表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/34

6 長い夜 (D)

続きです!

<<<<<トウカ:パート>>>>>



 「ウオォォォォォ!!」



 俺は、気合の咆哮をする。



 「アマァアマァァァァ!!」



 イケメン怪物も、それに呼応するかのように咆哮する。

声量はイケメン怪物の方が、大きいが、気持ちは負けていない。


 “ブン、ブン、ブンブンブンブン!!”


力を込め、ボディブレードを動かした。


 “ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!”


 足を縦に伸ばし、腰を深く落とす。

右手でボディブレードを持ち、振動するボディブレードを顔高さまで上げ、先っぽをイケメン怪物に向ける。

左手はボディブレードに沿うように、前に伸ばした。

 

 この構えは、俺が何十回と読んで研究した、漫画『りろうに剣針』に登場する剣の構えの一つ『毛突(ゲトツ)』だ。

毛突(ゲトツ)』はこの漫画の中で最強に位置する『剣を突く』構えだ。

 


 「アァァァアア!!」



 イケメン怪物が吠えると、イケメン怪物から生えていた、無数の『光』が全て折り曲がった。

それは、蜘蛛の足のような構えに似ている。

いや、金色に光り輝く『千手観音』の手だ。

 

 何の合図もなく、突然始まった。

無数の『光』が差し迫ってきた。

俺は、反射神経を研ぎ澄まし、『光』を一本一本避けて行った。

幸運なのか、火事場の馬鹿力なのか、自分でも驚くほどに、きれいにかわすことができたーーーー、

と思っていたが、腕や太もも、脇腹、身体のあちこちに『光』によってつけられた深い傷ができていた。

めっちゃ痛い。まるでスプーンで肉が削られたような深い傷だ。



 「グッ……ウゥ……」



 思わず、唸ってしまった。痛い。心臓の鼓動のように、身体のあちこちからズキンと鼓動がする。

かすかに鉄のような臭いが、辺り一面からする。

気にするな。考えるな。

きっと今頃は串刺しだったが、こうして生きて立っている。

人間、逃げられない状況なら、クマとだって殺り合うとは、このことか。

 

 俺は足に力を込め、イケメン怪物に向かって飛び走った。

臆するな! 止まってはいけない! 

一心不乱に足を動かし、イケメン怪物の胸元まで駆け寄った。

イケメン怪物は、まさかの行動だったらしく、俺に反応できていない。



 「ウオォォォォォ!!」



懇親の力を込め、振動するボディブレードを、イケメン怪物の胸元に、思いっきり突き刺した。


 “………………”


 ----静寂。

まるで、時が止まったかのように、俺とイケメン怪物は固まった。

 

 最初に声を発したのは、イケメン怪物だった。



 「ア……ア?」



 イケメン怪物は何が起こったのか分からないといった声を発した。

そして、ゆっくりと、自分の胸元を見た。

 

 イケメン怪物の胸には、今にも折れそうなくらいの、えげつない、しなりをしたボディブレードが押し付けられている。

俺は、静かに呟いた。



 「耐久性……問題なし」

 


 俺は次の行動について、必死に思考を巡らした。

何かないか、今のこの現状を打破できる一手はないのか。

チラッと部屋の奥にある、洗面台に目をやった。

先ほどのヤンキー娘が、洗面台の流し台にお尻がすっぽりとはまり、座っているような状態で、うなだれていた。


 洗面台の鏡には、蜘蛛の巣みたいなヒビが広がっていた。相当、強い力で吹き飛ばされたに違いない。

ヤンキー娘の肩を見ると、上がったり下がったりしている。

大丈夫、生きている。きっと気絶しているのだと思う。

いくら初対面が最悪のイメージだろうが、見捨てるほど人間性は腐っちゃいない。

それにこのまま放っておくと、イケメン・女子・密室の、少女漫画でいう王道三要素が揃ってしまう。

 

 いろいろ、思考を巡らせて、ある閃きが思いついた。

人間で太刀打ちできないなら、同じ怪物なら太刀打ちできるんじゃね?

 

 俺は、脱兎のごとく廊下に走った。廊下に出ると、イケメン怪物の方を向いた。

イケメン怪物は、まだ自分の胸元を見て呆けている。

右手でボディブレードを握りしめ、肩の上で構えると、大きくゆっくりと深呼吸をした。



 「シュッ!」



イケメン怪物目がけて、ボディブレードを投げた。

ボディブレードは真っ直ぐ、槍のように怪物に直撃した。



 「ウマァァア!」



イケメン怪物は我に返ったように、短い叫びをあげた。

イケメン怪物は俺の方を向くと、怒り狂うイノシシのように突進してきた。



 「うひょーーー!!」



俺は、すんでのところで回避した。


 “ズドーーン!!”


イケメン怪物は壁に激突した。その衝撃か、天井からホコリや壁の一部が落ちてくる。

俺は、後ろを見る暇もなく、ダッシュで階段を上る。

イケメン怪物も登ってくると思ったが。


 “シュパッ! シュパパパパパッ!!”


俺がさっきまで踏んでいた階段板が、壊れていくのが分かる。

想像したくないが、『光』による攻撃か!?

階段がぐらつく、バランスが崩れる。



 「わぁぁぁぁぁぁぁ!!」



俺は両手を『U』の字に上げながら、階段を駆け上がっていく。

そんなに長い階段ではないが、俺にとっては、とても長い階段に思えた。

もしかしたら、異世界にあるボイラー室につながっていて、そのまま銭湯で働くことになるのではと思うくらい。

 

 息を切らして、死に物狂いで二階にたどり着いた。

後ろをみると、階段がズタボロだ。大きな四角い穴が空いている板があれば、完全に無くなっている板もある。

一階から、イケメン怪物が俺のことをガン見している。



 (マズい……、イケメンが俺になびかない!)



とっさの行動で、イケメン怪物に向かって、投げキスをした。



 「アァアァァアマァア!!」



イケメン怪物は叫ぶと、無数の『光』を壁に突き刺した。

すると、『光』を使って壁を登り始めた。まるで蜘蛛が壁を歩くように。



 「蜘蛛イケメン男(スパイダーメン)!!」



俺は、壁や床を必死に叩いた。



 (頼む! 頼む頼む頼む頼む!!)



イケメン怪物は徐々に二階に近づいてくる。



 (いるんだろ! 出てこい! 出てこい!!)



必死に心の中で叫ぶ、自然と目と鼻と股間が熱くなる。

もう近くまで迫ってきたーーーと思った、その時。



 「フシューーフシューー」



 俺の耳元で、その音は聴こえた。

待ち望んでいたモノが来て、嬉しさのあまり、満面の笑顔で音のする方向を向いた。

 

 俺の目に、犬の顔がドアップで映る。

血の気が引いていくのが、分かった。



 「近いな……」

今日は2話連続投稿をしようと思ってます。

次の話は夜19時くらいに投稿する予定です。

よろしければ、読んでいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ