17 ピッピッピーー!
続きです!
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ーーッチ。さっきから、このハゲはあたしを捕まえようと両手を広げて飛び掛かるだけだ。
隙を見て顔面に蹴りを入れるが、ピクリともしない。
それにさっきから気持ちワリィ顔しやがって……。
「おいおっさん、そろそろ疲れたんじゃねぇのか……?」
あたしは、息を切らせながら言った。
そして、祈者の顔面に向かって回し蹴りをする。
「そんなことないよ! おっちゃんは楽しいけどね!」
祈者はニタニタしながら、あたしの蹴りを左手で受け止める。
蹴りを受け止めると、流れるようにあたしの右足首を掴んだ。
「!!!」
「ようやく捕まえたっ」
祈者は右手であたしの足首を掴みながら、建物の外に向かって勢いよく投げる。
“ドォォォォン!!”
あたしはそのまま、駄菓子屋の向かいにある建物まで吹っ飛ばされた。
ぶつかったシャッターが大きく変形し、土ホコリが舞う。
「ヴッ……」
肺にある空気が自然と全て吐き出される。
息が吸えない……。
どことなく口の中が鉄苦くなるのを感じる。
「ハーー……、グゥッヴッ……!」
“ビシャッ”
地面に赤い液体が流れ出たのが分かる。
なんか口から温かいドロッとしたのが出て気持ちワリィ。それに背中がめっちゃいてぇ。
意識が少し遠のく。
クソッ! 気合入れろぉ!
意識を保とうと自分に喝を入れる。
(あたしは今まで金属バットで罪人と渡り歩いてきたんだよ。それにお姉ちゃんもいねぇ。蹴りだけで祈者と殺り合うなんて、自殺志願者かってぇのーー。)
祈者がニタニタしながら建物の外に出てくる。
(とりあえず、変態から祈者を離すことはできたか……)
次の行動を考える。
(まともに殺り合うのは無理だ。相手は怪物の中の怪物。どうにかして武器になるものだけでも、あればいいんだけど……)
祈者が近づいてくる。
身体が動かねぇ。動け! 動けあたしの身体!
ーーーーヤバい。こっちに来る! と思ったが、祈者は何かを思い出したかのように、別の方向に歩き出した。
(どうしたんだ? いや……。それよりも、これからどうするかだ)
何かこの場を打開できるものを持っていないか考える。
とりあえず、お守りに持っていた回復薬は使っちまった。他には……。
いやまて。……ある。そういえばもう一つだけお姉ちゃんが持てせてくれてるもんがある。
(でもこれはあまり使いたくない……)
そのアイテムを使うか迷っていると、
「グフフフッ!! グフッグフッ!」
獣のような声だ。あたしは、その声を聴くと一瞬で悟った。
(あのハゲ、最近お迎えしたとかなんとか言ってたな……。もしかしてチャリの後ろにいた罪人のことなんじゃね)
やっぱ迷ってる暇はねぇ。
「お~う! ちゃんと待ってたか? 散歩すると腹減るような! あそこに、おやつがあるから」
祈者をみると、すぐ近くに止めてあったチャリにいる。
(ああ、やっぱりな)
チャリを見ると、チャリの荷台と罪人がくっついている。
正確に言うと、罪人の長い髪の毛が荷台に結びつけられていた。
「今ほどいてやるからな」
祈者はそう言うと、結びつけられてる髪の毛をほどこうとする。
あたしは、自分のポケットに手を突っ込む。
(あれ……ない。反対のポケットか? いや、ない。えっ!? ちょっマジ?)
何回も何回もポケットをまさぐるが、何も入っていない。
「ちょっとまってな……。なかなかほどけないな……」
祈者もほどくのに苦戦しているようだ。
こうしてみると、チャリの荷台を直そうとしているハゲたおっさんなんだよな……。
何分経ったんだろう。
あたしはポケットに何も入ってないと分かってから、ぼーと空を眺めていた。
「うごくな言ってんの! 次動いたら、おっちゃん殺しちゃうよ!」
苛立ちハゲは、相変わらず荷台と格闘してる。
あたしは両手を上に上げてグー・パーしてみる。
痛みはまだあるが、たぶん身体は動けると思う。
「それにしても、お姉ちゃんがくれたホイッスルどこいったんだ?」
さてこれからどうっすかな。
「ピッピッピーー!」
ん? なんか笛の音がするな。
ハゲを見るが、特にこれといった変わった様子はない。
あーー。罪人寝てない? なんか寝転がってるよ。
「ァァァアァァァ!! もういいっ!!」
祈者は、いきなり罪人の頭を掴むと、
“ブチブチブチブチ”
罪人の毛を思いっきり引っ張る。
「ガァァァァァァッ!!」
痛みからなのか罪人が鳴き叫ぶ。
罪人の頭から黒い液体が流れるのが分かった。
信じられない行動に、あたしは唖然とする。
人間では到底考えられない残虐な行動。やはり化け物だ。
「ピッピッピッピーーーー!」
そんな残虐な行動とは全く合わないBGMのように、笛の音が鳴る。
おいおい、さっきから場違いな笛の音はなんだ!?
祈者も手を止めて、ある方向を見ている。
あたしは、その視線の先を見ると、
「ピッピッ!」
駄菓子屋の入り口に、白い煙を出す変態が立っていた。その口にはアヒルの形をしたホイッスルが咥えてある。
あたしは、一瞬にしてい怒りの頂点に達した。
「てめぇ! そのホイッスルあたしのだぞ!!」
「ピッ!」
誤字脱字があれば教えてください。
今日も2話分投稿しようと思ってます。
次は夜19時くらいを目安にしています。
引き続き、読んでいただけると嬉しいです!




