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神との対面

ルーンは謎の空間から【月狼の洞窟】に戻ってくると、そこにはシルクの姿があった。


「あー、ルーンやっと帰ってきたよ。一体今までどこに…」


「シルク、今何時?」


「今?えっと…21時半だよ。ルーンってば2時間以上もどこかに行ってたの?行くなら私に声かけるなり、メッセージ送るなり、出来たはずでしょ」


「いや、それが…」


(お主、この者に妾のことを言うでないぞ。言えば、お主はこの世界にもう一度足を踏み入れられなくなるぞ)

ルーンは頭の中で聞こえてくるツクヨミの声を聞き、背すじが凍り言葉につまってしまった。


「ルーン?どうしたの?」


「ごめん、今はどうしても言えない。というか言っちゃいけない気がする」


「そ、そうなの?なら、無理に聞こうとはしないけど今度言える時がきたら聞かせてよ」


「うん、ありがとう」


「早く現実世界に帰ろうよ。私たちまだ夕飯も食べてないし、遅くなるとうちはお母さんがうるさいから」

ルーンは頭の中の整理がつかないまま、シルクと町に戻りログアウトをした。






ツクヨミとの戦闘から1日が経ち、ルーンは1人でツクヨミからもらった紙をたよりに一層の町の西端に来ていた。


「ここら辺のはずだけど…ここは特に入れる店とか建物も無いからプレイヤーも少ないから少し不気味だよ」


(お主の目の前にある民家に入れ)

ルーンはツクヨミの言う通りに目の前にある民家に入ると、そこはツクヨミと初めてあった真っ白の空間だった。


「おう、やっときたのか。妾は待ちくたびれたぞ」


「あ、遅れてすみません」


「そんな謝罪は何にもならないからどうでもよい。そんなことよりお主に用があってな」


「えっ、何ですか?」

ルーンはツクヨミの神々しさをうけ、意識せずとも敬語を使うようになってしまっていた。


「お主が身につけておるその『月狼のお守り』をどの様にして作ったのかを聞きたくてな」


「そ、それは偶然手に入れた白い角の兎の角を使って作れると聞いたので狼の毛皮を使って作りました」


「ふむ…じゃろうな。それ以外に作る方法は無いじゃろうし、それ以外に作る方法はあってはならないことじゃろうからな…」

ルーンは考えるそぶりを見せているツクヨミに疑問を抱きつつも、それについては一切触れようとしなかった。


「ともかくお主には迷惑をかけた。すまなかった」


「えっ?あ、あの…訂正するようで悪いんですけどあなたの遣いも下僕たちも私が殺してこのお守りの素材にしたことには変わりはないんですけど…」


「分かっておる。お主がただ意味もなく妾の下僕たちを殺めていた訳では無く、妾の力を継承させるそれを作るためにやったということだからな」


「それってどういう…」


「黙ってついて来るがよい。すぐに分かるであろう」

ルーンは言われるがままツクヨミの後に続き、扉の奥に広がる空間に足を踏み入れた。

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