表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/34

19 責任を取るとは

続きです!

今まで公開している話に再度、修正・加筆をしました。

あと、活動報告の方で『きょうのどっぐ~でんせつ~』を更新しました!

<<<<<トウカ:パート>>>>>


 俺は、投げ渡されたアヒル型のホイッスルを見る。



 (責任を取る? このホイッスルに対してか?)



俺は思考をグルグル巡らせる。



 (分からん……。このホイッスルにどのように責任を取ればいいのか全く想像できない)



そんな俺の考えを知ってか知らずか、セツナは小さい子供に教えるように言った。



 「とりあえず、ホイッスルを鳴らせ。それも全力で大きな音で鳴らせな」



そして、少し微笑んで言う。



 「鳴らしていると、心に思い浮かぶダンスがあるはずだ。心のままに踊るんだ。分かったか?」



ほう、ほう。なるほど、なるほど。

この娘はアホだとは知っていたが、この状況下でなに言ってんの?

 

 俺はアホの娘をまじまじと見る。

すると、セツナは、



 「なんか文句あんのか? あぁ!?」



はい、でました。

ヤンキー共通の固有スキル『威嚇』。

み~んな「あぁ!?」って言えば、思い通りになるって思ってんだろうな。

でも俺は違うぞ。

 

 俺は、キッと鋭い目をすると、セツナに言った。



 「心の赴くままに、精一杯踊らせていただきます」



セツナは満足そうな顔で、早くやれという合図のように、あごをクイっと上げる。

 

 俺はホイッスルを口に咥えて、深く息を吸い込んだ。

前にはニヤニヤしているセツナがいる。

後ろからは、とてつもなく嫌な視線を感じる。



 (踊らなきゃダメだ、踊らなきゃダメだ、踊らなきゃダメだ、踊らなきゃダメだ、踊らなきゃダメだ)



俺は自分を追い込むと、思いっきりホイッスルを鳴らした。



 「ピーーーーー!!!」



ホイッスルの音が響き渡る。

俺は両手を高く上げ、足を交差する。



 「ピーー! ピピピッピーー!!」



俺は踊り始めた。

 

 足を交互に交差し、腰をひねり、右腕をリズムよく回す。

左手でアヒル型ホイッスルの穴の開閉をする。

ホイッスルと靴音の両方でリズムを取る。

イメージするのは、小さい頃に近所のショッピングモール『アインモール』で家族と見たサンバフェスティバル!

サンバステップ? そんなものは全く知らない。

しかし、心の赴くままにサンバを踊る。



 「プッ・ピーー! プップップッ・ピーー!」


 (なんだ? 不思議と身体が動く! 踊れる! 踊れるぞ! サンバのリズムを知ってるぞ!)


 「ピッピップーー! ピッピッピップー-!」



 俺は無我夢中でサンバを踊る。

セツナは真顔で俺を見ている。

後ろからの背筋が凍るような視線が、いつの間にか、生暖かい視線になる。



 (いいぞ! リズムに乗ってきた!)

 


俺のリズム魂が最高潮に達した時、



 「ぜんっぜん、ちっげぇよ!!!」



セツナの怒号が響いた。

 

 ----静寂。

俺の踊りが止まったのと同時に、空気が止まったかのような重い時間が流れた。



 「まっ……たく違う!!!」



セツナはそう言うと、



 「ゴフッ……」



吐血した。



 (えっ……サンバのリズム間違ってた……?)



セツナは袖で口を拭うと、俺をギロリと睨む。



 (吐血するまで、怒ることなの!? いや……、こいつにとってはサンバの踊りって神聖なものなのかもな)



俺は、ド素人なのに安易な考えでサンバを踊ったことに、少し反省をする。



 「そうだよな……。すまない、サンバのリズムを知らなかったよ……」



俺は目線を落とし、申し訳ない気持ちで謝る。

すると、セツナが言った。



 「はぁ? サンバ? なんだそれ?」



そして、続けて言う。



 「あたしが言ってんのは踊りのことだよ! なんだその腰をクネクネして、ケツ振ったりして! 心の赴くままの踊りっていうのはなーーーー」



セツナは立ち上がり、俺の口からアヒル型ホイッスルを乱暴に取り上げる。



 「いいか変態アホ野郎! よく見とけ!」



そう言うと、口にホイッスルを咥えて、勢いよく鳴らした。



 「ピーー! ピッピッ! ピーー! ピッピッ!」



音に合わせて手を叩く。

右足と右手を前に出し、手を叩く。次に左足と左手を前に出し、手を叩く。

そして、顔の前に両手で丸を作る。



 「なんだと……これは、これはぁぁぁぁ!」



俺はこの踊りを知っている。

いや……、日本人なら誰もが親しみのある踊りーーーー盆踊りだ!

どことなく恥ずかしがりながらも、真剣に踊っている!

 

 まさか、あのヤンキー娘が盆踊りをするとは思わなかった。



 「さっきの兄ちゃんの踊りも良かったけど、おっちゃんはこっちのが好きだなぁ」



後ろから声がする。

 

 後ろを振り返ると、ハゲがニコニコ笑って、音に合わせて手拍子をしていた。

その手には長い髪の毛が絡まっている。

俺はすぐに、隣で頭を抱えている罪人(つみびと)の髪の毛だと分かった。



 「どっかで見たことあると思ったら、あの時の兄ちゃんか!」



おっさんは自分の右手に絡まっている長い髪の毛に気付くと、左手で取りながら言う。



 「あの時はどーーもです」



セツナから祈者(きじゃ)のヤバさを聞いているから、緊張する。



 「兄ちゃん、元気そうで良かったよ!」



なんだ、意外と話せば普通のおっさんだな。絡まっている髪の毛の理由を知りたいが……。

俺は少しだけ警戒心が緩まる。

すると、突然、おっさんの空気が変わるのが分かった。



 「兄ちゃん、一つ聞かしてくれや」



そう言うと、おっさんは顔を上げた。

その目は狂気に満ちていた。

一切、目をそらさず、ただジッと俺を見ている。



 「なんで『シロクロ☆バナナ店』に来なかったんだ?」



息が詰まるほどの、狂気。

場違いな笛の音。

セツナはアホだから空気を読まずに、顔を赤くして盆踊りをしている。

 

 俺は息を飲む。

そして、口を開けて言った。



 「セツナ様! その空気が読めない音を少しだけ止めてくれませんか!?」

誤字脱字があれば教えてください。

明日も1話分投稿しようと思ってます。時間は夜19時を目安にしています。


前書きにも記載しましたが、活動報告の方で『きょうのどっぐ~でんせつ~』を更新しました!

感想・コメントなどをいただけると嬉しいです!


また、本編についても評価・感想・ブックマークをして頂けると、作者の励みになります!

よろしくお願いいたします。


引き続き、読んでいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ