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0 始まりのお話

はじまして!

 


 「あなた方が望むものは“家族”。そして私達が望むものも“家族”です」



目の前にいる女性が静かな口調で言う。

その女性は時代劇で出てくるお姫様のような人だ。

澄んだ瞳に、小さな唇。日本美女の条件であるツヤのある長い髪。

人形のように整った顔立ちをしている。

きっと女性と付き合ったことがない男性は一目ぼれ間違いなしだろう。

 

 その女性の後ろにはたくさんの人々が並んでいた。

どの人も時代劇に出てくるような恰好をしている。

みんな暗い表情をしている。中にはすすり泣く人もいた。



 「困りましたね」



その女性はそう言うと、悲しそうな顔をする。

そして続けて言った。



 「あなた方はこの世界に来て、様々な人々と出会い・別れを経験したと思います」



この世界での日々を思い出す。

いろいろな人と出会った。

出会った人の中には悲しい別れ方をした人もいるが、どれも大切な思い出だ。



 「その人々を救いたいと思いませんか?」



その女性は両手を広げると、震える声で言った。

この世界で出会ったある一人の女性の笑顔が鮮明に浮かぶ。

ーー救いたい。

救いたいけど、家族と天秤にかけるだなんて残酷すぎる。



 「たった……、たった一つの命で全てを救うことができます。一つの命と一つの世界の命。命を天秤にかけると、どちらが重いかは明白でしょう。ただ、あなた方の願いは成就しませんが……」



“命を天秤にかける”この言葉が嫌いだ。

女性を睨んだ。

“家族”と“友人たち”を天秤にかけた女性の残酷さに、睨むことしかできない。



 「さぁ、決断の時です。あなた方の選択を聞かせてください」


 「クゥーーン」



足元にくっついている愛犬が、悲しそうな顔で見上げる。

大丈夫だ。おまえは大事な家族だ。

愛犬の顔を見て、言うことを決めた。

拳を握りしめ、女性を見る。

きっと女性の目には、覚悟を決めた人の顔に映ったに違いない。

 

 ゆっくりと深呼吸してはっきりと、女性に向かって言った。



 「『テレフォン』使えますか?」

物語は第2章から大きく動き始めますので、よろしくお願いします!

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