2 長い夜 (A)
続きです!
あと、1-a、1-d、1-eに修正+加筆をしました。
とくに1-dは加筆部分が多いため、もしよろしかったら、読み返して頂けると嬉しいです!
<<<<<トウカ:パート>>>>>
俺が、なぜこのような境遇にいるのか、お分かりいただけただろうか。
いろいろと濃密な一日だった。
テストを受けるために、外出しただけなのに、いつの間にか化け物がいる異世界にいるだなんて……。
俺が知る異世界物語は、めっちゃ美人な女神様が出てきたり、最強の武器や能力を与えられたりして、勝ちゲームな人生を謳歌するはずなんだけどな。
そういえば、家族はどうしているんだろうか……。
俺がまだ、帰宅してないから、母さんやリッカちゃん、父さん、それにミツゴロウが心配してるだろうな。
俺は、寝転がることができない、堅い浴槽の中で、一人寂しく家族のことを思った。
“ガリッ、ガリッ”
爪で何かをひっかく、小さな音が聴こえる。
(もしかして、二階にいる犬型怪物が扉の前にいるのか!?)
いや、俺は知っている。
こういうときは、考えたらダメだ。
きっと、近くの野良猫が爪を研いでいるだけだ。
俺は、怖さを紛らわすために、狭い浴槽の中で、無理やり寝転がって体制を変えた。
「ウワァァァァァァ!!!」
「誰かーー!!!」
「ママ!!!、ママァァ!!!、ママァァァァ!!!」
悲鳴や叫び声が、さらに響く。
いったい、外で何が起きてるんだよ……。
窓を開けて確認した方が、いいのだろうか……、いや、やっぱり怖い……。
“ガリッガリッガリッガリッ!”
ひっかく音が激しくなっている。むしろ、音が大きくなっているような気がする。
“ガリッガリッ! ドン! ガリッガリッ! ドンドンドン!”
なんか、激しくないか?
猫って、そんなに全力で爪研ぐの!?
それに気のせいか、ドアを叩いてる音も混じってる。
(落ち着け落ち着け! 大丈夫大丈夫大丈夫! あれは猫! あれは猫! )
ボディブレードを握る手に力が入る。
頼む! 早くなり止んでくれ!
“ドン! ドン! ドン! ドンドンドン!!”
「ァァァァァァマァァァァマァァァァァ!!」
(!!!!!)
とてつもなく、大きな叫び声が聴こえた。
その声は、あまりにも、大きすぎて直接頭の中に響いているのかと勘違いするレベルだ。
いきなりのことで、身体が硬直した。
「キャウン! バフッ……」
耳をつんざくほどの大きな叫び声が終わると、先ほどから聴こえていた爪を研ぐ音が止み、喧嘩に負けた犬のような鳴き声が聴こえた。
“…………”
静寂。不気味なほど静かになった。
うるさかった環境から、いきなり静かになると、人間ってこんなに不安・恐怖を感じるんだ……。
「なんか、怖くなってきっちゃった……」
あまりにも、静かすぎて怖い。膝を抱えながら、思わず、呟いた。
“ドン! ドン! ドン!”
おいおいおい! 今度は明らかに、何かがドアに体当たりしてる。
俺は、急いで浴槽から飛び起き、風呂場のドアにカギがされてるか、確認した。
「おっっりゃぁぁ!!」
“バーーーーン!!!!”
突然の気合が入った声と共に、大きな音がした。
今の声は、人間の女性のように聴こえた。
「ーーーーッチ。ご丁寧にカギ掛けやがって!」
人語が聴こえるぞ。少なくとも怪物ではなさそうだ。
もしかしたら、話せば分かる人なのかも……。
いや……、落ち着け俺、今までの出来事を考えてみろ。
この世界で出会った生物としては、化け物と、困ってる人を見捨てるクソな考えの女、まともな思考じゃないおっさんだけだ。……おそらく、おっさんは死んでるだろうけど……。
考えろ……、人語を話す化け物かもしれないし、人間だとしても友好的でない可能性が高い。
俺は、ボディブレードを構えた。
大丈夫、あの映画を信じろ、俺自身を信じろ。
刀を持った侍でも、化け物にだって戦えるはずだ。
ボディブレードを握る手に力が入る。
“ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン!”
ゆっくりと、助走をつけるように、ボディブレードを振動させる。
“ヒュンヒュンヒュンヒュン!!”
ボディブレードの振動数が頂点に達した! と思ったところで。
“ガシャガシャ!”
何者かが、風呂場の扉を開けようとする。
「なにこれ……。ここもカギ掛かってんじゃん……、ッチ……」
わーー、ワイルドな口調だなーー。
俺がよく知る家族以外の女性ーーーー『魔法少女プリティー☆もきゅもきゅ』で登場する主人公の『ぷり子』ですら、舌打ちはしなぜ?
真面目で、お淑やかな俺とは、相性が悪そうだ。
確信をもった、風呂場の扉の外にいるのは、スキを見せたらダメな相手だ。
俺は深呼吸をした。どのタイミングでも大丈夫だ。準備はできている。
明日も一話分投稿しようと思ってます。
一点だけお知らせというほどでもありませんが、
今日投稿した「2 長い夜(A)」から物語が動き始めます。
作者的には「1-~」全部で一話分と考えてました(笑)
ここから3話分くらいシリアス部分が多少ありますが、引き続き、読んでいただけると嬉しいです!