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5 長い夜 (C)

続きです!

あと、4の一部の文章を訂正しました。

<<<<<トウカ:パート>>>>>


 ホコリが舞う中で、そいつの全身がはっきりと見える。

 

 ロングヘア―で、センター分けをしている。

顔は整っていて、いわゆるイケメンだ。

ここまで整っていると、韓流俳優もビックリするだろう。

格好は、青・白のチェック柄のシャツとジーパンで、しっかりとシャツインをしている。

顔だけじゃなく、ファッションもイカしてんじゃん。なかなか、いいセンスだ。

 

 しかし、明らかに人間ではないと分かる部分がある。

デメキンのように、片目だけ飛び出ていること。

飛び出てる目には、もう一つの顔があること。

そして、何より一番、違う点がある。

そいつの背中からは、お寺によくある『観音像』の背中から伸びている金色の『光』があるのだ。

『光』といっても、眩しいとかの光ではなく、立体的な形のある無数の金色に光り輝く太い棒が生えている。

その金色の『光』は、無数にも渡って床や壁、天井に突き刺さっている。

 

 全身の鳥肌が立った。直感で分かる。

こいつはヤバい。

 

 俺は、悲鳴をあげればいいのか、お経をあげればいいのか、分からなくなった。

 

 ただ一つ、やらなければいけないことは分かっている。

一刻も早く、こいつから離れなければいけない。

しかし、今いる場所は風呂場、目の前にはイケメン怪物が立っている。

幸いなことに、イケメン怪物は、俺に気づいていないようだ。

 

 俺は、息を殺した。本当なら身を屈めたりしたいが、さっきから足が震えて動きそうにない。

大丈夫。大きな音さえ出さなければ。


 “ヒュンヒュン……ヒュンヒュンヒュンヒュン!!”


なんだ!? なんだ!? この場違いな音は!? と思ったが、音の正体がすぐ分かった。

 

 俺のボディブレードだ。

そういえば、忘れていた。ボディブレードが戦闘態勢に入っていたことを。



 「ア……。」



 イケメン怪物がこっちを向いた。

イケメン顔と、コブみたいな顔からの視線で、ドキドキが二倍だ。

俺は震える足と、震えるボディブレードを落ち着かせるため、まず一言呟いた。



 「ちょ……ちょ、待てよ!」



きっと、第三者から見ると、イケメン俳優さながらの名セリフに聞こえたはずだ。



 「アアアァァアマァアマァァァァ!!」



 イケメン怪物の叫び声が、家中に響く。鼓膜がはち切れそうなくらいの声量だ。

あまりにも、でかい声だったので、耳がキーンとした。


 “シュッ!!”


 突然の風切り音とともに、俺の背後にあった風呂場用鏡が割れた。

何が起きたのか、分からなかった。

ただ一つ。

俺の顔すれすれに、金色に輝く『光』があった。



 (なるほど、それって飾りじゃなくて、そういう使い方をするんですね)



イケメン怪物は、両手を突き出し、叫び声ながら俺に突進してきた。



 (ヤバいヤバいヤバいヤバい!!)



 頭の中で、様々な過去の思い出が流れてくる。

父さん、母さん、リッカちゃん、ミツゴロウ……。平凡だった日常ーーーー。

今まで見た、アニメや漫画の記憶ーーーー。

誰でもいい。誰か……、誰か助けてくれ!! 

ーーーーー死ぬ! と思ったその時。

ある記憶が鮮明に浮かんだ。

 

 それは、愛犬ミツゴロウが初めて、我が家にやってきた時の記憶。

ミツゴロウはペットショップから、父さんがお迎えした。

犬を飼うことになった理由は、父さん曰く、俺やリッカちゃんに何かを愛するという気持ちを早々に学んでほしかったからとのこと。

まだ、子犬だったミツゴロウは、様々な事に怯え、手を差し出せば噛みつくし、夜はしきりに震えた声で鳴いていた。


 当時の俺は、どうしてもミツゴロウの背中に乗りたいという子供ながらの夢があり、仲良くなるため、めげずに接し続けた。

撫でようとすると、噛まれたり、引っ搔かれたり。散歩に行こうとすると、逃げられ、吠えられ。

それでも、俺は、泣きながらミツゴロウに接していた記憶がある。

そんなことも、ある時を境に、ミツゴロウは俺といると大人しくなった。

父さんは、笑いながら。



 「何かを愛するということは、相手が愛されていると理解するまで愛し続けなければならない。何事も、諦めず、最後までやり続ける。挫けない心が大事だ」



 「それを歪曲した行為がストーカーですよーー」



母さんが、父さんを睨みながら言っていた。






 “パシンッ!!”


 何かに弾かれるような、高い音がした。

何が起きたのか分からない……。



 「マッ…………?」



 イケメン怪物は、自分の手をマジマジと見つめている。

まるで、何が起こったのか分からず、赤ちゃんがひょっとこ顔をしているような顔だ。

俺も、死んだと思ったが、突然の出来事で、ポカーンとした。

俺と、イケメン怪物・コブにある顔は、互いに状況確認のため、顔を見合わせた。

 

 両手に握っていたボディブレードは、バネについてる振り子のように、ビヨ~ンと間抜けな音を立てて、やがて止まった。

なるほど、そういうことか。

ボディブレードが、迫りくる『死』から、俺を守ってくれたのか。

俺は、ボディブレードを見つめた。諦めるな。

そうだ、『魔法少女プリティー☆もきゅもきゅ』の主人公『ぷり子』も、どんなに強敵でも、魔法の『ぷるんぷるんステッキ』と共に、諦めずに必ず立ち上がっていた。

 

 ボディブレードを強く握りしめ、覚悟を決めた。



 「いくぜ、相棒!!」


 (いくよ! もう一人の僕!!)



 心の中で、ボディブレードが言った気がした。

妙にテンションが上がってきた。

きっと、恐怖のボルテージが限界突破して、アドレナリンがドパドパと放出されているせいだ。

頭の中で、アニメの主人公に自分を当てはめて、つい、アニメの次回予告風な妄想をしてしまった。



 (お願い、勝って生き残ってトウカ! 君が今ここで倒れたら、家族との再会はどうなっちゃうの? ボディブレードはまだ折れていない。この局面さえ乗り切れば、きっと生き延びられる!)



高ぶる闘志。いける! 乗り越えられる! なんか、俺、かっこいいぞ!



 「ヂュエル・スタンバイ!!」

誤字脱字があれば教えてください。

明日は二話分投稿しようと思ってます。

投稿時間は正午(12時)と夜(19時)を考えています。時間は前後するかもしれません。

引き続き、読んでいただけると嬉しいです!

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