袋の中のネズミ
「はぁシルクめ、私に損な役割押しつけて、って私が撒いた種だからしょうがないんだけど」
ルーンはぶつぶつ言いながら1人でダンジョンのなかを歩いていた。
「って、ヤバイ来た。とりあえずシルクの作戦にしたがってみるか」
そう言って、ルーンはフレイムリザードマンのターゲットからはずれない程度の速さで逃げながらシルクがいる細い道の所まで来た。
「シルク、連れてきたよっと」
ルーンはそう言うと敵を連れてシルクのいる細い道に入り振り返るとフレイムリザードマンの頭をスッと飛び越えた。
「今だよシルク」
「分かってるよ【ライトランス】【ライトホーミング】」
「じゃあこっちからも【スラッシュ】」
2人は細い道でフレイムリザードマンを挟み撃ちにしてアッという間に倒してしまった。
「何とか上手くいったね。でも、やっぱり一体一体が強い」
「でもこれなら確実に殺れる。シルク、いい作戦だよ」
「ありがとう、でもいつまでもここにこもってられない。だから次の作戦はルーンが考えて、得意でしょ」
「うん任せてシルクに負けない、いい作戦を考えとく」
2人はもう一度この作戦をやるための準備をしつつ、この後のことも考えることにした。
2人は30回位この作戦を繰り返し、レベルがそれぞれ23まであがったところでやめた。
「そろそろポーションも数が減ってきたしルーン、これからどうする?」
「レベルは上がったけど、正直ボスを倒せるかは分からない。だから…」
「だから、とりあえずこのままボスの所に行く」
ルーンの特に何にもない作戦にシルクは少し不思議がったが、すぐにこの意味を理解できた。
「ボスの部屋が分からないから、寄り道せずに探すってことだよね」
「うん、そう。だからシルク、箒の準備をして、さっき嫌なもの見たから」
「嫌な…もの?」
シルクはルーンの弱点を知っていても、嫌がるものは全く想像つかなかった。
「亜種だよ。さっきフレイムリザードマンをひきつけているときに明らかに他とは違う色をしたやつを見た」
「えっ、てことはここら辺に亜種がいるってこと?」
「だからここは危険ってこと。さっさと行くよ運が悪ければ見つかるかもしれない」
ルーンがそう言うと、2人はすぐに亜種を見たという方向とは逆に向かいボス部屋を探すことにした。
数十分が経ったものの、2人はボス部屋を見つけることができずに先ほどまでいた細い道の所に戻ってきていた。
「シルク、多分亜種がいた方にボス部屋があるんじゃないかな」
「うん、考えたくないけどそうだろうね。亜種に見つからない様に探さなきゃいけないけど…」
そう言いながら、MPポーションを使いシルクはMPを回復しながら休んでいた。
「とりあえず、早く見つけないと亜種もそうだけどシルクのMPポーションも底をつきそうだね」
「それじゃあ、早く行かないと…て、ルーンまって静かに」
「んぐっ、」
ルーンはシルクにいきなり口を押さえつけられびっくりしたがその理由は次の瞬間に分かった。
(あ、亜種なんで私たち今日はついてなさすぎる)
「シー静かに、気づかれちゃう」
2人は見つからなければ何とかなると思い、静かにしていたがそんなはかない願いは叶わなかった。
「ヤバイ、気づかれた。シルク逃げるよ」
「逃げるってどこに」
2人は細い道にいるため、逃げ場などは亜種が塞いでる道しかなかった。
「しょうがない。これにかけるしかない」
そう言うと、ルーンはさっきの作戦と同じく敵の頭の上を飛び越え、左手の短剣で敵を一閃した。
「よし、武器効果で麻痺になった。やっぱ今日はなんだかんだでついてるかも、シルクさっさと行くよ」
「う、うん。今のうちに逆に行こう」
2人は亜種が麻痺になっている間に全速力でダンジョン内に逃げることになった。




