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1-c ドキドキな一日

続きです!

あと、1-aと1-b を少し修正+加筆しました。

<<<<<パート:トウカ>>>>>


 ベランダに立っている女性は、不安そうな顔で俺を見ていた。

見た感じ、同い年くらいか、俺より年齢が少し上くらいの女性だ。髪はショートで、白いTシャツに


 『ワタシは、ヒロイン』


と記載されている。

なかなか、いいセンスを持ってるじゃん。

俺はTシャツの文字をマジマジと見ながら、そう思った。



 「あの……。あまり大きな声を出すと、見つかってしまいますよ」



どうやら、この女性はさっきのことを見ていたようだ。


 「アドバイスありがとうございます」


ようやく、まともに話ができることの嬉しさで思わず顔がニヤッと緩んだ。

そして、必死になって、さっきの起きたことを説明する。



 「ボク……さっき道で男性に話しかけたんですよ! そしたら人間じゃなくて……初めてのことだったんで……その……下品なんですが……おねしょ……しちゃいまして……」



自分でも何言ってるのか分からない。しかし、切羽詰まってる感は伝わっただろう。

そして、助けて欲しい気持ちで、女性に下手に言った。



 「すみません、その……。もし、ご迷惑でなければそちらに行ってもよろしいでしょうか」



女性は、俺の顔を見て、一瞬、口をひきつらせた。

その後、まるで犯罪者が目の前にいるかのような表情になり、エンジンがついた首振り人形のように、首を横に振ると。



 「ダメダメダメダメ!! ここすっごく汚いんです! それにほらっ! 見ず知らずの男性を女性の部屋に入れるのにも心の準備が必要だしね!」



女性は必死に、俺を説得するように早口で言った。

どうやら拒否されたようだ。



 「そうだ! 直に日が暮れます。夜になると、あいつらが出てくるので、君も早く隠れた方がいいよ!」



女性はそそくさと建物の中に入っていった。



 (一軒家なんだから、一部屋くらい貸してくれてもいいじゃん。助け合いの日本の精神はどこにいったんだよ……)



俺は心の中で女性に毒づくと、隠れる場所を探しに歩き始めた。



 (そういえば、おっさんがここを真っ直ぐいくと『シロクロ☆バナナ店』があって、そこに来いって言ってたな……。

いや、そもそも、あんな化け物にロックオンされてたんだから、おっさん死んでるだろ。)





しばらく歩くと、辺りが暗くなってきた。



 (マズい……)



大抵、こういう時に、直感的なことを思うと、フラグが立つ。

友達から一級フラグ建築士って言われてたのを、思い出した。


 “ウォォォォォ”

 “ギュゥゥゥ、グァァァァ”

 “ァァァマァァァマァァァァ”


 遠くの方から、獣の雄たけびみたいな叫び声が聴こえてきた。

焦りと恐怖で心臓が高鳴りだす。周りを見渡すと、比較的、損傷がひどくない一軒家があったので、急いでそこに向かった。


 

 

 一軒家に着いた。その一軒家は壁はひび割れているものの、柵があって、二階建てだ。

玄関前まで行き、ドアが開かなかったら、どうしようかと考えながらドアに手を掛ける。


 “ガチャ”


 よかった、ドアに鍵はかかってなかった。

俺は恐る恐る、ドアを開けると、中は真っ暗だった。



 「あのー……。誰かいませんかー……。」



 “………………”


真っ暗な家の中からは、物音一つせず、とても静かだった。



 「いませんよね……。……、お邪魔しまーーす……」


 

 俺は、日本人だ。いかなる時でも、礼儀は欠かさない自分を誇らしく思う。

玄関から先は、廊下がある。その先にドアがある。俺はゆっくりと廊下を歩き、ドアを開けた。

ひらけた部屋だ。たぶん、リビングだと思う。

俺は、目を凝らし、耳を澄ました。

今のところ、奇怪な音は聞こえないし、異様なモノも見えない。

一先ず、安心した。

 

 次に台所に向かうと、武器になりそうな物を探した。武器になりそうなものといえば、包丁一択でしょ!

くまなく、台所の引き出しやらを探したが、包丁らしいものは何一つ見つからなかった。

鍋や食器類すら見当たらない。



 「たぶん、ドアの鍵が開いてたから、誰かここにいて、次の場所へ移動したんだろうな……。その時に持ってたのか……」



 この後、二階などの部屋も探索しようと考えているので、武器になりそうなものは欲しい。

俺は切羽詰まった感じで、台所の隅々まで再度探した。あるのは、トングや料理に使う小道具だけだ。

落胆した。それでも、何か使えるものはないか、今度は部屋の隅々まで見渡すと、ちょうど奥の床に置いてある、ある物が目に入った。

それに近づくと、箱には簡単な説明文が記載してあった。


 『振るだけ! 簡単エクササイズ! 本商品のしなりを利用して、二の腕を含めたあらゆる部分を刺激!』


 箱からそれを出し、手に取りながら、ある一本の映画を思い出していた。

その映画は、中年サラリーマンが戦国時代にタイムスリップして、何とか現代に帰るまで生き延びるという内容だ。



 「そういえば、あの映画では、これを使って、弓矢をはじいたり、刀を持った侍と戦ってたな……。」



 “ブン、ブン、ブン、ブン!!”


まだ使える。俺は少しの希望を抱いて、ボディブレードを装備した。

今日も二話連続投稿します!

よろしければ、読んでいただけると嬉しいです!

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