師匠と龍の魔法
衝撃のイベント結果とエイルの姪っ子の話から約一週間が経ち、その日シルクはルーンと別行動していた。
「う~ん、今日はどこに行こうかな?ルーンにこれ以上イベントとかで負けたくないしなぁ」
「あっ、そうだ。久しぶりにお婆さんのところに行ってみようかな。何かあるかもしれないし」
シルクはそう言って一層の森の中にある小屋に向かうために箒に乗った。
箒に乗りながらシルクは今までわざわざ歩いていたことがバカらしくなったがそう考えている内に小屋についた。
「おっ、お婆さんいるじゃん。次のクエストが開放されたのかな?」
「そこで覗いてないでさっさとこっちに来たらどうじゃ」
「あっ、バレてましたか…」
「それで隠れてるつもりじゃったのか」
ルーンは隠れてるつもりは無かったのだがお婆さんが家の中に入ってこいと言ってるのを窓越しに聞こえたので普通に正面のドアから入った。
「お前さんがここ最近顔を見せなかったからてっきり失敗して死んだのかと思っとったわ」
「冗談じゃないですよ。アイドロさんには会いましたがほとんど話聞いてもらえなかったし、その前に強い弓を使う魔法人形と戦って魔法がほとんど当たらなかったし…」
「でも、お主は禁術を封じるその首飾りをもらったのじゃろ。それならまぁあとは呪いを祓うだけでいいじゃろ」
「簡単に言わないでくださいよ。残り6人の居場所も分からないし、普通に私じゃ勝てないんでしょ」
シルクがそう言うとお婆さんは思い出した様な顔をして本棚から1冊の本を取り出した。
「まぁ、確かにお主じゃ勝てんじゃろうからな。わしも何かお主にしてやろうかと思っていたんじゃった」
「何か強い装備をくれるんですか?それとも強力なスキルか魔法ですか?」
「あせるでない。そうじゃな…よし、森の中にある湖で待っておるから早く来るがよい。場所は巨大な人面樹木がおった場所の奥にあるからな」
そう言うとお婆さんは一瞬にしてシルクの前から姿を消してしまった。
「巨大な人面樹木…あっ、あそこか。それなら、一回行ったことがあるし楽に終わるじゃん」
「あれ?でもこれクエスト受注報告がこないし、クエストじゃないのかな?まぁいいか、行ったら分かるでしょ」
シルクはふと疑問に思ったがそれを深く考えることも無く、シルクは湖に向かった。
「ふぅ、やっぱりここであってたのか」
「懐かしいな。ここであのボストレントと戦ってその後は…思い出したくないや」
シルクは一瞬頭の中に骸骨姿で大鎌を持っている死神を思い出したがそれを頭の中から消し去り、お婆さんが待つ奥の湖のほとりにやってきた。
「ここの奥に湖なんてあったんだ」
「遅いぞ。いくらわしを待たせるんじゃ」
「結構早く着いたつもりだったんだけどなぁ」
「ん?何か言ったか?」
お婆さんはシルクをたしなめるようにそう言ったがシルクは特に気にして無いような感じだった。
「それでどんなことをここでするんですか?」
「ここでお主には強力な魔法である龍魔法を教えてやろうと思ってここに来たのじゃ」
「でも、なんでここでやるんですか」
「決まっているじゃろ。ここには龍魔法を使うために必要な水龍がいるからな」
お婆さんがそう言った瞬間お婆さんが背にしている湖から巨大な龍が現れた。




