隠し玉
シルクは覚悟を決め目の前にいる水龍の攻撃を避けると水龍の一瞬の硬直時間を利用してアイテムボックス内にあのアイテムがあるかどうか確認した。
「よし、とりあえず必要なアイテムは全部ある」
「次の攻撃避けたら一気に畳み掛ける!」
シルクは次の水龍の攻撃を避けるため、ある程度距離をとり避けやすい場所で立ちどまった。
(きた、あのエフェクトは一番硬直時間が長いけど一番範囲が広い技。だけどここなら簡単に…)
「避けられる!」
シルクは水龍の攻撃をギリギリまで引きつけ、避けるとすぐにアイテムボックスからアイテムを取り出した。
「【光魔法強化】アイテム【パラライズシード】」
「アイテム【全魔法集合体】」
シルクは自身の魔法を強化し、硬直時間の水龍を麻痺状態にすると最後に透明なボールをだしてシルクが手元からはなすとそれはシルクの目の前に浮いた。
「エイルさんの言ってたことが成功するなら後は…」
「これに私の魔法を撃ち込む!」
「【ライトボール】【ライトボール】【ライトボール】【ライトボール】【ライトボール】【ライトボール】
【ライトボール】【ライトボール】【ライトボール】」
シルクは浮かせたボールにひたすら魔法を撃ち込み、ボールは次第に膨張していった。
「とりあえず、もうそろそろ水龍が麻痺が解けちゃいそうだからこれで最後にして」
「【ライトランス】【ライトタワー】」
ルーンは連発することが難しい魔法を最後にボールに当て、水龍が麻痺から復活するタイミングを見計らった。
「よし、今だ。アイテム【全魔法集合体】解除!」
シルクがそう言った瞬間水龍に向かってシルクの魔法が貯められたボールから光属性の巨大なレーザーが放たれ、水龍はそのレーザーに飲み込まれてしまった。
「エイルさんに貰った試作品のこのアイテム、ボス相手なら敵の足止めが出来ればかなり使えるなぁ」
「あとでエイルさんに役にたったってお礼言わないと」
シルクが使った【全魔法集合体】は解除するまでに魔法を撃ち込み、解除と同時に2倍の威力の魔法攻撃をするという強力なものであるが、ダメージを受けると消滅してしまうため使いどころにかなり困るものだった。
「さて、水龍は倒せたかな?」
「ぎゃぁぁぁーーー!」
「今の一撃で全体の5割までは削れたけどまだ3割も残ってるし、溶岩竜と同じならもしかして…」
シルクの考えは大体あっており水龍は湖の中に潜り、HPを全体の4割まで回復すると湖の中心の水面から出てくると水柱を自らのまわりに6本出現させた。
「ここからが本番になるのかな…」
シルクは苦笑いをしつつも水龍と6本の水柱を見つめ、この後の水龍の行動を予想することにした。




