火山湖と溶岩竜3
2人の全力の攻撃でドラゴンのHPは何とか半分まで削ると、ドラゴンは叫び声をあげ赤いオーラをまとった。
「シルク、何かヤバイ技がくる。取り敢えず一旦退避して」
「わ、分かった。ルーンも早くしないと、ってうわーー」
2人はドラゴンの強力な爆発系統の技範囲から何とか出ることはできたが、その爆風で2人は壁に打ち付けられた。
「【ハイヒール】【ハイヒール】」
「シルク、回復ありがとう。でも今まで以上に強力だし、攻撃力が桁外れになっちゃったよ」
「うん、普通に考えてもう無理だけど…ルーンさっきのあと何回使える?」
「もう使えない、1日一回っきりだから」
ルーンが使った【透明化】は10秒間透明になり、モンスターの場合はどんなレベルでも気がつかないという【気配遮断】の強化スキルだった。
「使えないとなるとかなり厳しいよね」
「うん、さっきみたいなことはもうできない」
そんなことを話しているうちに、ドラゴンが初めて使う火の玉を吐くような攻撃をしてきた。
「よっと、危なか…って地面が溶けてる」
「やばいよあの攻撃、地面を無くしてきてる」
「地面がどんどん削られて追い込まれるのか…なかなか不利になってきた」
このボス部屋は地面の殆どが溶岩なのでこれ以上地面を削られるとルーンはまずアウトである。
「シルク、ドラゴンが…」
「えっ、溶岩に潜った。とりあえずルーン、箒に掴まって」
シルクの箒にルーンは掴まり飛んだ瞬間ルーンがもといた地面を下から突き破りドラゴンが現れた。
「あ、危なかった。このボスヤバすぎるでしょ」
「う、うん。これは無理かも」
2人は元々苦戦を強いられていたボスの新しい行動や攻撃に若干の諦めムードが2人の間を漂った瞬間2人はドラゴンの炎に飲まれ目の前がまばゆい光に包まれた。
2人が目を開けると、何時間か前に見た立派な町並みをした二層の町の入り口に立っていた。
「あー負けちゃったか。一瞬油断したのがまずかったかな」
「まぁ、私はあそこまでよくやったと思うよ」
2人はなんだかんだで勝てなかった悔しさが残るものの、デスペナルティがあることや本来の目的であるレベル上げのことを考えて行かないことにした。
「それにしても良い景色だね」
「私たちがダンジョンにいる間にすっかり夜になって、きれいな夜景って感じだよ」
2人は目の前に広がる現実では考えられないような西洋の町並みの夜景は普段見ることのできない幻想的な世界だった。
「エイルさんの所に最後顔出していかない。どんな店か気になるし」
「まぁ、どうせデスペナルティあるから町の中にしかいられないし、いいと思うよ」
そう言って、2人はお昼に教えてもらった二層にあるエイルの店に行くことにした。




