表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/34

24 ここに建つ

続きです!

あと、『きょうのどっぐ~でんせつ~』を活動報告の方で更新しました!


 浅川リョウターーーー俺は、馬の下敷きになっているマホト先輩の側に立って、祈者(きじゃ)に向けて祓刀(はらいがたな)を構えた。

刀を握る両手が震えだす。

一見すると、笑顔が汚い普通のおじさん。

しかし、そのおじさんからにじみ出る狂気を肌でピリピリと感じる。

様々な罪人(つみびと)と何回も相対してきたから分かることができた。



 「兄ちゃんたちには、聞きたことがいくつかあるんだよね」



祈者(きじゃ)は地面に投げ捨てられていた馬の頭を指さした。



 「まず、この子らをどうやって手懐けた?」



そんなこと知るはずもない。俺が入隊した当初から隊の方々は、当たり前のように従えていた。

それに知っていたとしても、祈者(きじゃ)に教えるはずがない。

俺は無言のまま祈者(きじゃ)を睨んだ。



 「だんまり……か」



祈者(きじゃ)はそう呟くと、さらに続けた。



 「それとも兄ちゃんは、しゃべることができないのかな?」



そして狂気に満ちた目で笑いながら、



 「んじゃ、そこで寝転がってるお姉ちゃんに聞くとしますか」



そう言うと、俺とマホト先輩がいる方に駆け出した。

そこまでのスピードはない。

むしろ、俺の方が速い。

予想として、あの祈者(きじゃ)の能力は“物体を止める”ことだろう。

詳しい条件や制限は分からないが、それでも戦わなければ殺される。

もう一つ能力があるはずだが、隊長すらもよく分からないことを、俺が考えたって仕方がない。



 「マホト先輩、必ず助けます。ここで待っててください」


 「待って浅川! あいつには不思議な能力がある。私でさえこの様なんだから、あんたじゃ無理だよ!」



マホト先輩は震える手で俺のズボンの裾を掴む。

俺は安心させるために、笑って応えた。



 「大丈夫ですよ、俺、こう見えて運だけはいいですから!」


 「何言ってんの! あんた昨日の丁半博打で連敗してたじゃない!」



マホト先輩は涙目で言ってきた。

俺は頷くと、迫ってくる祈者(きじゃ)の方に駆け出した。



 (考えるな! まずは行動!)




 

 祈者(きじゃ)との戦闘に入った。

俺は刀を祈者(きじゃ)に向けて振り下ろす。



 「!!!」



やっぱりな……、マホト先輩と同じことが起きた。

全身の体重を刀にかけるが、ピクリとも動かない。

祈者(きじゃ)はニヤッと笑うと、俺に腹パンをした。



 「ゥウッ……」



肺の中の空気が全て吐き出される。息をしたくても息ができない。



 「ハァ……ハッ」



息を吸おうとすると、


 “ズドン!”


お腹を中心に再度、ニブイ衝撃が全身を駆け巡ると、


 “ズドズドズドズド!!”


祈者(きじゃ)は連続で腹パンをしてきた。



 「ガッ……ハッ」


 “ボトボトボト”


俺は息をする暇もなく、吐血した。

息をすると、脇腹がひどく痛む。それに吐き気がすごいする。

思わず、よろめきながら後ろに下がる。

 


 (いっ……てぇぇぇ)



祈者(きじゃ)は追い打ちをかけるように、今度は俺の顔面目掛けて右ストレートをしてくる。

俺は歯を食いしばると、額で受け止めた。


 “パキッ”


嫌な音が頭に響いた。

視界がかすむ。

薄れる意識の中、マホト先輩の声が聴こえた。



 「浅川ーーーー!!!」



その声が聴こえた瞬間、力が湧くのを感じる。

俺はよろめく足に力を入れると、伸ばしている祈者(きじゃ)の右腕を両手で掴んだ。



 「……めんな……よ」



祈者(きじゃ)は真顔で俺を睨む。



 「なめんなよハゲェェェェェェ!!!」



俺は大きな声で叫んだ。

そして、祈者(きじゃ)の右腕を軸にし、身体を持ち上げて、両足で祈者(きじゃ)に顔面キックをした。



 「ぶべんぼきゅ!!」



祈者(きじゃ)は変な声を上げると、後ろに下がり尻餅をつく。

俺は、空中で両足を伸ばした状態のまま、地面に落下した。



 「ウッ!!!」



頭と内蔵に響く痛さだ。

俺はすぐに身体を起こすと、祈者(きじゃ)を見た。

祈者(きじゃ)は何が起きたか分からないといった表情できょとんとしている。

鼻からはボタボタとすごい勢いで鼻血が流れていた。



 「ぽっきゅう?」



祈者(きじゃ)は自分の鼻に手をやると、手に付いた鼻血を見て絶叫した。



 「なんだこれはぁぁぁぁぁ!!」



そして、自分の鼻血をまじまじと見たり、匂いを嗅いだりする。



 「ペロッ」



舐めた!! 俺はその異常な行動を見た瞬間、全身に鳥肌が立つ。

すると、祈者(きじゃ)は目をカッと開いて叫んだ。



 「ゥンマイねぇぇぇぇぇーーーッ!!」



祈者(きじゃ)は、はちみつを両手につけたクマのように手をしゃぶる。



 「化け物……」



俺はそう呟くと、覚悟を決めて拳で祈者(きじゃ)に立ち向かおうとするが、



 「う……」



身体が動かない。

祈者(きじゃ)は指を一本一本舐めながら言った。



 「兄ちゃんもういいよ。おっちゃんにケガさせたことは許したるよ。でもな、ただの人間が図に乗りすぎや」



そう言うと、目にも留まらぬ速さで、俺の目の前に移動した。

移動したといっても、瞬間移動に近いものだと思う。

そして、俺の頭を両手で掴んだ。



 「がぁぁぁぁ!!!」



頭蓋骨がメキメキと音を立てる。



 (痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!)



痛みで何も考えられない。とにかく首が痛い。



 「浅川! 浅川! 浅川ーーーー!!」



何か聴こえるが、どうでもいい。痛い助けて! 誰かこの痛みから俺を助けて!!

身体の中でブチ……っと変な音が響いてくる。

 

 ーーーー楽になりたい。

そう思った時、


 “ブルン! ブルン! ブルゥゥゥゥ!!”


遠くから『カラクリ式自転車』のエンジン音が聴こえる。



 「おい! 本当にここら辺であってんだろうなぁ? ぁあん!?」



エンジン音に混ざって、女性の声がする。



 「『カレン』ちゃん! そんなに怖い言い方しないでよーー!」



鳴きそうな声で、別の女性の声がした。



 「あのセツナが初めて救助信号を出したんだ、ぜってーー助けだす!! おいこらっ?! 聞いてんのか!?」


 「だから怖い言い方しないでよ、カレンちゃん! セツナちゃんが吹いた場所を教えてくれる『アヒルコンパス』はこっちの方角を指してるみたいだけど!」



 

 祈者(きじゃ)は、俺の頭から両手を離した。


 “バタッ”


俺は死にたくなるような痛みから開放される。

まだ頭は痛いが、助かった……のか?



 「今日は、次から次へと人間が出てきますね。いつも散歩してんのに、こんなに残ってるとは……おっちゃん驚きですよ」



祈者(きじゃ)はそう言うと、音の方向へ駆け出した。

俺は痛みを我慢して、祈者(きじゃ)の行方を目で追う。

 

 奥の一本道から、カラクリ式自転車がこっちに向かって走って来ているのが分かる。

よく見ると、二人組が乗っていた。

 

 前で運転している女性は、長い黒髪で、格好が黒い革ジャンに下が白いTシャツを着ている。

後ろにいる女性は、ここからではよく見えないが、白いTシャツに何か文字が書いてある。

目を凝らすが、『ワタシは』しか読めない。



 「おい、『マコ』! お前目当てにハゲが走って来てんぞ? まだ未練たらたらなんじゃね?」


 「ハゲなお方と付き合ったことないよ!! それにカレンちゃんの後ろに私が乗ってるんだから、私じゃないでしょ!」



エンジン音がさらに大きくなる。



 「いーーや、お前だな。んまぁ、とりあえず、なんかムカつくから殺しとくか」



そう聴こえると、



 「マコ!! 一人で運転できるよな?」


 「えっ!? ちょっと待って待って!! 危ないことは私絶対嫌だよ! カレンちゃぁぁぁんん!!」



その会話が終わるのと同時に、黒い革ジャンを来た女性は、祈者(きじゃ)とすれ違になる瞬間に、祈者(きじゃ)の頭を両手で掴み、カラクリ式自転車から飛び降りた。



 「うぎゅぎゅぎゅぎぎゅ!!」



祈者(きじゃ)は苦しそうな声で唸る。

無理もない。

だって、祈者(きじゃ)の首が、ありえないくらい後ろに伸びているのだから。

どうやら、祈者(きじゃ)の頭を掴んだ女性は、カラクリ式自転車から飛び降りた時にかかる力を祈者(きじゃ)の首で相殺したらしい。

普通の人間は絶対にできない。

 

 その女性は、飛び降りた勢いで祈者(きじゃ)を垂直に持ち上げる。

そして、両手を離したと思ったら、祈者(きじゃ)の胴体を両腕で抱え、祈者(きじゃ)の頭を挟むように両足を組むと、



 「墓石建ててやるよ!」



意味不明な言葉を言ったと思ったら、



「ここになぁぁぁ!」



勢いよく垂直に祈者(きじゃ)の頭を地面に叩きつきた。


 “グシュ!!”


肉が潰れる音が、心の中でした。

近くにいないが、たぶんそんな音がしたと思う。



 「お~、きったねぇ墓石だなぁ」

誤字脱字があれば教えてください。

すみません、明日も一話分投稿しようと思ってます。時間は夜19時くらいを目安にしています。


前書きにも記載しましたが、活動報告の方で『きょうのどっぐ~でんせつ~』を更新しました!

感謝・コメントをして頂けると、嬉しいです!


また本編にも感想・評価・ブックマークをして頂けると、作者の励みになります!

よろしくお願いしますm(__)m


引き続き、読んでいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ