チート死神
シルクが【レヴィアタン】を修得して2日経ち、ルーンとシルクは一狩り終えてカフェでゆっくりしていた。
「ふぅ、今日は少し強いマップに行ったけどシルクの新しい魔法もあったしなんだかんだで余裕だったね」
「それよりもルーンなんか一発もダメージ受けてなかったし、雑魚は分身やら狼やらが片付けてたじゃん」
「そうだね。スキルをあまり使わなくても経験値が入ってくるからこの戦いは効率が良いんだよ」
「私もなんか召喚系か使役系のスキルほしいなぁ。リリスも悪魔出してたし」
そんな風にシルクの愚痴を聞きながらルーン窓の外をふと見ると何やら騒がしくなっていた。
「ん?どうしたのルーン?」
「いや、外が妙に騒がしいなって思って」
「何か特殊なイベントが発生したのか、有名なプレイヤーでもいたんじゃないの?」
「特殊イベントなら私たちにもメッセージは来るはずだし、有名プレイヤーがいるって騒ぎかたでもないし…とりあえず、外に出て話を聞いてみるからそこで待ってて」
ルーンはそう言ってシルクを残してカフェの外に出て、近くにいた男に話を聞いてみることにした。
「あの、すいません」
「あっ、君は前回12位の【月夜の暗殺者】って二つ名であのリリスを倒した…」
「はい、そうですよ。いきなりで申し訳ないんですけど、なんでみんな騒いでるんですか?」
「それなら簡単だ。今この2層にある畏怖の森ってエリアで噂のチート死神が現れたって話があったんだよ」
ルーンは男の話を聞いてもあまりピンとこず、首を傾げながら男に更に質問した。
「その…チート死神って何ですか?」
「チート死神ってのはまぁ、プレイヤー内の呼び名なんだけど認識されただけでゲームオーバーになるって運営が何をとち狂って作ったのかって言われてる敵キャラだよ」
「死神って言うなら即死攻撃とかじゃないんですか?」
「いや、即死耐性のあるプレイヤーでも一瞬でやられたって言うし、単純な高火力の可能性の方が高いらしいよ」
男とこの後少し話すとルーンはカフェに戻り、シルクに今聞いたことを報告した。
「よし、じゃあその畏怖の森って場所に行こう!」
「あの…シルク、私の話聞いてた?」
「うん、聞いてたよ。だって、死神にやられたままでもやもやしてたし、全然死神が湧いたって話を聞かなかったから上位種っぽいけど今の私とルーンならリベンジ出来るよ」
「分かった。でも行くのは少し待って、エイルさんに連絡して一緒に行けるか聞いてみる。戦力は多い方が良いし、まだその死神を倒したって話は無いらしいから」
シルクもルーンのこの提案には納得し、ルーンは早速エイルにメッセージを送った。
「とりあえず、メッセージは送ったから畏怖の森の入り口でエイルさんが来てくれるなら待ち合わせをする」
「じゃあ、エイルさんが来れなかったりしたら?」
「その時はしょうがない私とシルクで一度行ってみよう」
「分かった。これで死神とまた戦える…」
シルクは両手で持っている杖をぎゅっと握りしめ、これからの戦いにワクワクしていた。




