影分身
ルーンも男の子が武器を構えるのを見て、反射的に両手の短剣を構え戦う体勢をとった。
「「「さぁ、最後の試練のスタートだよ」」」
男の子がルーンに向かって一斉に攻撃を仕掛けてくるのをルーンはギリギリでかわした。
「とりあえず、1人ずつ倒して優勢にもっていくしかないよね【透明化】」
「「「ど、どこにいった」」」
ルーンは【透明化】で姿を消すと、近くにいる分身にスキルを使って攻撃をした。
「【ダブルスラッシュ】【ダブルスラッシュ】」
「「ぐはっ」」
分身自体はそれほど強くはなくもともと耐久力が高くなかったため、ルーンは【透明化】の効果時間内に2体の分身を片付けた。
「あっ、ヤバイ効果切れちゃった」
「「「いたいた、面白いスキル使うみたいだね。じゃあ、それ僕も使わせてもらおうかな」」」
男の子はそう言うと、分身と共にルーンの視界から消えて見えなくなってしまった。
「【透明化】を使われちゃいましたか。師匠ってかなり厄介ですねっ」
「「「ぐはっ、な、なんでわかった」」」
ルーンは【透明化】の効果が続いている男の子の分身3体を一気に殲滅させてしまった。
「簡単ですよ師匠、【透明化】には人が注意して見てみると案外簡単にわかるものなんですよ。まぁ、師匠には出来ないでしょうけど」
「「「むぅ、こうなったら奥の手だよ」」」
男の子はそう言うと残りの分身を一気に消し、自分の元に力を集中させた。
「ここからが本番だよ。【神速】【軽量化】」
「うわっ、さっきよりも全然速い」
「【真空斬】【毒斬撃】」
「うぐっ、かすっただけでもなかなかダメージが入る」
ルーンはそう思いながらポーションを飲み、HPを回復させ、隙をうかがいながら攻撃を避けていた。
「【連斬】【麻痺斬撃】」
「見えた、いけるこのタイミングなら」
「【斬撃波】【火傷斬撃】」
「【ダブルスラッシュ】【ダブルスラッシュ】」
ルーンは敵の攻撃した後の少しの硬直時間を見つけ、そのタイミングで自分の攻撃をぶつけた。
「さすがに一発では倒せないか。でも、結構ダメージは入ってるしこれでいける」
「【連斬】【真空斬】【斬撃波】」
「今だ、【ダブルスラッシュ】【ダブルスラッシュ】」
ルーンの脅威の8連撃で男の子はその場に倒れ、戦闘はそこで終わった。
「あー、やっぱり君は強かったね。僕が見込んだだけのことはあったよ」
「はいはい、ありがとうね師匠」
「約束通り僕が主様から教わった術を教えてあげるよ」
「ありがとうございます師匠」
ルーンがそう言うと、頭の中にクエストクリアの報告とスキル取得の通知がきた。
『スキル【影分身Ⅰ】を取得しました』
【影分身Ⅰ】
自分の分身を最大でスキルレベル+2体まで呼び出すことが出来る
(ただし、その分身は使用者のレベルに依存し、倒されかこのスキルを再使用すると分身は消える)
クールタイム:3時間
「これはなかなか使えるスキルだよ」
「あ、あと僕のあるじ様にもあってみると良いよ。この町にいる青いローブを着た魔法使いだから」
「えっ、それってシルクが探してた人じゃ…」
ルーンがここで思わぬ収穫をしている間に、シルクも有力な情報をつかんでいた。




