び止めた。
「母さん……。どうも胸騒ぎがしてしょうもないんだ……」
母さんの目を見て言った。
「お父さん! 何も会社から帰ってきたばかりで……。警察に電話したほうが……」
「警察が動き出す前に、トウカに何かあったらどうするんだ!!」
久しぶりに大声を出してしまった。
母さんは驚いた顔をしていた。リビングから顔を覗かしているリッカちゃんもだ。
「母さんとリッカちゃんは、日付が変わる前に、私が戻って来なかったら、警察に電話してくれ。私は、思い当たる場所を片っ端から探してくる」
私は、急いで玄関のドアを開けた。
“ガチャッ”
ドアを開けると、赤黒い強い光が、家中を照らした。
「!!!」
光が強すぎて、目を開けられない。
(クソッ! ここで仕事の疲れが出てきたか……、立ち眩みもする……、それでも私は行かなければならない!)
愛する息子の、様々なシーンの笑顔が脳裏に浮かぶ……。
そう……、この笑顔は、息子に初めておもちゃを買ってあげた日ーーーー。
この笑顔は、息子が初めて絵のデッサン用に欲しいと駄々をこねた、女の子のフィギュアを買ってあげた日ーーーー。
この笑顔も、女の子フィギュアをーーーー。この笑顔も女の子フィギュアをーーーー。
「こんな、仕事疲れで、倒れるわけにはいかないんだぁぁぁ!!」
気合を入れると、おぼつかない足に力を入れ、一歩踏み出した。
「バウッ!!」
後ろから、我が家の愛犬『ミツゴロウ』の声がしたーーーーー。
“バタン!”
ドアが閉まった。
ーーーーーーーーー
ーーーー静寂。
ドアを開けたその先は、見渡す限り、青空のような空間だった。
「ここは……。」
「バウッ!」
足元を見ると、ミツゴロウが足にくっつくようにいた。
「おお……。お前も一緒にトウカを探しに来てくれたのか……」
「フシュッ!」
ミツゴロウは返事をするように鼻を鳴らした。
私は、頼もしい愛犬ミツゴロウの腹を激しく撫でてやりながら、今いる状況について、冷静に考えた。
「キタ」
ふいに、声が響いた。
「!!!」
今の声は、耳から聴こえたというよりは、頭の中で響いた感覚だ。
「----キタキタキタキタキタキタキタキタキタキターーーー」
頭の中で、ひたすら繰り返される声。
それは、壊れたラジオのように、早口で繰り返し響く。
何十人、何百人という声だ。その声は歓喜の声色もあれば、絶望の声色も混じっている。
私は、恐怖を覚えた。
「ヴゥゥゥゥゥゥ!」
ミツゴロウが私を守るかのように、私の周りを回りながら唸り始めた。
「…………」
ミツゴロウが唸り始めると、さきほど響いていた声はピタリと止まった。
何がなんだか、分からない。
だんだん、心臓の鼓動が高まってくる。
不安からなのか恐怖からなのか分からないが、とにかく、ここから離れなければと直感で分かっている。
しかし、見渡す限り澄んだ青が続くこの世界で、どこまで、どのように逃げようか……。
私は、考えるより、行動が先だと覚悟を決めた。
今すぐにも、駆け出そうとした、その時。
「キタ……、トビラノカギ……」
「キタ……、コレデユルサレル……ココカラデラレル……」
突然、意味が分かる言葉が、頭の中に発せられた。
「キタ……、キタ……、『禍を呼ぶ化身』……」
「……オユルシクダサイ……オロカナモノタチヲ……」
私が固まっていると、目の前に、一人の女性が立っていた。
赤をベースとして、川の絵が描かれている着物に、黒の帯。
髪型はおかっぱで、どこか幼さがある顔立ちだ。
その女性は、先ほどからそこにいたかのように、当たり前のように立っていた。
今の現状に、頭が処理しきれない……。困惑していると、その女性の口が動いた。
誤字脱字があれば教えてください。
明日も一話分投稿しようと思ってます。
よろしければ、読んでいただけると嬉しいです!




