レヴィアタン
シルクはお婆さんが水龍を撫でて撫でられている水龍が甘えるという光景を見て少し驚いていたが、そもそもの本題を思い出しお婆さんに問いかけた。
「それで龍魔法はどうやって教えてくれるんですか?」
「まぁ、そう焦るな。とりあえず、わしの小屋まで帰ったら教えてやるから」
「今度は本当に教えてもらえるんですよね?」
「わしは今まで嘘をお主についた覚えはないし、そもそもこれはお主の勘違いじゃろ」
シルクがお婆さんに痛いところをつかれ言葉につまっているとお婆さんはその間に魔法で小屋まで戻ってしまった。
「あーあ、また先に行っちゃった」
「しょうがない、私も箒で小屋に急がないと」
シルクはそう言って箒にまたがり早々に森を抜けつつ道中の敵を魔法で倒し、数分で森の入り口の小屋に着いた。
「おっ、もう来たのか。茶を沸かそうと準備しとったのにもう少しタイミングを考えられんのか」
「いや、さっきは遅いって言ってたから…」
「まぁよい。お主が龍魔法使えるかどうかは正直分からんが素質があるのは十分あるからな」
「えっ、龍魔法って使えない場合もあるんですか?」
「当たり前じゃろ。お主は魔力測定も水龍との戦いもクリアしたが魔法というものは身体がその属性にあってるかも大きく関わっているからな」
シルクは最後の最後に聞いたこの言葉に顔をひきつりつつもお婆さんの話を最後まで聞くことにした。
「ちなみにその属性の魔法が身体にあってるかってどうやったら分かるんですか?」
「簡単じゃよ。水龍の龍魔法なら【水属性適性Ⅳ】があれば最低限使うことは出来るはずじゃ」
「ふぅ、それの条件なら大丈夫です。でも、最低限使えるってどういう意味…」
「そのままの意味じゃよ。使えることには使えるが威力は最高火力にはほど遠いうえ、使用時の魔力消費も大きいからな。でも、間違えなくお主に必要な武器の1つじゃ」
シルクはお婆さんの言葉を聞き少し考え、納得したような表情をうかべた。
「要するに私が今後強くなれば威力も上がるし、消費魔力も減るんですよね」
「そうじゃな。それじゃ話はこれくらいにしてお主には龍魔法が修得出来るこれをやるぞ」
「さっきお婆さんが持ってた本じゃないですか!」
「これを使えばお主は水龍の龍魔法【レヴィアタン】を使えるようになるぞ」
シルクはお婆さんから本を受け取り、開くと青い龍が本から飛び出しシルクの胸に吸い込まれて消えていった。
『龍魔法【レヴィアタン】を修得した』
シルクの頭の中で抑揚のない声が響くとシルクはお婆さんにお礼を言い、小屋の外に出て魔法の威力を確かめるために森の中に入った。森の中のモンスターは今のシルクなら他の魔法でも十分だが早く使いたいという気持ちの方法が勝っていた。
「おっ、珍しいじゃん。トレントが多いこのエリアにグリズリーベアがいるなんて」
「絶好の試し撃ちチャンス【レヴィアタン】!」
シルクが魔法を唱えた瞬間シルクは一瞬硬直したが杖から龍のような魔法が飛び出し、大きな音と共にグリズリーベアは光になり消えていった。
「ヤバっ、普通の魔法よりも威力が違うのが良く分かる」
「でも、硬直があったかのが気になったのと半分近くMPを削られて、次の使用に15分かかるのは辛いなぁ」
シルクは渋い顔をしながらもこれから一緒に成長することが出来る魔法に少しわくわくしていた。




