21 馬!?
続きです!
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今、俺は動くことができない。
縄で縛られているとか、何かに捕まっているとかではない。
本当に身体が石になったように動かないのだ。
そして、身体が動かなくなったおおよその目星は付いている。
(やっぱり、あのおっさんの仕業しかないよな……)
おっさんが俺のことを見てから急に動かなくなった。
最初は狂気に満ちた目で見られて、恐怖で思わず固まっていたが、今は本当に動かない。
指一本も動かせないのだ。
「ピーー! ピッピッ! ピーー! ピッピッ!」
そんな俺の状況を知らずに、セツナはホイッスルの音のリズムで盆踊りをしている。
俺は口が動かないので、必死に心の中で叫ぶ。
(セツナ様セツナ様! 助けて!! 後で感想・高評価をしますので踊るのを止めてください!!)
セツナは乗りに乗ってきたようで、動けずに突っ立ている俺を中心にして踊る。
盆踊りを踊るセツナ、俺に熱い視線を送り続けるおっさん。
そして、相変わらず白い煙を出し続ける俺。
傍から見たら、ヤバい集団なんだろうな……。
やがて、俺を睨み続けているおっさんの口が動いた。
「兄ちゃんを初めて見た時に、すぐ分かったよ」
おっさんは俺から目線を逸らして続けて言う。
「兄ちゃん、あの方に会っただろ?」
あの方? どの方だ??
俺は思考を巡らせる。
(だぶん、このおっさんはこの世界に来てからのことを言ってるんだろうな……)
俺はこの世界に来てから遭遇してきた記憶を辿る。
第三の眼を持つ罪人、『ワタシは、ヒロイン』と書いてあるTシャツを着た女性、犬みたいな罪人、イケメンな罪人、ヤンキー娘ことセツナ。
どれのことを指して言ってるんだ?
(いや……もしかしたら元の世界のことか?)
必死に頭を巡らせるが、よく分からない。
「まあ、それも後でじっくり共有させてもらうよ、おっちゃんの店でな」
おっさんはそう言うと、足元で頭を抱えて呻いている罪人の髪の毛をワシ掴んだ。
「いつまで休憩してんだ? おやつの時間だと言ったよな!?」
おっさんは罪人の髪の毛を掴むと、俺めがけて罪人を投げた。
「グァァ! グァァァ!!」
罪人は投げ飛ばされた勢いに乗って、俺の方まで四つん這いで走ってくる。
(おいおいおいおい!! なんで俺の身体は動かないんだよ!!)
俺はセツナの方に目をやる。
「ピーー! ピッピッ! ピーー! ピッピッ!」
セツナは真剣な表情で踊っている。
えっ……こいつ、罪人が迫っているのに、まだ踊ってやがる!
アホなの? やっぱりアホなんだよね!?
「ナァァアアァナァァァァ!!」
今度は、おっさんが口を大きく開けてこっちに走ってきた。
その口は、人間が開けられる限界を大きく超えて開かれている。
さっきまで、ほのぼのと盆踊りに手拍子してたじゃん! なんでいきなり豹変しちゃうの?
(表情豊か過ぎない!?)
罪人が目の前まで来た。
「ガァァァァァァァ!!」
罪人は口を大きく開け、俺に噛みつこうとしたーーーーその時。
「「ヒヒ――ン! ブルゥルゥ!!」」
どこからか、馬の鳴き声がする。
それもかなりの数だ。
“ギュイーーーン!”
それに、何かエンジンみたいな音がする。
罪人は異変を察知したのか、すぐにおっさんの方に戻る。
おっさんも立ち止まり、周囲を警戒し始めた。
「「ヒーーーーーン!!」」
それは、頭上からいきなり現れた。
頭は人間、身体は馬の罪人だ。
その身体からはカラスのように真っ黒な大きな羽が生えている。
それがたくさんいるのだ。たぶん20匹以上はいる。
その集団の中心にいる罪人から声がする。
「おいおいおい。火事かと思ったんだが違うみたいだな……」
そして続けて言う。
「全員、救助体制! 2班はそこにいる2名を救助。1班は俺と共に、罪人の排除をする! 間違っても祈者とは戦うなよ! 以上!!」
その声と共に、瞬く間に、馬の罪人の集団は二つに分かれた。
黒い大きな羽で見えなかったが、馬の罪人の背中には白い法被を着た人間が乗っていた。
その法被には赤い『火』の文字がある。
罪人の方に向かった集団の手には、緑色に光る日本刀が握られていた。
その日本刀をよく見ると、刀身の真ん中に何か動くものがある。
よく見ようとすると、急に肩を叩かれた。
「君、もう大丈夫だ。煙が出てる……。とりあえず、俺の馬に乗ってくれ!」
今、馬って言った? それ馬なんですか? 俺の知ってる馬から数キロくらい離れてるんですけど!?
いろいろツッコミたいが、ひとまず俺は安堵した。
そういえば、セツナが罪人を瞬殺できるほどの強いヤツに来てもらうとか言ってたな。
あのホイッスルはこの人たちを呼ぶための物だったのか!
さすがセツナ様! 頼りになるな!
ただ、踊りはいらなかったんじゃないか……。
俺は動こうとするが、まだ動けない。
今の状態を知ってもらおうと、必死に目で合図を送る。
「ほらそこの君! もう大丈夫だから! 早くこっち来て!」
どうやら、セツナも保護されたみたいだ。
「このお嬢さん、呼びかけてるのに、必死になって踊っている」
「きっと、恐怖で錯乱してしまったに違いない……、仕方ない、無理やり馬に乗せるぞ!」
白い法被を着た2人組がセツナの方に向かう。
すると、セツナが大きな声で言った。
「あんたら誰!?」
誤字脱字があれば教えてください。
明日も1話分投稿しようと思ってます。時間は夜19時くらいを目安にしています。
引き続き、読んでいただけると嬉しいです!
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