27 九死に一生を得た
続きです!
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今、俺は白い法被を着た男性の肩に担がれて、空を飛んでいる。
身体は動かせないが目だけは動かせる。
周りを見ると、大きな黒い羽を生やした馬に跨る集団。
まるでペガサスに乗る、白い法被を風になびかせる、お祭り集団のようだ。
一見するとかっこいいと思うが、その馬の頭が“人”なのが、すべてを台無しにしている。
きっと、俺がいた世界の子供たちが見たら、恐怖で精神を病むレベルだ。
後ろから、一頭の馬が近づいてくる
その馬には、額に目立つ傷跡があり、隊長と呼ばれていた男性が乗ってた。
して俺の方を振り向いた。
「隊長、どうされましたか?」
俺のことを担いでいる男性が言う。
「いや、救助者の様子を確認しに来ただけだ」
隊長と呼ばれた男性はそう応えると、馬を幅寄せして俺のことをジッと見る。
「後ろから見てて思ったんだけど、こいつから出る白い煙が、発煙筒みたいに俺らの居場所を漏らしてるんだよな……」
そして考えている素振りをしながら、続けて言う。
「まぁ、間違いなくこいつが動かないのは、祈者による能力だな。報告には、罪人や人間を自在に操る祈者がいるって上がってたし」
そうですよね! 俺は気絶してないですよね! この俺を担いでるヤツといい、俺のことをビンタしたアイツといい、アホやろ!
自分のことは自分がよーーく知ってるわ! 俺は気絶してない! 全部あのハゲの仕業だ!
そんなことを、心の中で訴える。
「とりあえず、こいつの煙を何とかしないと、拠点には戻れんな! 俺は今からもう一人の救助者のところに行って、何か原因がないか聞いてくる」
そう言うと、隊長と呼ばれている男性は離れて行った。
(うーーん、俺自身、今の状況に慣れてきたんだよなーー)
つい無意識に、頭をかく。
「あ……」
俺のことを担いでいた男性も、俺自身もビックリする。
「「動いた!!」」
お互い、顔を見合わせて笑い合う。
「いや、もう動けないかと思ってましたよ!」
俺は、その男性に言う。
「俺も動ないと思ってたよ!」
「えっ?」
俺は、一瞬この男性のことを真顔で見る。
その男性は大らかに笑っている。人柄も良さそうで悪い人には見えない。
いつまでも男性に担いでもらってると悪いので、俺は申し訳なさそうに言う。
「その……、なんかすみません。担いでもらっちゃって。もう動けるんで、降ろしてください」
その男性は笑顔で、
「そうか? 動けると言っても、今さっきからだろ? 無理するな。俺はこのままでも平気だぞ?」
「いえいえ! もう十分動けるし、自分で立つこともできます!」
俺は笑顔で返した。
和やかなムードだ。
人と話してて、笑顔になったのはいつぶりだ?
「そうかそうか! なら良かった! ちょっと待ってろ……今降ろしてやるからなーーーあら、よっと!!」
男性はそう言うと、俺を肩から降ろした。
「「あっ!!!」」
男性も俺もあることに気づく。
((ーーーここ空の上じゃん))
俺はそのまま落下する。
男性はそのまま空を飛ぶ。
俺は猛スピードで落下している。
(まてまてまてまて、この世界に来てから、怪物やらおっさんやらに、殺されそうになってきたけど、ここにきてこんな死に方するのか!?)
視界がグルグル回る。気持ち悪くなってきた。
「め~でぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
そう叫びながら、落下していくと、
“ドッサ!”
「グエッ」
お腹に何かが当たった。
ちょうど、落下している途中に、何かが受け止めてくれたらしい。
(た……助かった……)
俺は受け止めくれたものを確認する。
ちょうど下の方で飛行していた馬の頭に、俺が引っ掛かったらしい。
「ヒ……ヒ……ヒ……」
よく見ると、馬は白い泡を出している。
白目をむいて、まるでラリってるようだ。
「おい……変態クソ野郎……」
馬に乗っている人物を見ると、前にはセツナが跨り、後ろに男性がいた。
「お……おまえ……君はさっきまで上にいたよな……?」
その馬と並走して、隊長と呼ばれている男性もいた。
俺は落下する直前の、担いでくれた男性との会話を思い出す。
「俺を担いでくれてた男性が、笑顔で俺のことを落としました」
その場の空気が凍りつくのが分かった。
突如、俺とセツナと男性を乗せてた馬が、ふらつき始める。
徐々に高度が下がる。
「おい変態! おまえが来てから、こうなってんだろ! 早く降りろ!!」
セツナはそう言うと、俺を降ろそうと暴れはじめる。
「ちょっ……セツナ! やめろ! ほんとヤバいから! 今マジでヤバいから!」
俺も抵抗する。
「この馬、100人乗っても大丈夫って言ってたぞ!」
とっさにの一言を言う。
「え……マジ?」
セツナは動きをピタリと止め、聞き返した。
俺はここぞという感じで、一気にまくし立てる。
「ほんとだって! 俺、おじさんが、そう宣伝してたの知ってるよ!」
セツナは、隣で並走している、隊長を見る。
確かに、この場で、一番おじさんと言えば、この人だな。
隊長と呼ばれてる男性は、急な割り振りで、あたふたしながら言った。
「定員は2人までだ」
その一言で、馬は急降下する。
「「!!!」」
俺もセツナも、セツナの後ろにいた男性も悲鳴をあげる。
「おい! 聞けぇぇ! 馬の羽を無理やり広げるんだ!!」
隊長と呼ばれる男性も、俺らに合わせるように、急降下している。
その言葉を聞いた、セツナの後ろにいた男性は馬の羽を掴むと、
「ふんっ!!」
力を入れて広げる。
「俺だけじゃ、持たない! 手伝ってくれ!」
セツナも羽を持ち上げる。
俺は必死に馬の頭にしがみつく。
急に、馬の落下速度が和らいだ。
「危なかった……」
俺は安堵の声を漏らす。
馬はゆっくりと、地上に降下する。
俺とセツナと、一緒に乗っていた男性は馬から降りる。
「隊から離れてしまった……」
その男性が言う。
すると、隊長と呼ばれていた男性が、後を追って来てくれた。
「村上! 大丈夫か!?」
「隊長、自分は大丈夫です。また、救助者2名も命に問題ありません!」
この男性は村上というのか。
村上は隊長と呼ばれる男性に、報告をすると馬を見る。
「しかし、足である馬を一頭、不能にしてしまいました」
俺たちが乗ってた馬は、地面にバッタリと倒れている。
生きてるのかどうか分からない。
「そうだな。ここから拠点まで近いはずだ! 場所は分かるな?」
「はい! 問題ありません!」
村上は返事をする。
「今から、少数部隊を護衛として残す。安心しろ、お前も知っての通り、戦闘慣れしてるヤツらだから大丈夫だ。俺を含めた残りの部隊は、すぐに拠点に戻り、再編成したのちに馬を届けに合流する。それまでは徒歩で拠点に戻るように」
「了解!」
誤字脱字があれば、教えてください。
明日も一話分投稿、投稿しようと思ってます。時間は夜19時くらいを目安にしています。
引き続き、読んでいただけると嬉しいです!




