29 燃える村上!
続きです!
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豪快に響き渡るエンジン音。
迫りくるバイク。
俺は今、全力で走っている。
「なんで、こんなとこにバイクがあるんだよーー!!」
俺は走りながら叫ぶ。
すると、後ろから俺のことを追いかけるようにバイクから逃げる村上さんが言った。
「トウカくん、何も考えるな! 今は走れぇぇぇぇ!」
“ブルゥゥゥゥゥゥゥ!!”
親切なことにバイクはヘッドライトを点いており、前は明るい。
俺は後ろを振り返り、バイクを確認した。
バイクの運転手をよく見ると、若い女性だ。
(あれ? あのイカしたセンスのTシャツどっかで見たことあるような……)
その女性は白いTシャツに、
『ワタシは、ヒロイン』
とプリントされていた。
(もしかして……。あの時、俺を部屋に入れなかったクソ女じゃね!?)
運転手の顔を見ると、あの時のことが鮮明に思い出した。
雰囲気は、俺と同じ年くらいの若い女性。
髪は黒髪ショートで、クラスに一人はいそうな大人しそうな顔をしている。
「おまえは、あん時のクソ女!!」
つい、叫んでしまった。
すると、村上さんは、
「トウカくん、あの女性と知り合いなのか!?」
「はい。知り合いというほどでもありませんがーーー」
俺は、続けて言う。
「俺が全裸にも等しいような無防備な状態で行く場所もなく彷徨っていた時に、あの女性とちょうど会ったんですよ。ボクは助けを求めたんですけど、あの女性は安全な場所からボクが路頭に迷うように仕向けました」
村上さんは、真顔になる。
俺は村上さんの顔を見て頷く。
あの時の女性がなんでこんなとこにいるのか分からない。
それになんで俺らをこんなに追い回すんだ?
もしかして、人をバイクで追い回す趣味があるのか?
俺はそんなことを考えると、その女性は泣きながら叫んだ。
「誰か止めてくださーーーーい!!」
「「えっ!?」」
俺と村上さんは声をハモらせた。
(あの人、バイクが止まるまで俺らを追い回すつもりじゃないよな!?)
村上さんは女性に大きな声で言う。
「あのーー! それカラクリ式自転車ですよね!? ブレーキレバーはないんですか!?」
すると、女性が大きな声で嗚咽を交えて返事をした。
「その……レバーを引いてるんですよ゛……。でも……止まらないです゛ぅぅぅぅ!!」
俺は、さっき後ろを振り返った時に気付いたことがあった。
なんかバイクの周りから、黒い糸のようなものが大量にくっついている。
まるで、バイクから髪の毛が生えたようだ。
「トウカくん、見えるかい?」
村上さんが話しかける。
「ええ、見えます」
村上さんが何を見てるのか分からないが、俺は空気を読んで言った。
「そうか、なら俺は右をやるから、トウカくんは左を頼む。そうすれば、あの暴走自転車は止まるはずだ」
うーーん。この人は一体何を見て、何をする気だ?
もしかしてこの人だけにしか見えないものがあるとか?
俺はあれこれ考えるが、村上さんはバイクの右側に並走するようにスピードを緩めた。
(何をすればいいのか分からないけど、左に行っとくか)
俺は空気を読める人間だ。
俺は左、村上さんは右でバイクを挟むように並走している。
女性は大きな声で泣き始める。
「ビエーーーーーン!!!」
おいおい、今どきそんな漫画みたいな泣き方をする女子がいるとは……。
「トウカくん、“3”の合図で、お願いね!」
「“3”ですね……。分かりました!」
返事はしたけど、“3”の合図で何をするんだ?
ん? “1、2、3!”か? “3!”の可能性もある?
俺はだんだん分からなくなってきた。
いろいろ考えているうちに、村上さんはカウントし始めた。
「“1、2、……3!!”」
本当に何をすればいいのか分からずに、“3”になってしまった。
「キャッ!!!」
俺は、分からないから女性の左足を掴む。
女性は俺を下敷きにして、バイクから落ちた。
幸いにも、原っぱだったため、そこまでの痛みはない。
“ブルゥゥゥゥゥゥゥ!!!”
暴走バイクは大きく右側に傾きながらスピードを緩めずに走り去って行った。
「ふぅ~!!」
ともあれ、女性を救うことができたことに俺は満足感を得られた。
その女性は俺を座布団のように座って、泣きながら言った。
「あ゛り゛がどうございま゛ずぅぅぅぅぅ!!」
「大丈夫ですよ、それより、俺から早く降りてもらってもいいですか?」
女性にこう言っては失礼だが、重い。
その女性は俺から、降りると続けて言った。
「私のせいで゛……、もう一人の方は……グスッ……」
もう一人の方?
そういえば、村上さんはどこに行ったんだ?
俺は周りをキョロキョロすると、バイクが走って行った方向で、爆発音とともに真っ赤な火の手が上がるのを見た。
誤字脱字がありましたら、教えてください。
明日も一話分投稿しようと思ってます。時間は夜19時間くらいを目安にしています。
引き続き、読んでいただけると嬉しいです!




