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禁術

「まず、私が魔法人形っていうことはご存じですよね」


「あ、うん。さっきアイドロさんが言ってたね」


「それを分かっているなら話は早くすみます。では早速本題にいかせてもらいます」


「うん、分かった」


「はじめに本のことなんですが、この本はかつてあるじ様たちが行った禁術に関することに書かれている本なんです」


「禁術…ですか?」

ルーンは首をかしげて疑問に思っているようだがシルクにはなんとなく予想がついた。


「それって呪いの装備でそれぞれが自ら不死身になったってことと、関係があるよね」


「はい、まさしくその通りなんですがなんでそれを?」


「私とアイドロさんの師匠からある程度聞いてたから」


「そういうことですか。確かにさっきも師匠に聞いて来たと、言ってましたもんね」

そう言ってアチェは本のページをパラパラめくりながら相づちをうっていた。


「で、禁術ってどんなことをしたんですか」


「簡単に言えば呪いの装備の制御を行うための大規模な魔方陣を作ったんですよ。まぁ、それだけで片付く問題でもありませんが」


「えっ、呪いの装備って自分たちで制御したんじゃ…」


「そんなことは人間にはできません。いくら魔法の才能や実力があったとしても呪いにのまれてしまいます」

アチェの冷静な一言に呪いの装備についてほとんど知らなかった2人は驚いた。


「じゃあ、なんでそんなことをしてまで呪いの装備を使おうとしたの?」


「そこまでは知りませんがその禁術であるじ様を含めて7人がそれぞれ呪いの装備を手にして不死身になったのです」


「でも、アイドロさん以外の6人は呪いの装備にむしばまれて精神が崩壊してしまったって聞いたんだけど」


「確かに精神が崩壊してしまいましたが6人ではなく、それはあるじ様を含めた7人です」

アチェのその言葉に2人は驚き、さっきまで目の前にいたアイドロのことを思い出した。


「さっきまでいたあの人はアイドロさんじゃなかったの?」


「えぇ、さっきまでいたのは紛れもなくあるじ様本人ですし、精神の崩壊はしています」


「じゃあ、精神の崩壊はたいしたことないんじゃないの」


「いいえ、そんなことはありません。あるじ様は他の方よりは呪い装備の効果を受けていませんが他の方もいきなりむしばまれるのではなく、徐々に徐々にという感じでしたから」

アチェの言っていることに2人はいまいち理解をすることが出来なかったが、それを気にせずアチェは話を続けた。


「つまり、今のあるじ様は他の方ほどではありませんが精神は次第に崩壊していくであろう状態です」


「でも、めんどくさいから行かないって言ってたのは何?」


「それはあるじ様なりに考えがあったのだと思います。別にお二人に協力しないというわけでもないそうですし」


「えっ、それってどういうこと?」

ルーンの質問にアチェはシルクが持っている首飾りを指差して答えた。


「その首飾りは元々呪いの装備を封印するために作られたと言われるものです。呪いの装備を封印してない今はただの首飾りでしかありませんでしたが、あるじ様はそれを作り変えました」


「作り変えたってどういうこと?だって、呪いの装備を封印するために必要なんでしょ」


「はい、だからこそあるじ様は作り変えました。その首飾り単体だけでは封印はできても呪いの装備から呪いを祓えませんから」


「呪いの装備は呪いを祓えるんですか?」

2人は呪いの装備に苦しめられている本人がそれに対抗できるものを作れるなんてもってもいなかったため、一瞬固まってしまった。


「それならそれで呪いを払った後に禁術を行えば良かったんじゃ…」


「それでは意味がありません。不死身になるために活用したのがそもそもの呪いだったですから」


「つまり、これで呪いを祓えばシルクの師匠のお弟子さんたちを救えるってことですよね」


「まぁ、そういうことだけど呪いの装備の持ち主の生命力がほとんど消えないと意味がないんですよ」

2人はアチェのこの一言の裏をすぐに察することができたうえで絶望してしまった。


「不死身の人間の生命力をほとんど消すなんてことはできるの?」


「そこは心配なさらず、不死身と言っても痛みや疲れは感じるので出来ないことではありません」


「じゃあ、まずはアイドロさんをためしに…」


「それは止めておいた方が良いですよ。あるじ様は他の方よりも、もちろん私やシンなんかより強いですから」


「えっ、それなら他の人から…」


「それに、呪いの装備自体も抗おうとしますから今のあなたたちではとうてい他の方にも勝てません」

アチェの冷静な一言に2人は軽い絶望をしたが、それでもやることは決まっていた。


「それでも私たちはそれをやるから」


「うん、2人でアイドロさんを含めて呪いの装備を祓うから心配しないで」


「そう言ってもらえるなら幸いです。首飾りと本は預けますので自由に使ってください」

アチェがそう言うとシルクの頭の中ではクエストのクリア音が鳴り響いた。


『シークレットクエスト【賢者と大罪の呪われた装備1】をクリアしました』


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