暗闇の中の暗殺者5
2人は周りにいたプレイヤーを全員倒したが逃げたのかリーダー格の男だけが見当たらなかった。
「チェインさん、あのリーダーみたいな男倒しましたか」
「いや、倒してないよ。さすがに俺たちがほとんど倒したのを見て逃げたって考えたいけどな」
「そうだと良いんですけど…」
ルーンはそう言って2人が気を抜いていると遠くから、チェインに向かってくる赤い光に気づいた。
「チェインさん危ない!」
「えっ、何?」
(あの人にチェインさんのポイントをとられたらまずい。とりあえず間にあって)
ルーンはチェインを突き飛ばし光の斜線から外したがその斜線にルーン自身が入ってしまった。
「うわぁーー!」
「ぐっ、やられた。あいつか【武器変化:アーチャー】【パワースナイプ】」
「よし、ヘッドショットで倒せたけど…」
チェインはルーンがかばってから瞬時に魔法を放ったあの男を倒したが、ルーンが炎に飲み込まれてやられてしまったことが少し悔やまれた。
「いやー、スキルがなかったら完全にアウトでしたよ」
「あれ?君さっき強力な魔法を受けてたような…」
「はい、勿論直撃してましたし実際HPは0になりましたよ。でも、私にはスキルがあったんで」
「そんな強力なスキルどこで手に入れたんだ?」
「さすがにそれは言えませんよ」
ルーンはニコリと笑って誤魔化したがツクヨミからもらった防具の1つに付いていた【月夜の護り】の効果だった。
【月夜の護り】
HPが0になった瞬間に自身の闇属性のスキルを4時間使えなくなる変わりに1度だけHPとMPを全回復した状態でデスペナルティーを受けずにその場で生き残る。
ただしスキル発動時が夜の場合、闇属性のスキルが使えなくなる時間が2時間に短縮される。
クールタイム:8時間
「どうします?タイマンの続きをしますか?」
「いいや、遠慮しとくわ。君と戦うと負けかねないってことも分かったし、さっきの戦いの音で沢山のプレイヤーがジャングルに入ってくるから俺はそれを狙うよ」
「じゃあ、私もこのジャングルにいるのでお互いこれからは不干渉ってことで」
ルーンがそう言ってチェインと分かれようとしたとき、チェインに呼び止められた。
「あっ、そうだ。少ないけど、ポイントを君にあげるよ。さっきの戦いとかばってくれたお礼だと思ってくれ」
「あ、ありがとうございます。良いんですかポイントもらっちゃって?」
「良いんだよ。君がかばってなかったらこれ以上ポイント失くしてたし」
「じゃあ、イベント終わったらPvPの決闘で決着つけましょう。勿論チェインさんに時間があるならですが」
ルーンはそれだけ言うと【加速】を使ってその場から去りチェインと別れた。




