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12 おっさんの正体 (B)

続きです!

<<<<<トウカ:パート>>>>>



 「よく聞け、変態アホ野郎」



セツナが殺意を通り越して、呆れた目をして言う。



 「おまえが言う、あおり運転? されてるハゲは人間じゃない」


 「だから、人間じゃなくて、相当ヤバい変態なんだろ?」



俺はツッコミを入れるように言う。



 「変態はおまえだ!」



ツッコミをツッコミで返してくるとは……。

会話のマナーがなっていないぜ。

そんなことを思っていると、おっさんの鼻歌が聴こえなくなった。

どうやら通り過ぎていったらしい。

 

 セツナは耳を澄ませ、完全にいなくなったのを確認すると、俺の方を再度見て言う。



 「いつこの町に来たか知らねーが、とても親切なあたし様が、この町のルールを教えてやる。とにかく、あの自転車に乗ってるアイツには絶対に近づくな、見たらすぐ逃げろ」



セツナは重い口調で言う。



 「その……。確認のため聞きたいんだけど、罪人(つみびと)って怪物のことを指してるでいいんだよね?」



俺の質問を聞くと、セツナは額に手をやり、頭を抱えるようにして言う。

 


 「かあーーーー! おまえ、どんな田舎からきたんだよ!?」



確かに俺は田舎者だが、地元駅から車で三十分のところに超大手企業の『アオンモール』があるんだぞ?

そこまでの田舎じゃないだろ!

俺は言い返そうとすると、



 「世間知らずな田舎者のおまえに、優しい優しいセツナ様が一から説明してやんよ!」



セツナは重い口調で説明し始めた。



 「まず始めに、おまえの言う通り、この世界にいる怪物どもを罪人(つみびと)って呼んでいる。誰が名付けたかは知らないが、みんなそう呼んでる」



ここまで聞くと、まず一つ確認することができた。



 (やっぱりこの世界は怪物がうじゃうじゃいるってことか……)



なんとなく、ここは異世界だとは思ってたが、改めて聞くと実感が湧く。



 「ここからが本題だ。今通った自転車に乗ったアイツは、祈者(きじゃ)と呼ばれる特殊な怪物だ」


 (えっ……。あのハゲが怪物!?)



ド変態と怪物は紙一重ということか……。なるほどな。

 

 俺はおっさんと会った時の記憶を思い出す。

言われてみれば、おかしな点は多々あった。

格好も変質者みたいだし、怪物がすぐ後ろにいるのに、ここまで気がつかないのは鈍感っ子を通り越すレベルだ。

それに一晩中、自転車を漕ぎ続ける体力はオリンピック選手でも一苦労するだろう。



 「祈者(きじゃ)とは、文字で書くと『祈る者』。つまり、神主みたいなもんだ」



神主というと、神社で働いてる職業の人か。



 「祈者(きじゃ)はアイツの他にもいる可能性がある」



可能性がある? 曖昧な推測で疑問に思った。



 「可能性があるってどういうこと?」



セツナは少し考えると、回答する。



 「おまえも知ってると思うけど、怪物は全て例の神殿が現れてから出現しただろ」



例の神殿? なんかどっかでそれっぽい建物を見た記憶があるんだよな……。

セツナはそんな俺の思考を読み取ってか言う。



 「おまえ、もしかして例の神殿を知らないわけないだろ?」



俺はニッコリと笑う。



 「かあーーーー! おまえの田舎はテレビもないのかよ!?」



さっきから気に障ることばかり言いやがって! 俺ん家は地デジだぞ?

 

 そんな俺の気持ちを遮るようにして、説明を続ける。

 


「いいかぁ? あの神殿は突然日本各地に現れたんだよ。誰も神殿を建てた記憶がなく、もとからそこに建造していたかのように現れた! だから、将軍様率いる大規模調査隊が神殿に入ったけど、ご帰還されず、捜索隊まで帰ってこないってニュースで流れただろうがぁ!?」



セツナはキレた表情で言う。

そして、やれやれという顔して、



 「そうだった、田舎は電波じゃなくて伝書鳩が飛んでんだった」



ガチギレしそうだ。

伝書鳩じゃねー! 鳩よりスズメの方が多く飛んでるわ!

 

 俺はセツナへの怒りをなんとか抑えて、ここまでの話を分析する。

とりあえず、俺の世界に怪物なんて存在しないから、ここは異世界だと確定してよさそうだ。

あと、将軍ってなに!? どこのファンタジー!? 今でいう総理大臣みたいなもんなの?

それに神殿が怪しいな……。

この世界の異変の中心が神殿なら、もしかしたらそこに、もとの世界に帰れるヒントがあるかもしれない。 

 

 セツナは続ける。



 「そして、最悪な時代は将軍様が行方不明になられた後から始まったんだよ。ちょうどその頃から各地で怪物が出現するようになった。初めの頃は軍が対応していたけど、段々と数が増え、一つの町が怪物に占拠され、それがドミノ倒しのように広がっていった」



なるほど。怪物が現れた経緯は分かった。

あとは祈者(きじゃ)についてだな。

引き続き、セツナの話に耳を傾ける。



 「そんな怪物たちの中で、一番ヤバい怪物が祈者(きじゃ)と呼ばれる怪物だ。祈者(きじゃ)は神殿を中心に活動している。見た目は人間だが、人間離れした身体能力と共通する能力、それに加えて各々に特別な能力があると分かっている」



ほうほう。段々、異世界ファンタジーらしくなってきた。

とりあえず、祈者(きじゃ)はゲームでいうボスか中ボスみたいなもんかな。

気になるのは能力についてだ。



 「祈者(きじゃ)と言われる所以、それはあいつらが神殿で何かしらの儀式を行えば、人間を罪人(つみびと)にすることができることだ」

 


俺はそれを聞いて、思考が速く回転する。

もしかして、俺が出会った罪人(つみびと)の中に、もと人間がいるかもしれないってことなのか?

その時、おっさんの後ろにピッタリくっついてた罪人(つみびと)を思い出す。

あれってーーーー。

 

 急に目の前の視界がぼやけだす。



 (あれっ……。急に視界が歪む……。それに、身体もふらふらする……)



俺はバランスを崩して、セツナに向かって倒れこんでしまった。



 「ちょっ! おまえ! 急になんだよっ!」



セツナが慌てる声がする。

俺は訳が分からないまま、視界が真っ暗になった。




ーーーーーーー




 人様が親切に話してやってる最中に、急に倒れ込んできやがった。

その衝撃で、あたしは下敷きにされて地面に倒れる。

 

 ぶん殴ってやろうかと思いながら、変態を隣に退ける。

起き上がろうとして、ふと自分の手を見ると、血がべっとりと付いていた。

 

 一瞬、自分の血かと勘違いしたが、目の前にいる変態の服をよく見ると、所々、血が滲んでいるのが分かった。

むしろ、血が垂れてる箇所もある。

 

 あたしは、すぐにあることに気づく。



 (まてまてまて……。地面に、こいつの血が垂れてる跡がある……)



 その垂れてる血は、まるであたしたちがここにいますよと教えているかのように、先に続いていた。



 「ふんふんふ~ん」



遠くから鼻歌が聴こえてきた。

誤字脱字があれば教えてください。

明日も一話分投稿しようと思ってます。

引き続き、読んでいただけると嬉しいです!

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