進化の時間
ルーンはツクヨミに連れられ、真っ白い空間ではなくエイルの工房のような場所に来ていた。
「ここで…何をするんですか?」
「お主を強くするのじゃが何か不満じゃったか」
「い、いや別に不満でもないしむしろ嬉しいくらいなんですけど、何でいきなり私を強くしようとしたんですか」
「今回妾の勘違いでお主を葬ろうとしたことへの詫びと、お主が持っているそのお守りを使って少し試したいことがあったからじゃ」
ルーンはツクヨミが少しニヤッとしたのを見逃さなかったが、強くしてもらえるなら特に問題はないと考えていた。
「じゃあ、お主の持っているお守りを渡してくれんか」
「は、はい。分かりました」
ルーンはツクヨミに装備していた【月狼のお守り】を渡すと、ツクヨミはそれを手で強く握った。
「ほい、これでお主のお守りは強くなったぞ」
「えっ、今手で握っただけだけど本当に強くな…っ」
ルーンはツクヨミから受け取った【月狼のお守り】を見るとかなり強くなっていた。
『月狼王のお守り』
【月狼王の加護】
【AGI+30】
【月狼王の加護】
狼を最大5体もしくは月狼を最大1体召喚出来る。それぞれの強さは使用者のレベルに依存する。ただし、再度使用する場合前回使用時に召喚した狼もしくは月狼は消滅する。
クールタイム:2時間
「これってかなり強いスキルですよね」
「お主にはこれから頑張ってもらわないといけんからな。妾のためにも…」
「へ、何か言いました?」
「いや、別に大したことではない。それよりも、お主に渡すものはこれだけではないぞ」
「えっ、他にもあるんですか」
ツクヨミは指パッチンをするとルーンの手に、黄色いマフラー、黒いコート、ブーツそして二本の短剣が現れた。
「ほれ、これを装備するがよい。妾が作った中でも自慢の装備品たちじゃよ」
「そんな大切なものいただいて良いんですか?」
「気にするな。使い道もないまま放置していたものじゃったからな。使ってもらった方が装備品も嬉しいじゃろ」
「ど、どれも凄いスペックのものばかりだし、私のプレースタイルにも結構はまってるから使わせてもらいます」
ルーンはそれぞれの強さを見て驚きつつも、どうやって付属されているスキルを使おうか考えていた。
『月夜のコート』
【VIT+20】
【装備破壊不可】
【月夜の護り】
『月光のマフラー』
【INT+30】
【装備破壊不可】
【月光浴】
『月影のブーツ』
【AGI+25】
【装備破壊不可】
【影渡り】
『紅月の短剣』
【STR+20】
【武器破壊不可】
【紅月の斬撃】
『朧月の短剣』
【STR+20】
【武器破壊不可】
【朧月の斬撃】
「まぁ、後は妾の力を宿したこの指輪くらいじゃな」
「きれいな指輪…でも強いには強いけど今までの装備に比べてそこまで強力って訳でもなさそうですけど」
ルーンはツクヨミから紫色の宝石のついたプラチナリングを受け取り能力を確認した。
『ツクヨミの影指輪』
【MP+50】
「そうじゃな。今はまだってところじゃが、それを装備していればそのうち面白いことがあるから期待すればよい」
「普通に強い部類に入っているので使いますけど、その…面白いことって何ですか?」
「それはお楽しみじゃ」
ツクヨミはニヤリと笑いながらルーンに言うと、ルーンもそれを感じとりつつもそれを装備した。
『スキル【ゴーストカッター】が派生し、スキル【シャドウカッター】が誕生しました』
「えっ?何これ…」
『スキル【気配遮断】が派生し、スキル【影隠れ】が誕生しました』
「まだ、スキルは増えるぞ」
『スキル【月狼王の加護】とスキル【影分身Ⅰ】が融合し、スキル【影狼王の加護】が誕生しました』
ルーンが指輪を装備した瞬間3つの新たなスキルが誕生し、ルーンのステータス画面に表示された。




