現実では1
イベントの結果発表の翌日、現実では奈月と真白の学園では高等部の入学式があった。
「よかった。真白とまた一緒のクラスで」
「まぁ、先生が奈月の例の一件の事を配慮して仲のいい私と一緒のクラスにしたんじゃない?」
「まさか、そんなことあるはずないでしょ」
「でも、それがなきゃ幼等部から中等部まで同じクラスにするわけないでしょ」
2人は3歳からの約12年間で1度も違うクラスにはなっていなかったため今回はさすがに離れるのではないかと、どちらも心のなかで思っていた。
「そう言えば、今日は保護者出席だけど奈月は誰がくるの?」
「清香さんが来てくれるらしいから大丈夫だよ」
「私、その清香さんに一度も会ったことないんだよなぁ。式が終わってからでいいから紹介してよ」
「いいけど、案外見たことある顔かもよ」
奈月の一言に真白は疑問符を浮かべながらも、気にせずに奈月と一緒に体育館に向かうことにした。
長い長い入学式も終わり、教室で担任の挨拶と軽い自己紹介をしてその日は解散となった。
「はぁ、学園長の話はいつも長いし意味分からないからじっとまってるのは辛かったよ」
「ははは、確かに長いけどわからない話じゃないと思うけど。特に最近発表された論文の話なんかは…」
「あーストップストップ奈月はそういう話すると長くなるからここで終わり。ということで、さっそく奈月の家に行こう」
「え、何で私の家に来るの?別にいいけど」
奈月は真白が急に家に来ると言い出すことは無かったので少し驚いていた。
「だって、さっき約束したじゃん。式が終わった後に清香さん紹介してくれるって言ったからじゃん」
「あーそういうことか。それなら私の家じゃなくて、清香さんの家に行けばいいよ」
「じゃあ、そっちに行こう」
そう言って、2人は下校のルートから外れて清香さんの家に向かった。
清香の家は奈月の家から10分位歩いたところにあるタワーマンションな10階だった。
「で、清香さんの部屋は何号室なの」
「別にオートロックを向こう側から開いてもらわなくても、ここの鍵はあるから大丈夫だよ」
そう言って、奈月は持っている鍵でエントランスの自動ドアを開いた。
「結構豪華な場所だよね。清香さんも奈月と同じでお金持ちなの?」
「まぁ、遺産が入ってきたのもそうだけどそれでなくてもお金持ちになってただろうけど」
奈月の意味ありげな発言に気になった真白であったが、なんとなく聞いてはいけない雰囲気がしたため聞けなかった。




