絶対的な5人
エイルは残りの5つの指輪を今まで置いていた3つの指輪から離れた位置に置いた。
「えっと…エイルさん、これはどういうことですか」
「簡単だよ。これが6位と5位の実力の差ってことだね。正直この5人には勝てる気がしないんだよ」
エイルのその言葉に2人は驚いていたがその事を気にせず、エイルは話を続けた。
「まずは5位の【死霊の王】から説明しようか」
「その人にエイルさんは何回やったら勝てるんですか?」
シルクはエイルの言葉を聞き、その質問が自然と口から出てしまった。
「う~ん、50回やって勝てたら良い方じゃない」
「そんなに強いんですか」
「彼の特徴はほぼ無限に召喚できるアンデット系のモンスターたちだから僕は相性が悪いんだけど、他の4人も似たようなもんだよ」
「てことは、死霊術師系統の使い手ですよね」
「まぁ、彼の凄さは目の前で見ればわかるよ」
エイルはシルクの話をはぐらかすように早々に次の話題に入り始めた。
「じゃあ、4位の【轟雷の剣神】と、3位の【暴嵐の剣神】についてだね」
「なんかその2人は二つ名がほとんど一緒ですけど…」
「そうなんだよ。それがこの2人の特徴になるよ」
ルーンとシルクは頭に疑問符がうかんでいるがそれをエイルは簡単になくしてくれた。
「この2人は直接聞いた話だと双子らしくてこのレベルだとそれぞれが強いのはもちろんだけど、それよりも2人が連携して戦った方が2倍以上の力をだすんだよ」
「つまり、連携に秀でている2人ってことですか」
エイルはルーンの質問に対して少し考えると、あたりさわりのない返答をした。
「まぁ、連携もスゴいけどそれぞれが雷と風の属性を使うのも特徴であと使いこなすのが難しい双剣使いってことかな。まぁ、何よりもルーンちゃんと遜色ない身体能力が2人にはあるからね」
「ルーンと同じくらいの身体能力って本当ですか」
「ほら、さっき言った亜種を倒したっていうのがこの2人を含めたパーティーだよ」
エイルの話を聞く限り、全て本当のことを話しているようなだが2人はもうそれだけでは驚かなくなってきた。
「2人はもうこれくらいじゃ驚かない感じかな」
「は、はい。確かにすごいことなんでしょうけど感覚が麻痺してるみたいで…」
「じゃあ、残りの2位の【絶氷の女王】と1位の【星天の大賢者】には驚かないかな」
エイルは少し笑いながら、FLOの頂点に立つ2人について話を始めた。
「まぁ、まずこの2人は地形を変えるほどの魔法使いってことを覚えておいて」
「え…ち、地形ですか」
「あれ?2人とも驚かないんじゃないの?」
ルーンもシルクもそんな常識外れの能力やスキルを知っているわけでもなかったため口が開いたまま驚いていた。
「えっと、じゃあ2位の【絶氷の女王】から説明しよっか」
「その前に地形を変えるっていう話をしてください」
「簡単に言うと【絶氷の女王】は辺り1面を一瞬で白銀の世界に変えることができるってことだよ」
「えっ、周りの世界が雪で覆いつくされるほどの魔法ってあるんですか?」
シルクは今まで聞いたこともないような大規模な魔法にエイルが嘘を言ってるように聞こえた。
「本当だよ。彼女はこのゲームを初めてから氷魔法しか使ってないからこんな魔法を使えるようになったらしいよ」
「そんなバカな…いくら魔法職が3、4種の属性がセオリーだからって」
「彼女自身も全く図ってやったことじゃないし、たまたまらしいよ」
エイルもそれについては全く知らないらしくこの後は何にも情報はなかった。
「最後はFLOのトップオブトップである【星天の大賢者】の話だね」
「その人も地形を変えられるとか…」
「うん、彼は主に土属性の魔法を使うんだけど草原をクレーターだらけにして、ベータ版時代に一回それを直すためにメンテナンスを行わせたほどだから」
そうエイルが言うとまた、ルーンとシルクは口を開けたまま何も言えずに驚いていた。
「まぁ、彼はそれだけじゃなくて回復、バフ、デバフ、その他もろもろでもトップクラスだからパーティーでもソロでも右にでる人はいないと言われてるからね」
「つまり、隙がないってことですか」
「そうだね。彼だけには本当に勝てるビジョンが見えなかったから」
そう言うエイルの顔には諦めを含んだ笑みが浮かんでいるのを2人は見ていた。
この残り7人はまだ出てないかもしれないし、もう出てるかもしれませんので今までの物語を見返してみるのも良いかもしれません。




