月夜の光1
まばゆい光りに包まれたルーンは目を開けると、そこはさっきまでいたボス部屋ではない場所にいた。
「ここ…どこ?っていうか、シルクもいないじゃん」
「えっ、え?さっきまで、2人でボス部屋で月を見てて…と、とりあえずシルクにメッセージしなきゃ」
『このステージでは外部へのメッセージは送れません』
「ど、どういうこと?今まで、メッセージが送れなくなるなんてなかったのに…」
ルーンは突然起こった謎のイベントにパニックになってしまい、頭が回らなくなってしまった。
「と、とりあえず落ち着かないとシルクにも悪い癖になっちゃってるっていわれてるもんね」
「ふぅー、はぁー、ふぅー、はぁー…よ、よし大丈夫だよ私」
ルーンは例の事件が起きたあと、突然起こる出来事への対応が極端に遅くなってしまっているので、このような場合のパニックは人よりひどかった。
「ここは…【月狼の洞窟】みたいな洞窟系のダンジョンみたいだけど、特にここからは分かれ道は見えない」
「イベントなら一本道でもおかしくないけど、とりあえずダンジョン内を調べてみようかな」
そう言ってルーンは前に進むことしか出来ないので進んでみることにした。
「特に変わった様子はないけど…あっ、敵だ。狼型の敵だから、やっぱり【月狼の洞窟】に何か関係があるのかな」
「まぁ、ここで止まってたらクリア出来ないし、とてつもなくレベルの高いこともないだろうし」
「【ゴーストカッター】【ゴーストカッター】」
「よし、倒せないレベルじゃないし、ていうか一発でも倒せるほど弱いとなると簡単なのかな」
ルーンは敵がかなり弱いことやほとんど一本道の様なこの場所のことを考えると、レベルがかなり低いダンジョンだと予想した。
「一本道っていうのは楽で良いけど探索してる感じは無いんだよね。何て言うんだろう…どこかに誘導されてる?」
「って、考え過ぎか。でも、二層目があるのは長いってことなのかな」
ルーンは目の前にある下の層に続くであろう階段の下を確認しながら1人呟きその階段を下った。
「この層も上と同じで一本道になってる…上には数匹狼型のモンスターがいたくらいで特にアイテムも無かったし、ここのダンジョンは何をするのが目的なんだろう」
「まぁ、進んでいれば分かるのかな」
ルーンはそう思い続けながら下へ下へとこのダンジョンを下って行くと、十層目で変化が起きた。
「なんだろう?他のダンジョンのボス部屋みたいな扉だけど、少し他のより大きい…のかな?」
「HPは減ってないし、MPもさっき回復したから大丈夫、スキルのクールタイムも問題ない」
ルーンは万全の状態であることを確認して大きな扉に手をつき、おもいっきりその扉を開けた。




