暗闇の中の暗殺者2
日が沈み辺りが暗くなり周りの見通しが悪くなってきたイベントマップの一角にあるジャングルに男は潜んでいた。
(さすがにこの暗いジャングルの中で隠れている人間を見つけるのは難しいだろうし、誰か来たら奇襲もできる)
(たとえバレて攻撃されても俺のレベルならランカーでもない限り一撃では倒されないし、状態異常対策もしっかりできてるから問題ない)
男は腰にさしている剣を握り構えた状態でプレイヤーを警戒しながら生い茂った木々から顔を覗かせていた。
「それにしても……全然ここら辺にプレイヤーの気配がないのは少し違和感かな…ぐっ」
「な、なんだ急に斬られた感触があったと思ったら目が霞んでよく見えなく…」
「【ダブルスラッシュ】【シャドウカッター】」
「ぐはっ」
男が急な目の濁りにあった瞬間、後ろを振り向くと短剣を持った黒い影に襲われ光りとなって消えた。
「ふぅ、ここにいるプレイヤーはあらかた倒したのかな。みょうに少ない気がするけど残りの気配は少ないしなぁ」
「暗いから奇襲に向いてるし、短剣に付いているスキルもそれぞれ対策の出来ないようなものらしいし」
ルーンの短剣にはそれぞれ特殊な状態異常スキル付いていてどちらも対人戦については大きな効果を発揮していた。
【紅月の斬撃】
このスキルが付いている武器で攻撃したときに状態異常【血傷】状態にする。
【朧月の斬撃】
このスキルが付いている武器で攻撃したときに状態異常【視界不良】状態にする。
「この2つのスキルに動揺してくれるおかげで簡単に倒せるから便利だよ」
「遅効性ダメージの【血傷】に、プレーに直接影響する【視界不良】に限らず他にもまだ隠せられたし…」
ルーンはそこまで言いかけた所で後ろに気配を感じて振り返ると余裕そうに片手剣を持っている男が立っていた。
「なんかジャングルにいるプレイヤーが少ないなぁって思ってたら、君が倒してたのか」
「チェインさんですね。【全武装】の」
「あー知られてるのか。なら、話が早いや。このジャングルから出て行ってよ。そうすれば逃がしてあげるから」
ルーンはランカーからのいきなりの提案に少し驚いたものの、その意図を知るために探りをいれた。
「なんで、あなた位のプレイヤーなら私みたいな無名のプレイヤー簡単に倒せると思わないんですか」
「んーなんとなく君が他のプレイヤーと違って厄介そうにみえたから。あと、ここら辺の敵相手に余裕だったみたいだし」
「嫌です。って言ったらどうします?」
「その時はめんどくさいけど君を倒さなくちゃいけないかな。まぁ、君には負けるつもりは無いけど」
「じゃあ、嫌です。ここは私にとっても結構ポイントが稼ぎやすい場所なんで!【シャドウカッター】」
ルーンはそう言うとチェインに向かって斬撃波を放って挑発をした。




