表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/34

1-e ドキドキな一日

続きです!

<<<<<トウカ:パート>>>>>


 ドアを開けると、階段前に犬型怪物がいた。

犬型怪物は、イノシシのように足を蹴り上げ、今にも突進しそうな気迫をしている。



 「ウォォォォォ!!」



俺は力いっぱい、激しくボディブレードを動かした。

横に、縦に、斜めに。


 “ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン!”


 ボディブレードは鋭い風を切る音を出している。

すると、犬型怪物は動きを止め、ジッと俺を見つめた。


 “ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン!”


今度は、ワンテンポずつ、リズム良く、オーバーな動作でボディブレードを振動させた。



 「ゥゥウゥゥゥ……」



犬型怪物は低く唸る。



 (いいぞ! ネットの通りだ!)


 

 ネットにはこう書いてあった。

 

 『動物は基本、相手が大きかったり、すごい音だったりを恐れる習性がある。もし、襲われそうなら気合で身体を大きくして、気合で動物が怖がる音を出せ』


 この記事を見た時は、ふざけてんのかと思ってたけど、ものは試し。

今こうして、やってみると、効果てきめんだ。

俺は、ここがチャンスだと思い、ボディブレードを動かしながら犬型怪物に近づいた。



 「ウッ! ウッ! ウッ!」



犬型怪物は、様子見なのか威嚇なのか分からない、リズムよく猿のように唸っている。

きっとひるんでいるんだと思う、でも、まだ何かが足りない……。



 (ボディブレードだけじゃだめなのか…………)



必死に思考を巡らせて、ある行動にたどり着いた。



 「おーー……rororororororororo!!」



威嚇だ。それもベロを巻くように、大きな声で。

俺は、威嚇と、絶え間なく全力でボディブレードを振動させた。

俺のベロがつるのが先か、喉が枯れるのが先か……、それとも腕がつるのが先か。



 「フーー……フーー……」



犬型怪物が大人しくなった。

このまま、これで押し切るぞ!!



 「バフッ!」



急に吠えたと思ったら、なんと、犬型怪物の頭が三百六十度、回転した。


 

 「フクロウ!!!」



俺は呆気にとられ、ボディブレードを動かす手を止めてしまった。

頭が回転したと思ったら、犬型怪物はジャンプをして、天井に張り付き、俺をジッと見つめた。

何がなんだか、よくわからずに俺は棒立ち状態になっていると。



 (今が一階に降りるチャンスなんじゃないか!?)



 頭の中で、声が響いた。

我に返ると、睨んでいるクマから逃げるように、犬型怪物から目を離さず、ゆっくりと静かに、後ろ向きで移動した。

犬型怪物は俺が一階に降りるまでの間、二階の天井からずっと見ている。

一階まで降りると、犬型怪物は闇に消えた。

 

俺は、高鳴る心臓を無視して、一目散に、何も考えずに近くのドアを開けて入った。

そこは、洗面台と風呂場がある小さな部屋だ。

今にも、あの犬型怪物が一階に降りてくるのではと恐怖を感じた。

幸いなことに、部屋のドアと風呂場のドアの二か所にカギが付いている。

部屋のドアのカギを閉め、風呂場に入ると、風呂場のドアのカギも閉めた。



 (二重のカギなら安心だろう……)



風呂場の中は、足を抱えれば身体全体が入りそうな浴槽と、小さな窓が一つあった。外は真っ暗だ。



 「ワォォォォン! ォォワォォォォンンン!!」



 どこからか、犬なのか、それとも別のモノからなのか、分からない鳴き声が聴こえる。

さっきから震えが止まらない。寒い。浴槽の中にいた方が、幾分かマシになる気がする。



 (今夜はこの浴槽の中で寝て、明るくなったら、急いでここを出よう)



 俺は、今後の不安がこみ上げる中、今朝食べた卵サンドの味を思い出し、ボディブレードとひざを抱えて眠りについた。



 「腹、減ったな……」

誤字脱字があれば教えてください。

明日も、一話分投稿しようと思います。

よろしかったら、読んでいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ