暗闇の中の暗殺者3
チェインはルーンの斬撃波をひらりとかわすと、剣を構え直してルーンとの間合いをとった。
「ふーん、俺と戦う気があるんだ」
「そうですね。慢心かもしれませんが今の私は負ける気がしないので」
「仮にもランカーの俺とタイマンをしようとするなんて…やっぱり君はめんどくさい相手みたいだね」
「勝算が無い訳でもないので、それにチェインさんのポイントはかなり大きいみたいですから」
ルーンは余裕そうな素振りを見せているが隙の無いチェインの構え方にどう攻めるか悩んでいた。
「そっちから攻めてないならこっちから攻めせてもらうよ!【武器変化:ツインダガー】」
「か、片手剣が短剣に変化した!」
「【加速】【パワーナイフ】」
「くっ、【加速】【スラッシュ】」
ルーンはチェインの片手剣が二本の短剣に変化したのに驚き、反応が遅れるもなんとか対処することができた。
(さすがの反応って所かな。短剣はあつかうのが難しいのに使ってるってことはPSはやっぱり良い感じか)
「次はこっちから【ダブルスラッシュ】」
「【武器変化:シールド】【鉄壁】」
「さすがに簡単に倒せるプレイヤーじゃなかったですね」
ルーンはこの後も何度かチェインに攻撃を仕掛けたが形を変える武器相手に有利に戦うことはできなかった。
「あんまり時間を使う訳にもいかないし、ここらで終わりにしようか」
(あのスキルにクールタイムもほとんど無いみたいだし、攻撃してもかわされたり受け止められたり…)
「【コピーウェポン】」
「そ、その短剣は…」
チェインが手に持っているのはルーンの短剣と瓜二つの黒い二本の短剣だった。
「君の短剣と同じものだよ。この2つの短剣両方とも見たことがなかったからコピーさせてもらったよ」
(あれで攻撃を当てられたらかなり厄介だな)
「これで君を倒してあげるよ。と、言いたいところだけど君よりもっとめんどくさいお客さんが来たみたいだ。しかも、かなり数が多いのがこれまた厄介だ」
ルーンがチェインの視線の方向を見ると、そこには大勢の杖を持った集団がいた。
「お、これはこれはランキング7位の【全武装】さんじゃないですか」
「こんなに多くのプレイヤーを率いるなんてなかなか頭良いじゃないか。でも、かなり趣味は悪いと思うけど」
「なぁに、手を組んで戦っちゃいけないなんてルールはないですからね。まぁ、いくらランカーでも50人も相手には出来ないでしょうしね」
「君とのタイマンはとりあえずお預けだね。この人たちは俺に用があるみたいだから」
チェインはルーンにそう言って逃げるような指示の素振りを見せたがルーンはここから逃げる考えはなかった。
「ズルいじゃないですか。この人たちかなりポイント持ってるし、それを独り占めするなんて」
「まぁ、君が戦いたいって言うなら止めないけど多分この数は無理だよ」
「数なら問題無いです。隠したかったですけど、この状況は仕方がないですかね」
「何をこそこそ話している。総員この2人に魔法の雨をお見舞いしてあげなさい」
集団のリーダー格の男がそう言うと、それぞれの魔法使いが一斉に魔法を2人に向かって撃ち始めた。




