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プロローグ

魔王城 フリーデン


うっすらと月明かりが灯る城で二人の男女が言葉を交わす。


「魔王様、先日送ったヴェステリア王国への和平交渉の結果ですが……。残念なことに交渉に応じられる事はありませんでした。それと……『交渉に応じないのは人族の総意である』とのことです」


明かりに照らされ、きらびやかに光る銀色の髪を腰まで伸ばした美しい女性が何とも言えない表情で話す。

月明かりが入ってくる大きな楕円形の窓を背後に、玉座に座っている少年のような見た目の魔王は重そうにゆっくりと口を開ける。


「そうか……」


「魔王様……。私はあなた様のためを想って進言させていただきます。人族との和平交渉など到底成し得ぬ事なのです。我らは互いにいがみ合う事しかできないのです」


「ふむ……ではお前だったらどのようにする?」


「私は……個人の見解といたしましては人族が我らと和平を結ぶ意志がないのであれば、戦争もやむを得ないかと。人族か魔人族どちらが生き残るか、ただそれだけです」


「だめだ! 人族と全面戦争など起こせば我ら魔人族が勝てるかもしれないが、こちらにも多くの犠牲が出る! そしてしまいには血で血を洗う戦いになってしまう……」


「魔王様……」


「それに和平を望まない事が人族の総意だと言うが、それが本当だとどうして分かる? 人族の国はヴェステリア王国だけではない」


「では! どのようにして調べるのですか? 我らは人族と違い角など身体的に特徴がある者ばかりです。私たちはヴェステリア王国を調べることすらできないのですよ?」


銀髪の女は心苦しいという顔で魔王に進言する。

本当は彼女とて、現状を打破したいという志は一緒なのだ。


「確かにな……。何か案はないものか。」


魔王は玉座に頬杖をつき考える仕草をする。必死に頭を捻らせるが何も良い案は出てこなかった。


「「!?」」


その時魔王の座っている玉座の周りに、まばゆい光を纏う魔法陣が現れる。

その光は月明かりを消し、部屋中を真っ白な雪のように染めるほどだ。


「これは……魔法陣!?」


突然の事に魔王と銀髪の女は呆気にとられる。何が起こっているのか分からず、時が止まったかのように動けなかった。

数秒――銀髪の女は我に返り、魔法陣の上の魔王に咄嗟に手を出す。


「魔、魔王さ――」


苦しくもあと一歩というところで魔法陣は数倍まばゆい光を出し、だんだんと明かりを失っていった――月明かりだけが残る部屋には銀髪の女しか残されてはいなかった。

一瞬にして魔王は玉座から姿を消してしまったのだ。


「そ、そんな……。一体どこへ?」


城の一室からは乾いた、寂しい一言だけが妙に響いた。

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1話は6時30分頃投稿予定です。

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